ワクチン接種開始に向けた緊急の派遣要請への対応
リクルートグループがオランダで運営する人材派遣会社のUSG People the Netherlandsは、オランダの保健所(以下、GGD)が運営する新型コロナウイルスのワクチン接種会場向けの人材派遣を行いました。感染拡大が続くなか、PCR検査や接触追跡調査員も含めて、短期間で約4,000人以上のスタッフ派遣を実現した背景について、医療・看護サービス担当のヤンティネ・パーターと政府関連サービス担当のシンディ・ソンネマンスのコメントも交えてご紹介します。
感染拡大とワクチン接種の開始
新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、オランダ政府は2021年1月からワクチン接種を開始しました。USG Peopleでは、ワクチン接種開始以前からコロナ陽性者との接触追跡調査やPCR検査場向けに人材派遣を実施していました。はじめは1地方のGGDから始まりましたが、その後、国立のGGDや顧客からの支援要請を受けて、急きょ全国規模で対応。更なる支援として、ワクチン接種業務にも人材を派遣することになりました。
オランダのドライブスルー式PCRテストセンター
全国各地に展開するGGDへの支援
人材派遣業のミッションは、求職者と企業クライアントのニーズを結びつけて、社会に貢献すること。USG Peopleは、人材派遣業を通じて培ったノウハウを使って急ピッチで支援体制を構築しました。ワクチン接種にあたるのは、医療業界のバックグラウンドを持っている派遣スタッフですが、新型コロナウイルスのワクチンにはいくつかの種類があり、接種の準備や段取りも通常とは異なるため、急いでトレーニングプログラムを立ち上げる必要がありました。また、集まったみなさんに接種する医療関係者だけではなく、会場を運営するスーパーバイザーの派遣も必要でした。意欲やスキルを持った人たちを、全国各地の接種会場のニーズに合わせて派遣するために、一元的に人材情報を集約する仕組みを整えなくてはならなかったのです。
「一番難しかったのは、短時間でプロジェクト組織を立ち上げたこと。そして、常に状況が変わることです。1、2時間のうちに状況が変わることもありました。GGDからの最初のリクエストは500人の人材を探すことでしたが、それが瞬く間に1,800人規模に。USG Peopleは、もともと現場レベルで素早く意思決定するマネジメントになっていますが、どんどん新しい情報が入ってくるなかで仕組みを整えることは大きなチャレンジでした」とシンディは言います。
現在では、全国26箇所あるGGDのうち約半数の会場で、総勢4,000人のスタッフがUSG Peopleを通じて 働いています。派遣規模が拡大しているなかでも、現場のスタッフへのきめ細やかなサポートも忘れません。
「医療資格を持つスタッフは、通常のクリニックや病院での業務に加えてワクチン接種の会場で働くわけですから、いつどこで何をやる必要があるのかを明確にして、効率的に仕事ができる環境を作ることが必要でした。また、USG Peopleが人材募集から教育までを一気通貫で担うことで、GGDの方々が本来の業務に集中できるようになりました」とヤンティネは言います。
USG PeopleのGGDプロジェクトチーム
一丸となって社会の難局を乗り越える
USG Peopleでは、PCR検査やワクチン接種のためのトレーニングを毎週1,000人規模で行える体制を整備して、今後の需要拡大に備えています。
「私たちは、オランダを助けたいという一心でプロジェクトを立ち上げました。国のためオランダの人々のためになる大きな仕事に向 かうにあたってアドレナリンが出ましたし、この経験は、あと20年経っても決して忘れないことでしょう」とシンディは振り返ります。
「私も同感です。このプロジェクトには毎日多くの求職者からの応募があります。飲食店や旅行業界の関係者など、感染拡大の影響で職を失った人の応募もありました。自分の専門知識を使いたい、再教育を受けたい、ウイルスとの戦いに協力したいという意欲的な人たちを、私たちも全力で支援していきたいと思います」とヤンティネは言います。
Jantine Pater(ヤンティネ・パーター)
2002年からUSG People社で勤務、2020年5月からはUSG People傘下のStart People社で、医療・介護セクターの人材派遣を専門とする「Medi Interim(メディ・インテリム)」のディレクターを務める
Cindy Sonnemans(シンディ・ソンネマンス)
USG People社で勤務して23年目。USG People傘下のUnique社で、市役所や労働保険者事業団、国立の保健所(GGD)などの政府関連部門サービスを担当するディレクター