Hero Image

Sustainability

ソーシャルインパクト 就業に掛かる時間を半減 3000万人の就業を支援

社会へのコミットメント

背景にある社会問題

世界の約40%の人々が、3か月間収入がないと貧困に陥ってしまうリスクにさらされています(注4)

(出典:OECD「How's Life? 2020」)

世界中の多くの人々にとって「仕事に就く」ということは、日々の暮らしの経済的・社会的基盤を築くことと直結しています。世界で人材マッチング事業を展開するリクルートグループとして、この領域で社会へのインパクトを創出したいと考えています。そのために、まずは働きたいのに就業できない人を無くすことを目指し、求職者と仕事のマッチングを圧倒的に速くすることで、失業期間の短縮に貢献していきます。

また、世界の雇用市場には、構造的な偏見(バイアス)やさまざまな障壁が多く存在しています。データやテクノロジーの力で人と仕事のマッチングを圧倒的に効率化し、すべての求職者の仕事探しにかかる時間を短縮することに加えて、さまざまな団体や専門機関とのパートナーシップを通じた就業支援を行っていきます。

就業に掛かる時間を半減する

2021年度の進捗

就業までに掛かっている時間は約15週間(注5)

2021年度は、求職者が仕事に就くまでに直面する困難や、最も支援を必要とする求職者について理解を深めるためにグローバルな求職者サーベイを実施しました。並行して、Indeedのユーザーデータを用いて就業までに掛かる時間の計測を行い、2030年度に「約半分にする」という目標に向けた2021年度の基準値(ベースライン)は約15週間であることが分かりました。(注5)

「仕事探し」はいつ始まり、いつ終わるのか?

一見シンプルなこの問いから、我々の探求は始まりました。仕事探しがいつ始まり、いつ終わったかを正確に測ることができる確立された測定手法は、世界のどこにも存在しません。これまでIndeed上で積み上げてきたデータによって、求職者がいつ就業オファーを獲得したかを示す「就業シグナル」については、徐々に確度の高い計測ができるようになってきました。しかし、仕事探しを始めたことを示す「開始点」については、求職者によって就業活動における行動パターンが千差万別であるため、その特定は容易ではありません。しかし、就業までに掛かる時間を短くするためには、求職者が応募や面接に進む手前の仕事探しを始めた時点からの期間が把握できなければなりません。そこで、データサイエンティストやリサーチャーを始めとした分析チームを立ち上げ、多様な行動パターンの中から仕事探しの開始点を特定し、就業期間を計測するための検証を進めました。

2021年度の基準点:就業までに掛かる時間は約15週間(注5)

Indeed上でユーザーが仕事に就くまでにどのぐらいの時間が掛かっているか、まずは現状の実態把握を試みました。ユーザーからのフィードバックデータを用いて、求職者が職を得るまでに掛かった期間を測定しました。その結果、Indeed上で就業したユーザーにおいて、就業期間の中央値は約3週間、平均値は約7週間でしたが、ほぼ全ての求職者(統計上有効な数値として全体の90%)が職を得るまでには約15週間掛かっていることがわかりました(注5)。私たちは、より困難な状況にある方々を支援することを目的に約15週間を基準値と定め、2030年度までにこの時間を半分に短縮することを目指していきます。

約15週間で90%が就業

Indeedで就業したユーザーの求職活動期間 (2021年度)

約半数が、生活水準を保てる期間よりも長く仕事を探している(注6)

就業までに掛かる時間について、求職者はどう感じているのでしょうか。私たちが展開する国・地域のうち30か国を対象に、17言語で実施したグローバル求職者サーベイによると、回答者の約半数が、生活水準を保てる期間よりも長い時間、仕事を探していることがわかりました。(注6)また、仕事探しの期間については、回答者の約3分の2が「想定よりも長かった」と述べており、その約半数は「かなり長かった」と感じていることがわかりました。(注6)この結果からも、より速く仕事に就きたい求職者を特定して支援することの重要性が明らかになりました。

2022年度の挑戦

コミットメントを発表してから2年目となる2022年度は、求職者に関する調査やユーザーデータのさらなる分析を進め、求職者が抱えている困難や就職活動を長期化させている要因、特に支援を必要としている求職者(例えば、今すぐ仕事に就く必要がある、等)に関する理解を深めていきます。また、並行して、就業期間の精度を向上するためのデータ収集も継続しています。そして、プロダクトの進化を通じて、就業期間を短縮するための取り組みを進めていきます。

より良い就職活動を実現するためのプロダクト改善が自動化され、どんどん進むようになることが理想的な未来の姿ですが、私たちは、まだそのスタートラインに立ったばかりです。2022年度も、この目標の実現に向けて、歩みを進めていきます。

雇用市場の障壁を低減し、3,000万人の就業を支援する

本来、仕事に採用されるための要件は、業務遂行に必要なスキルや能力があることのみでなければならないはずです。それにも関わらず、職務要件とは無関係の要素 ― 学歴、経験年数、犯罪歴の有無など ― によって採用の合否が決まってしまうことで、求職者がなかなか仕事に就けないという事象は後を絶ちません。 こうした雇用市場に存在するバイアス(偏見)や障壁は、多くの求職者の就業を困難にすると共に働き続けることを難しくする要因にもなっています。

そこで、雇用市場のバイアスや障壁を低減し、質の高い就業機会との出会いを増やすことで、人々がより良い仕事に就けるために取り組んでいきます。すべての求職者がより良い仕事を得て、より良い生活を送れるために貢献することが、私たちが企業活動を通じて創出したい社会へのインパクトです。

2021年度の進捗

私たちは、2021年度に、自社の求人プラットフォームのデータ分析や、さまざまな団体や専門機関、地域コミュニティの支援団体等との連携を通じて、雇用市場で不利な状況に置かれやすい人々とその就業を阻む障壁について理解を深めました。

失業を長期化させる障壁にフォーカス 例:犯罪歴(注7)

私たちが、まず初めに優先度高く取り組みを進めた障壁は「犯罪歴」でした。米国では、7,000万人以上が何らかの犯罪歴を有しており、これは成人人口の約3人に1人とも言われています(注7)

近年米国ではFair Chance(公正機会)等と称される法改正(注8)が行われており、職務適性に基づく採用を促す取り組みが少しづつ進んでいるものの、犯罪歴を有する求職者に対する差別はいまだ雇用への障壁となっており、その失業率は全米平均失業率の約5倍となっています(注7)。しかし、刑期を終えた人が出所後2か月以内に最低賃金以上を支払う職に就いた場合、再収監率が少なくとも半減することも分かっています(注7)

グループ企業における取り組み

HRテクノロジーSBU

Indeedの取り組み

1. プラットフォーム上での取り組み

Fair chance(公正機会)採用」(英語のみ)と称される犯罪歴を不問とする求人情報をIndeedプラットフォーム上でより見つけやすくするためのUI(ユーザー・インターフェイス)の改善など、さまざまな取り組みを進めています。

2. パートナーシップを通じた取り組み

犯罪歴がある人のうち約40%は、法的記録の全てあるいは一部を合法的に抹消することができる対象者であると言われています(注8)。Indeedでは、2022年2月にTexas Fair Defense ProjectやCheckr等のパートナーとともにこの手続きを支援するプログラム「Essentials to Work」を開始しました。

3. 自社採用を通じた取り組み

刑務所の受刑者や仮釈放中の求職者向けのコーディング講座を提供するPersevereや、出所後に現場トレーニングを通じた実践を支援するBanyan Labsと提携し、Indeed自社による採用や他企業での採用支援を行っています。出所後の速やかな就業を支援するとともに、非常に低い再犯率を維持しています。

パートナーシップを通じた受刑者や仮出所者への職業訓練の様子

マッチング&ソリューションSBU

リクルートの取り組み

日本で事業を営むリクルートが2011年より継続している就労支援・キャリア教育プログラム「WORK FIT」では、少年院や児童養護施設、若年無就業者などに向けて支援を行っています。 

2022年度より、刑務所において、再犯防止という課題に資するため、出所後の生活に向けた準備を促す女性受刑者向けのプログラムを展開予定です。

人材派遣SBU

Staffmarkの取り組み

米国の派遣会社Staffmarkでは、Fair chance採用に積極的な大手クライアント企業とともに、派遣スタッフとして働き始めて正式採用につなげるプログラムを実施しています。現在6年目を迎えた本プログラムでは、就業者の95%が就業後6か月後も継続して働いていることが確認されており、参加者からの非常に高い満足度を獲得しています。

2022年度の挑戦

公平性を求める社会の要請は世界的に高まっており、雇用主である企業クライアントの中でも、多様なバックグラウンドを持つ人材の採用を促進するインクルーシブ(包摂的な)採用(注9)へのニーズが徐々に高まっています。私たちは、世界中のグループ企業において、国や地域のニーズに沿ったアプローチで取り組みを進めています。引き続き、テクノロジーを活用した支援と共に、パートナーシップや自社採用なども通じて、障壁の低減に挑んでいきます。

その他の取り組み

  • (注1)本ウェブページに記載の年数は、その年の4月1日に開始し、翌年3月31日に終了する当社の会計年度を意味する。また本ウェブページに記載の数値は、すべて概数。
  • (注2)Indeedの求人プラットフォームで就業したユーザーが就職活動を始めた時点から、採用オファーを獲得するまでの期間。
  • (注3)当社グループが運営する求人プラットフォーム上の応募を通じた就業、当社グループが支援するNPO等の団体を通じた就業等を含む。2030年度までに、雇用市場における課題を見極めた上で様々な障壁の低減を行っていく。
  • (注4)出典:OECD「How's Life? 2020」に基づく、OECD加盟28カ国の数値。
  • (注5)2022年3月31日時点の基準値。Indeedの求人プラットフォームで就業したユーザーが就職活動を始めた時点から、その90%が採用オファーを獲得するまでの期間。2021年9月から2022年3月までの間に就業が確認できたデータから、統計上有効な数値として90%のユーザーが就業するまでに掛かった期間を集計。
  • (注6)Indeedが事業展開する30カ国を対象に17言語で2021年9月から12月までの間に実施した求職者サーベイ調査。
  • (注7)米国では約7,000万人に犯罪歴があり(出典:The Sentencing Project)、犯罪歴がある求職者の失業率は米国平均の約5倍(出典:Prison Policy Initiative)。しかし、出所後2か月以内に最低賃金を上回る仕事に就くことができた場合、再犯率が大幅に減少することが分かっている(出典:The Urban Institute)。
  • (注8)選考中の求職者に対して、選考中または採用オファーを書面通知するよりも前に犯罪歴の有無を尋ねることを禁止する等、犯罪歴がある求職者への公正な雇用機会促進を目指す、米国における法改正の動向(出典:National Employement Law Project)。
  • (注9)社会の多様性を反映した職場を実現するために、公正性を高めた採用を実現するための企業の取り組みを示す。