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提供遅れを防止する 『Airレジ ハンディ』のキッチンモニター

データと調理現場の観察から調理順ロジックを解明
飲食店でのゴールデン体験を増やす

注文・調理・配膳をカンタンにするオーダーエントリーシステム『Airレジ ハンディ』の新機能として開発された「キッチンモニター」。iPadのキッチンモニター上に受けた注文が自動で注文時刻順に並び、調理が遅れている注文が分かる他、同じ料理の注文総数も一目瞭然で、調理スタッフがまとめて調理する場合に役立ちます。また、ホールスタッフも、手元の『Airレジ ハンディ』や「キッチンモニター」で店内の配膳状況や配膳先を確認でき、注文からの時間経過も分かるため、提供遅れに気づきやすくなります。この仕組みを開発した須藤遼介に話を聞きました。

『Air レジ』ハンディのキッチンミニターの画面

キッチンモニターの画面。どのテーブルでどんなオーダーが入っているのかが一覧でわかる

カスタマーの不満トップは料理の提供遅れ

「『30分前に注文したのに出てこない』『乾杯のビールが出てくるのが遅過ぎ』など自らの飲食店での経験を思い起こしながら、飲食店で味わえると嬉しいカスタマーのゴールデン体験を企画開発メンバーでよく話していました。そのなかで、調理遅れを最小化するために、調理順の最適化ができたら面白いと思ったんです」と須藤。

居酒屋業態の不満コメントがテキストマイニング※された結果を見ると、「提供+遅い」の出現回数がトップに。しかし、遅れの実態を把握し、その削減に取り組むには、高価な装置の購入や覆面調査にコストをかける必要があり、中小の飲食店では解決したくてもできずにいました。また、具体的に「どの料理が」「どれだけ」「どのくらいの頻度で」提供遅れが発生しているのか、肌感覚でしか分からない状態でした。

「『Airレジ ハンディ』で取得した注文受付時間と調理終了までにかかった時間(=提供時間)と、実際に調理にかかった時間の推計から調理終了の目標時間を設定した上で、調理開始時間を逆算し、調理順の最適化を図れないか?と考えました」と須藤。しかし、これを算出するために必要なロジックを導き出すには、データが示す「起こった出来事」を見ているだけでは無理だと思った須藤は、飲食店の現場に一歩踏みこむことに。データには表出していない、現場でデータが生まれた「過程」を把握しにいきました。

※文字列を対象としたデータマイニング。通常の文章からなるデータを単語や文節で区切り、それらの出現の頻度や共出現の相関、出現傾向、時系列などを解析することで有用な情報を取り出す、テキストデータの分析方法

調理現場の訪問を重ね、最適な調理時間を算出

「データを一つひとつ見ていくと、疑問が次々と出てきたのです」と須藤。もろきゅうは18時9分に注文され、おかわりキャベツは18分に注文されたのに、おかわりキャベツが速攻で出てくるのは、なぜか? だし巻き玉子が注文されると、他の料理に影響が出るのは、どうしてか? その理由を探るため調理現場を観察すると、調理がしやすいおかわりキャベツから着手されていたり、だし巻き玉子は店の看板メニューで調理に時間をかけており、その間、他の調理に進めなくなっていたり。こうして、データと調理現場の動きや考えを一つひとつ突き合わせながら、実態を解明し、最適な調理手順を定式化することに。

須藤は月1、2回の調理現場訪問を重ね、さらにあることに気付きました。焼き鳥などの串料理は、焼き台の網の上にまとめて4、5本をのせ次々と焼くため、調理順への影響は少なそう。一方、調理場に3名いる日と1名しかいない日では、同時に調理できる料理の数が変わる可能性がある。シフト人数と調理順の関係も調査し、ついに最適な調理時間を算出する方法を導き出すことに成功しました。

協力店舗にて、週ごとに通常の調理順と「キッチンモニター」を活用した、最適化した調理順を8週間検証し、調理遅れ率と調理順の採択率を比較。すると、調理順をレコメンドした場合、調理遅れ件数の削減につながったほか、調理順の採択率も高く、熟練の料理人の方にも信頼を得られる調理順になっていることを示す結果に。
「お店の業務オペレーションを変えずに調理遅れ件数を減少させる効果があると確信して、エンジニアとしての喜びをかみしめました」と須藤。

可視化されたさまざまな数字がホール・キッチンの業務改善に

須藤が最初にデータだけを見ていた時は、分析には使えないと思ったそう。「キッチンの様子を見たり、プロダクトの使われ方を熟知している企画メンバーと話すなかで、現場目線でデータを捉え直すヒントをもらいました。自分のほうが機械学習や統計の知識があるはず。でも、声なき声を掴むには、飲食業界や調理現場を理解しながらデータを扱う姿勢が大事だと改めて感じました」。

導入している店舗からはこんな声が。「『キッチンモニター』を導入して、どの料理にどれだけ注文が入っているのか、注文数の合計がひと目で分かるようになり本当に助かっています。料理毎にまとめて調理できるようになり、キッチンの生産性がアップしました」「おおよその時間しか把握できていなかった各料理の調理時間の平均が可視化され、調理時間がかかる料理は、どの工程まで事前準備をしておくと良いかが判断できるようになり、注文後の調理時間の短縮にもつながっています」「忙しくて自分がホールに出ずっぱりの日も、ホールからキッチンの調理状況を把握でき、以前に比べお店全体の運営や管理がしやすくなりました」。

「現在のアルゴリズムの拡張で、同卓同時配膳や全体の配膳状況を考慮した配膳も可能なので、カスタマーの体験向上に向け、もっとプロダクトを良くしていきたい」と須藤は意気込みを語りました。

『Airレジ ハンディ』の「キッチンモニター」の開発をした須藤遼介

須藤遼介(すどう りょうすけ)

株式会社リクルート データ推進室 データエンジニアリング ユニット データエンジニアリング部 旅行・飲食・ビューティー・SaaS領域データグループ

自動車メーカ系のプログラム開発に携わった後、2018年リクルートライフスタイルに入社。以来、旅行やSaaS領域でデータエンジニアリングに関わり、データ系施策の企画・開発を担当。趣味はゲームとNBA観戦。毎朝NBAを観てから仕事へ

2021年12月01日

※事業内容や所属などは記事発行時のものです。