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機会に恵まれない若者にテック企業で働く道を開く―CSI Connect

アメリカ南部フロリダ州。同州は地理的・歴史的な背景から有色人種の人々が多く居住しており、直接的な差別は減ってきているものの、教育や就業機会の面での格差は未だ消えていません。こうした格差を背景として、地域で相対的に不遇な状況にある大学生・高校生向けに、テック企業での就業機会の提供や、キャリア形成サポートをしているのが、フロリダ州ジャクソンビルに拠点を置くCSI CompaniesのCEOクリス・フラクスと、CIOのメリッサ・フルモア=ハードウィックです。人材派遣会社として培った人材育成のノウハウを活かしながら、2021年に始動した「CSI Connect」についてご紹介します。

NBA選手になることを夢見る子どもたち

インターネットが大衆化された今日のアメリカでも、気軽にYoutubeを見たり興味のあることを調べられない若者がいます。USA Factの調査(英語のみ)によると、子どものいる黒人やヒスパニックの家庭の25~30%が自宅にコンピュータを持たず、約20%は自宅でインターネットへアクセスすらできません。クリスの子どもが通う地元のバスケットボールチームのチームメイトの中にも、自宅にコンピュータがなく、もっぱらテレビを見ているという子どもがいるそうです。

「そうした生徒の多くは、NBA選手になることを夢見ています」とクリス。「若者は自分を取り巻く環境に影響されやすいため、テレビで音楽・スポーツ番組を毎日見ていれば、自分も有名な歌手やアスリートになりたいと思うようになります。それ自体は自然でワクワクするものですが、本当に夢をかなえられるのはほんの一握りです。だからこそ、若者がしっかりとした基礎力を身につけ、自分の興味に合った他の進路も意識することが大切なのです」

CSI Companiesが支援している若者とCSI Companiesの従業員

CSI Companiesが支援している若者とCSI Companiesの従業員

ジャクソンビルは、近年テック企業が集積するテックハブとなりつつあります。そのためエンジニアは売り手市場ですが、ITに触れたり、知識習得の機会を得られない学生が多いのも実情です。

「彼らのうち多くは、家庭にインターネットがなく、専門性を極めてキャリアを積む大人を目にすることもありません」とメリッサ。

構造的な問題もまた、根強く存在します。こうした生徒は学力や金銭面からITプログラムや施設が整った州立の大学へ行くことができず、代わりにHBCU*への入学を選択します。しかし、ある調査によると、多くのHBCUは数十年にわたり資金不足に陥っており、コンピューター施設やITコースが不足しているため、黒人学生がIT関連の学位やキャリア取得をする機会の阻害につながっています。

* Historically Black College and University(歴史的に黒人の多い大学)の総称で、アメリカ南北戦争の前後に主に黒人のために設立された。1964年の公民権法制定以前、つまりアメリカで人種隔離が行われていた時代には、ほとんどの高等教育機関はアフリカ系アメリカ人の入学を認めない、もしくは制限しており、HBCUが彼らのほぼ唯一の選択肢となっていた。

テック企業への誘い―ロールモデルの醸成とテクノロジー教育の提供

CSI Connectでは、前述の問題を解決するために、現在2種類の支援を行っています。ひとつ目は、提携した地元の2つの大学から、毎年5人の学生をCSI Companiesのインターン生として迎えることです。インターン生にはノートパソコンが支給され、CSI Companiesのジャクソンビルオフィスで従業員に混じって働く機会が与えられます。

「インターン生には、オフィスで働く大人を間近で見て、テック企業の可能性を感じ、卒業後もこうした環境で働きたいと思ってもらいたいのです」とクリス。

期間中に特に素晴らしい結果を残したインターン生へは、卒業後にCSI CompaniesやCSI Companiesのクライアント企業のフルタイム職への応募を勧めます。本記事公開時点で既に2人が正規採用されています。

ふたつ目は高校生向けのプログラムです。2022年1月に始動したばかりの本プログラムでは、地元の高校と提携し、学内にあったメディアセンターを改築してCSI Tech Labを開設。ITに興味のある5人の生徒のIT教育や進路支援を行っています。

「私たちは、学校名である “アンドリュー・ジャクソン高校” にちなんで彼らを “ジャクソン5” と呼んでいます。プログラムの詳細は今後詰めていきますが、まずは5人全員が大学へ進学し、その後IT業界でキャリアを歩み続けられるよう、長期的に支援をしていくつもりです」とメリッサ。

CSI Companiesのクリスとメリッサが若者と笑っている様子

クリスとメリッサ。CSI Companiesが支援している若者とともに

支援を受けた子どもたちが次のロールモデルとなる日を夢見て

クリスとメリッサが若者への支援に注力する背景には、それぞれの実体験があります。

「自分の子どもと、バスケットボールチームにいるほかの生徒の境遇の差がずっと気になっていました」と話すのはクリス。「皆才能にあふれやる気があるのに、一部の子どもたちには将来の可能性を広げるための情報や機会、相談できる大人の存在などが不足しています。私たちがその役割を担い、子どもたちに機会を提供し、どんな仕事でも必要となる自信と経験を培ってもらいたいと思っています」

今ではリーダーとして影響力を持つメリッサも、彼女が歩んできた道を振り返りながら、子どもたちへの期待を述べます。「テック企業はまだまだ男性中心社会です。有色人種でかつ女性である私はこれまでに何度も、会議室の中でひとりぼっちだと感じることがありました。でも、だからこそ、私自身が誰かのロールモデルになりたい。『あなたにもできる』と伝えたい。子どもたちが大人になって振り返ったときに、『CSIが、クリスが、メリッサがあのときいてくれたから、今の私がある』と言ってもらえたら、これ以上の喜びはありません」

今後の展望についてクリスは語ります。「CSI Connectは経済格差を埋め、多様性を促進し、新しい働き方に影響を与える可能性を秘めています。結果を急ぎたくなる気持ちもありますが、着実なコミットメントこそがプログラムの成功につながると信じています。20年後に今支援を受けている子どもたちが戻ってきて、次の世代の子どもたちのロールモデルとなってくれることを願っています」

CSI CompaniesのCEOクリス・フラクス

クリス・フラクス

CSI Companies CEO

CSI Companies全事業の責任者。CEOとして、M&A活動や会社の戦略策定をリードしている。人材派遣業界で20年以上の経験を持ち、過去には人材紹介・営業、エグゼクティブサーチ、現場管理、支店管理、地域管理、経営管理などを担当。2003年よりCSI Companiesに参画

CSI Companies CIOのメリッサ・フルモア=ハードウィック

メリッサ・フルモア=ハードウィック

CSI Companies CIO

20年以上のキャリアを通じて、革新的なITソリューションを経営管理に取り込むことに注力している。会計士になる前は米陸軍で士官として勤務。そこで規格化されたプロセスの有効性を目の当たりにする。その後、チェンジメーカーとしてのテクノロジーの可能性に期待しIT業界に転身。オラクルコンサルタント、チェンジ・マネジメントリーダー、ビジネスアプリケーションディレクターとして活躍しながら、現場・遠隔の双方でチームを率いる。現在はCSI CompaniesのCIOとして、テクノロジーへの情熱を持ち続けている

2022年04月15日

※事業内容や所属などは記事発行時のものです。