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今すぐ助けが必要な人に支援の手を。移民就業支援の知見を難民就業支援に活用

UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)によると、2021年にはドイツで124万人もの難民を認定しており、ドイツはヨーロッパでもっとも難民を受け入れている国でもあります*。しかしさまざまな障壁により難民がドイツで職を得るのは簡単なことではありません。その一方で、ドイツ国内では近年労働力不足が大きな問題となっています。リクルートグループの派遣会社であるRGF Staffing Germanyでは、配下のサービスブランド”Unique”にて、2014年から培ってきた移民支援のノウハウを活かし、ここ数年は難民の就業支援も行っています。目下継続しているウクライナ難民支援も併せてご紹介します。

* UNHCRのHP外部サイトへより(英語のサイトに遷移します)

移民就業支援によって蓄積された支援力

Uniqueでは、2014年からドイツへの移住希望者を対象に、国際採用チーム(International Recruiter)が移民支援を行ってきました。「移民と難民とでは彼らの置かれた状況はまったく異なりますが、支援にあたっては共通することも多く、移民支援で蓄積したノウハウや経験がのちに活きてくることになりました」と述べるのはRGF Staffing GermanyのCEOフィリップ・ガイヤーです。「私たちは、ポーランド、ルーマニア、ブルガリアなど中欧・東欧の国々からの移民に仕事を紹介しながら、行政手続きや税制書類の作成支援、アパートの手配まで、あらゆる支援を行っています」

「支援を通じて、国際採用チームは3つのスキル・ノウハウを獲得しました。1つめは、『SNSでのリクルーティングノウハウ』です。移住希望者をリクルーティングする際に、対象国での直接リクルーティングに加え、SNSを通じて潜在的な移住希望者を探し、繋がり、そこから支援を開始するパターンも多くあります」

フィリップが2つ目に挙げるのは、『不安を払拭するコミュニケーションスキル』。移住希望者の中には、当初ほとんどドイツ語が話せない人も少なくないと言います。「右も左もわからない中、言葉が通じない国で新たな生活を送るのはとても不安でストレスがかかるものです。彼らの不安を理解し、寄り添い、メンタル面で支えていくことが求められるので、国際採用チームは実践を通じて共感力やコミュニケーション力を高めてきました」

3つ目は、『移民を受け入れてもらうための企業クライアントへの働きかけのノウハウ』。「労働力が慢性的に不足しているドイツですが、移民を雇うことに対してあまり積極的でない企業クライアントがいることは想像に難くありません。そうしたクライアントに対しては、彼らがとても勤勉であることを伝えるとともに、彼らが一刻も早く職場になじめるよう企業側にアドバイスをしたり、定期的に現場を訪問し課題があればそれを一緒に解決しています」

難民就業支援の最前線で起きていること

数年来の移民就業支援の経験を背景に、Uniqueでは数年前から難民の就業支援も行っています。ドイツには様々な国籍の難民がおり、そのうち半数はシリアからで、ほかにもアフガニスタン、エリトリア、ソマリア、トルコ、イラクなど、言語も文化も異なる国の難民がドイツへ来ています。

「移民支援の場合も同様ですが、難民支援にあたっての一番の課題は『言語の壁』です。難民支援にあたるチームは、この障壁をできるだけ低くするための努力を続けています」

「たとえば支援開始時には、就業を希望する難民の状況把握のため多くの質問に答えてもらう必要がありますが、原本の質問票はすべてドイツ語で作成されています。難民の多くはもちろんドイツ語を話すことはできず、通常であればここで支援が行き詰まってしまいますが、Uniqueではチャットアプリに専用のサービスを導入することで、難民の使用言語に併せて質問項目が自動で翻訳されるように工夫をしています。利用者が自身の言語で回答した内容は瞬時にドイツ語や英語に翻訳されるため、回答いただく方に心理的・物理的な不安をかけずにヒアリングを進めることができています。このチャットシステムの導入により、国籍によらず迅速に支援を開始することができるようになりました」

チャットアプリの利用方法を5ステップで示している

スマートフォンのチャットアプリの利用ステップ。最初のメッセージを送ると即座に質問項目が送られてくる

Uniqueではまた、増え続けるアラブ圏からの難民の支援に対応するために、アラビア語ができるメンバーも採用しているそうです。

企業クライアント先では、難民に専用の翻訳デバイスを貸与します。今の時代スマートフォンで翻訳機能を使うこともできますが、中には職場にスマートフォンを持ち込むことを禁止している企業があったり、仮に使用できたとしても文字ベースでの翻訳なのでいちいちスマートフォンを取り出して相手に見せる必要があります。専用翻訳デバイスは、話しかければ瞬時に翻訳し音声として出力してくれるため、ほとんど会話を妨げることなく利用することができるのです。

次なる課題は、企業クライアントに個々人のフレキシブルな働き方を受容してもらうことだとフィリップは言います。難民の多くは子どもや介護する両親を抱えていますが、預け先を見つけることは容易なことではありません。一人ひとりの事情を理解し、柔軟な働き方を受け入れてもらうべく、企業への説得、長期的なサポートが欠かせないのです。

ウクライナ難民にも支援の手を

2022年初頭のウクライナ人道危機を受け、ドイツでは今なお多数のウクライナ難民を受け入れています。Uniqueでは当初、赤十字への寄付や薬の提供、ボランティアの薬剤師の派遣など、喫緊で必要とされる支援を行っていました。しかし数か月が経ち、難民支援センターを見て回っていたフィリップはある結論に至ります。「短期的には目の前の課題を解決するために物資提供や資金提供が必要ですが、長期的な目線で見たときに、難民がドイツで生活を続けていくためには職に就くことが絶対に必要。彼らの就業支援はわたしたちにしかできない」と。

一方でウクライナ難民支援団体への寄付を続けながら、フィリップはさらにこれまでのノウハウ・経験を活かしてウクライナ難民の就業支援を始めることを決定しました。しかし、国際採用チームにウクライナ語を話せる人材はおらず、ウクライナ人メンバーの採用から始める必要がありました。即時に人材を獲得してからは、ウクライナ語のWebサイトやチラシを作成し、支援センターでの配布や告知を始めるとともに、SNSで支援を必要としている難民を探し始めました。

ウクライナ難民支援チームのメンバー2名

ウクライナ難民支援チームのメンバーとして活動しているウクライナ人のアニータ(左)とユリア(右)。両者とも以前はドイツで別の職に就いていたが、2022年5月からチームに加わりウクライナからの避難民を支援している

そうして数か月のうちに数百人ものウクライナ難民とつながり、これまでに304人の就業を支援してきました(2022年9月時点)。ドイツで就業すると、家族も含め自動的にドイツの社会保障を受けられるようになります。「私たちが支援したうちの一人がある時語ってくれました。『私には守るべき家族があり、子供たちに必要な保障を得ることが最優先でした。これまで倉庫で働いた経験はなかったのですが、言葉が通じない外国ですぐに仕事に就くことができて本当に感謝しています』と」

ウクライナには、感謝の印としてチョコレートを渡す文化がありますが、中でも最上級の感謝を示したい場合は緑色のチョコを渡すのだそうです。支援したウクライナの方々の中には現場のスタッフにこの緑色のチョコレートを渡してくださる方もいるそうで、「彼らを支援することができて本当によかった」とフィリップは語ります。

街中に置かれたUnique (RGF Staffing Germanyのサービスブランド)の掲示板

街中に置かれたUniqueの掲示板。二次元バーコードから担当者に連絡をすることができる

最後に、大変な状況にある人々を支援するにあたってフィリップが大切にしていることを教えてくれました。「CEOとして大局的に状況を観察することも大切ですが、直接現場を見て、話を聞き、個人として寄り添うことが何よりも重要です。そうすることで今、何が本当に必要とされているのかがわかるのです。これからも私たちの助けを必要としてくれている人に寄り添ったサービスを提供し続けたいと思います」

フィリップ・ガイヤー(RGF Staffing Germany CEO)

フィリップ・ガイヤー(Philipp Geyer)

RGF Staffing Germany CEO

RGF Staffing Germany全事業の責任を持つフィリップは、CEOとして事業の成長を牽引。新しい支店やサブブランドの創設に取り組みながら、採用活動やIT技術に重点を置く経営方針を掲げている。財務、バックオフィス、合併後の組み込み、IT、人事、採用、営業、ソリューションビジネス、ブランド戦略など、幅広い分野で16年にわたるリーダーシップ経験を持つ

2022年10月03日

※事業内容や所属などは記事発行時のものです。