Indeedは2019年にSyft社を仲間に迎え、同社が英国で運営してきたフレキシブルな働き方を求める人材を対象とした人材派遣プラットフォームを進化・拡大させてきました。2021年4月に『Indeed Flex(インディードフレックス)』にリブランドしたこのプラットフォームは、リクルートグループが持つ「HRマッチングテクノロジー」と「質の高い派遣登録人材」のシナジーによってさらにシンプルかつスピーディーに進化。2020年からは米国でも試験的にサービス展開し、2022年から正式に市場進出しています。2021年度の売上は前年比3倍超と大きな成長を見せているこのサービスの概要と急成長の背景についてご紹介します。
柔軟な働き手の裾野は広がる一方、企業は深刻な人手不足に苦しんでいる
英国で派遣・アルバイト・短期雇用などの柔軟な働き方をする労働者は2022年6月時点で160万人超と、2020年からの2年間で15万人も増加しています。その構成について、Indeed FlexのCEOで共同創業者でもあるNovo Constareは、「昔から、アルバイトや短期の仕事といえばとりわけ学生に人気です。休暇中や講義の合間に柔軟に働けますし、卒業後の就職活動にもプラスになる貴重な実務経験を積めますから。さまざまな仕事を経験し、多様な人に出会えることに大きなやりがいを感じている学生も多いです」と説明します。
しかし、ここ数年は新たなトレンドが見えてきているとNovo。それは既に仕事を持っている社会人が追加で派遣やアルバイトの仕事をするケースの大幅な増加で、実に英国の労働者の3人に1人(32%)が実際にこの選択肢を検討して いると言います(注1)。英国では2021年8月からわずか1年間で消費者物価指数が10.1%も上昇しており(注2)、「生活費の急激な上昇によって英国で働く何百万人もの人たちの給与が生活費に消えていく中、派遣やアルバイトの仕事が、誰にでも始められてすぐに収入を増やせる貴重な選択肢になっているのです」とNovoもその背景について説明しています。
一方の企業側にとっては、コロナ禍や移民政策の変更による外国人労働者の減少や、コロナ禍からの経済回復による需要の増加により、人材の確保が困難な状況が続いています。英国では、埋まらない求人の割合を示す欠員率が2022年7月時点で4.2%と過去最高レベルで推移しており、EU平均の2.9%を大幅に上回っているのです(注3)。企業は軒並み給与を上げているものの、それすら効果は薄く、多くの企業が「十分な応募が来ない」もしくは「要件を満たす候補者が見つからない」としています(注4)。
このような英国の現状下では、「収入を補うために派遣やアルバイトの仕事を増やそうという人も、これから始めてみようという人も、人手不足に悩む企業にとっては今や生命線なのです。急に穴の開いてしまったシフトを埋めたり、スタッフの欠勤をカバーしたり、繁忙期に追加で必要な人手を補ったりしてくれますから」と、Novoは柔軟な働き手の持つ力を強調します。
(注1) 2022年Indeed Flex調べ
(注2) 出典:英国統計局 2022年7月消費者物価指数
(注3) 出典:英国統計局(Office for National Statistics)2022年5-7月欠員率(8月公表)
(注4) 出典:2021年英国世論調査
この需給ギャップに「HRマッチングテクノロジー」で挑む
Indeed Flexは、募集・応募、書類選考、面接といったプロセスを圧倒的にシンプルかつスピーディーにすることで、こうした柔軟な働き手を、必要な時に必要とする企業に派遣することを可能にする人材派遣プラットフォームです。企業は、難しいスキルを必要としないシンプルな仕事であれば特に、間近のシフトであってもタイムリーに埋めることが可能に。働く人、特にすぐに働いて収入を得る必要に迫られた人には、仕事を探し始めてから実際に給与を受け取るまでのタイムラグが短縮されるという経済的メリットをもたらします。
登録スタッフは、応募からシフト決定、給与の振込口座の指定まで、すべてをスマートフォンアプリ上で完結することができます。具体的には、簡単なプロフィールを入力し、Indeed Flexとの対面の面談で身分証と経歴の確認を受けてアカウント認証を完了した後は、スキル、勤務可能な場所や曜日・時間帯、希望の時給などの条件を入力するだけで、条件に合った求人が瞬時にリストアップされます。気に入ったものがあれば、職務明細を確認し、ワンタップで応募可能。シフトが決まったら、現場に直接赴いて与えられた役割をしっかり果たすだけです。業務終了後には、働き手と企業がお互いを5段階で評価するのですが、ここで企業から高い評価が得られれば、次の仕事探しがよりスムーズになります。給与は週ごとに直接銀行口座に振り込まれます。
また企業側は、Indeed Flexにシフト(求人)を掲載した後、手動で人材を検索することも、独自のマッチングツールを使って条件に合った人材を簡単に見つけることもできます。また、Indeed Flexを通じて派遣された人材の本人確認、勤怠管理などもアプリで行うことができます。さらにIndeed Flexは、包括的人員管理ソリューションであるIndeed Flex+(インディードフレックスプラス)も提供しています。Indeed Flex+では、人材エージェントなどのパートナー経由の人材も一元管理できるシステムを利用したり、個別の採用ニーズへの担当者によるサポートを受けることが可能です。派遣人材の募集範囲を選択することもできるので、緊急性や業務の内容によって、10万人を超えるIndeed Flex登録スタッフすべてを対象にして短期間でシフトを埋めることも、過去に派遣されたことのあるスタッフに限定して募集することも、条件の合う登録者を手動で検索して一人ずつスカウトしていくことも可能です。
「HRマッチングテクノロジー」×「質の高い登録人材」のシナジーで米国市場にも参入
2015年からサービスを提供してきた英国に加え、Indeed Flexは2022年から米国にも展開しています。英国以上に人手不足が深刻な米国では、2022年7月時点の欠員率は6.9%にも上ります(注5)。Indeed Flexが大きな役割を果たすことが期待されます。
なお、Indeed Flex USには、米国で人材派遣事業を展開するStaffmark GroupのCEOであるStacey LaneもGeneral Managerとして参画し、人材派遣事業との試験的な協業を行っています。「Indeedのテクノロジーと私たちの質の高い登録人材を組み合わせることで、より多くの機会を創出します」とStacy。具体的には、米国市場を熟知するStaffmarkが、自社の持つ派遣登録者および企業クライアントのネットワークをIndeed Flexに提供しています。
さらに、リクルートグループ内のシナジーはこれにとどまらず、最先端のHRマッチングテクノロジーをフル活用することで、人材派遣という産業全体も、よりシンプルでよりスピーディーなものに進化させることを目指しています。Staceyも「我々は一丸となって、働き方の未来を変えていくのです」と今後の抱負を語りました。
(注5) 出典:米国統計局 2022年7月欠員率
Novo Constare
Indeed Flex CEO兼共同創業者 Indeed バイスプレジテント/ゼネラルマネジャー Staffing Solutions担当
シカゴに拠点を置くオルタナティブ投資ファンドのTradelink LLCで、シニア・アービトラージ・トレーダーとして金融市場で経験を積んだ後、2015年にロンドンで人材派遣プラットフォームのSyftを共同設立。現在は、Indeedの人材派遣領域におけるゼネラルマネージャー兼バイスプレジデントを担い、本領域をグローバルで牽引するとともに、Indeed Flexを通じて人々が派遣の仕事を見つけやすくなるよう改善を重ねている
Stacey Lane
Indeed Flex US ゼネラルマネジャー Staffmark Group CEO
2000 年にStaffmark Groupに入社以来、数々のポストを歴任しリーダーシップを発揮。現在はCEOとして、自身が策定した革新的な派遣事業戦略をもとに、全米に擁する数百のチームを率いている。Staceyが2019 年および 2020 年にStaffing Industry Analysts社のGlobal Power 150 Women in Staffingに選ばれていることも、そのリーダーシップの強さを示している