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日本の事業の現場に存在するアナログな業務を減らし、「商うを、自由に。」する、「Air ビジネスツールズ」の10年とこれから

Air ビジネスツールズ外部サイトへ」は、リクルートが日本で展開する業務・経営支援SaaSの総称で、「商うを、自由に。」をブランドビジョンに、予約・受付管理、会計、決済から人材採用、シフト管理、資金調達まで、事業者の方々の日々の業務を効率化する15以上のサービス(注1)を提供しています。アカウント数も346万に上り(注2)、リクルートホールディングスの3つの経営戦略の一つ、Help Businesses Work Smarter(日本の企業クライアントの生産性と収益性の向上)においても重要な役割を果たしています。この事業の10年の歩みと今後について、ブランド担当の野村恭子に聞きました。

株式会社リクルート プロダクト統括本部 SaaS領域プロダクトデザインユニット Airブランドマネジメントグループ 野村恭子

日本の中小事業者と歩み続け、業務支援から経営支援までサービス領域を拡げてきた「Air ビジネスツールズ」の10年

リクルートは創業以来、半世紀以上運営してきたメディア事業を通じて多くの事業者と接点を持ってきました。その中で掴んでいた中小事業者が抱える課題の一つが、事業運営上やらなければいけない日々のアナログな業務に手間・時間・コストの大きな負荷がかかっていたこと。事業の検討を開始した当時、特に飲食店や小売店のオーナーの方や店長さんにとって大きな負担となっていたのが、レジ締めの作業や売上の集計・分析にかかる手間と時間。その作業には、閉店後に数時間かかることもありました。リクルートがこの課題に取り組み始めた2010年当時はスマ―トフォンの普及とインターネットの進化が加速していた時代。テクノロジーの力で少しでも事業者の負荷を軽減できないか、そうすることで事業を営むオーナーや携わる従業員が、本来やりたかったことや思い描いていたことを実現するために時間を費やせる世界をつくることができないだろうか、と考え始めました。

そして2013年、有志数名でスタートした小さな開発プロジェクトから、『Airレジ』が誕生しました。『Airレジ外部サイトへ』は、ダウンロードしたアプリをiPadまたはiPhoneにインストールすれば、誰でもすぐに使いはじめることができるPOS(販売時点情報管理)レジアプリ。会計するだけで売上データがクラウドに蓄積されるので、数時間かかっていたレジ締めの作業も数分に短縮可能に。事業者に役立つ新しいツールとして、口コミを中心に認知が広がり、たった1年でアカウント数は10万を超えました。

Airレジの売上データ分析機能の画面イメージ

『Airレジ』は、直感的な操作が可能。誰でもカンタンに使うことができ、売上データの分析や在庫管理、顧客管理の機能も備える

こうして『Airレジ』からスタートしたリクルートの業務支援サービスはその後、予約・受付管理、会計、決済に展開していきました。2018年には経営支援サービスにも領域を拡げ、事業運営に欠かせない人材採用、シフト管理、資金調達などの効率化支援にも進展。現在では「Air ビジネスツールズ」として15以上のサービスを提供しており、複数のサービスを組み合わせて利用する事業者も徐々に増加してきています。「最初は『Airレジ』だけを利用していた事業者の方から、『何か困った時には「Air ビジネスツールズ」を調べてみれば、便利で役に立つサービスが見つかるかもしれないと思っている』という声をいただけるようになりました」と語る野村。

Air ビジネスツールズが提供するサービスのリスト

「Air ビジネスツールズ」が提供する、事業運営に欠かせない15以上のサービス

共感してくださる事業者とともに市場自体を創ってきた「Air ビジネスツールズ」

一見、順風満帆だったように思える「Air ビジネスツールズ」事業の10年。しかし野村は、「リクルートが創業以来メディア事業で培ってきた強みが活かしにくい新たな領域で、利用してくださる事業者さんを増やしていく道のりは簡単ではありませんでした」と明かします。まず、潜在顧客である日本全体の中小企業者は約453万事業所(注3)と莫大で、リクルートが得意とする人が介在する営業だけでカバーしきれる規模ではなかったこと。さらに、リクルートが得意とするネットマーケティング手法が活かしにくいという課題もありました。新規プロダクトであった『Airレジ』はほぼ認知もされておらず、当時はPOSレジアプリというカテゴリ自体の認知も非常に低かったのです。「カテゴリが知られてないということは、どんなニーズが満たされるのか分からないということであり、分からないものを人は欲しいとは思いませんよね」と野村。

そこでまずは、このサービスを使うことで短期的に、中長期的にどのようなベネフィットがあるのかをリアリティをもって伝えるところからスタート。野村は「シンプルでカンタンで使い勝手がいい、利用することで時間、コスト、手間が軽減されるという機能的な価値も、もちろん私たちが提供するサービスのベネフィットです。しかし、その先の真に感じていただきたい価値は、テクノロジーの力で創出された時間、コスト、そして心理的なゆとりを、事業者さんがもともとやりたかったこと、本来注力したかったことに充てることができる状態。煩雑な業務から事業者の方々を解放して、まさにブランドビジョンにある通り『商うを、自由に。』できることです。しかし、事業者の方々に利用経験や利用イメージがないなかで、こういった世界観を理解していただくのは本当に難しいことでした」と語ります。

そして、試行錯誤していくなかでたどり着いた結論は、「最も力があるのは、現在利用していて良さを実感して下さっている事業者の皆さんの声」だということでした。自分たちのことを自らで声高に喧伝するのではなく、全国を走り回って事業者さんの実例を集め、事業者の皆さんのリアルな声や事例でブランドを伝えるという手法を採ることに。野村は「実際に導入してその先のありたい姿を実現しているお客様の事例を通じて、『商うを、自由に。』の世界観が世の中に少しずつ伝わってきたと感じています。そうして共感してくださる方を増やしながら、事業者の皆さんとともに市場自体を創ってきた10年でした」と振り返ります。

Air ビジネスツールズを利用している事業者の方々と店舗の画像

まるで空気(Air)のように、普段は存在を意識させることはないが、必要なときにはしっかりと事業者に寄り添い事業を支える存在に

今では「Air ビジネスツールズ」は全国津々浦々で、しかも飲食、美容、宿泊、農業、運輸などさまざまな業種で利用され、アカウント数も346万(注2)に上ります。野村も「利用者の方が増えれば増えるほどサービスはインフラに近い存在になっており、もし仮に1分でも止まったら、大変なご迷惑をお掛けすることになるという重い責任も感じています。“Air”というブランドの名前の通り、まるで空気のように、当たり前にそばにあるという信頼を裏切らないようにしていかねばならないと考えています」と語ります。また、今後、さらに幅広い年齢層、地域などで利用頂くために、読みやすい字の大きさや視認しやすいカラー、理解しやすい言葉遣いなど、「誰も排除しない」デザインやコミュニケーションを徹底し、使いたいと思ったら誰でも、どこでも、すぐに使えるサービスにしていくと野村は言います。

「Air ビジネスツールズ」の利用による経済効果も、「煩わしさを削減できた時間」が2,172万時間/年(注4)、「削減した人件費」が230億円/年(注5)と推計され、大きなものになってきています。一方で野村は、「私たちは、デジタル化や効率化を一律に進めることが正しいとも思っていません。事業者の方によって、何を大切にしているかはさまざま。どんな状態が『商うを、自由に。』なのかは、事業者の皆さんに決めていただくべきだと考えています。例えば、デジタル化したい部分、アナログで残しておきたい部分、それは事業者さんが決めること。私たちが一律にこうあるべきと決めることはしたくないですし、そういう押し付けの一方的なコミュニケーションは、Airのブランドとして決してやってはいけないと考えています」と、ビジョンの「商うを、自由に。」という言葉に込められたもう一つのリクルートの想いとスタンスも付け加えました。

「Air ビジネスツールズ」は、まるで空気(Air)のように、普段は存在を意識させることはないけれど、必要なときにはしっかりと事業者に寄り添い、事業を支えていく存在として、これからも、ますます「商うを、自由に。」していきます。

(注1) 2023年5月時点のアプリおよびウェブサービス数
(注2) 2023年9月末時点のSaaSサービス別累計アカウント数であり、各サービス登録加盟店舗数及び事業所数を指し、アクティブ及びノンアクティブを含む
(注3) 2022年6月末時点の、日本国内で提供しているSaaSの潜在顧客事業所数の当社推定。総務省・経済産業省「平成28年経済センサス-活動調査結果」及び中小企業基本法における中小企業者の定義等に基づく中小企業者の事業所数を潜在顧客事業所数
(注4) 煩わしさを削減できた時間:『Airレジ』1台あたりのレジ締め機能の利用による削減時間 x 『Airレジ』のレジ締め機能を利用している台数+1店舗あたりの『Airレジ』売上集計機能の利用による削減時間 x『Airレジ』の売上集計機能を利用している店舗数
(注5) 煩わしさを削減できた時間 x 推定時給単価(全国のアルバイト・パート募集時平均時給におけるフード分類の時給1,059円、2023年1月時点)

株式会社リクルート プロダクト統括本部 SaaS領域プロダクトデザインユニット Airブランドマネジメントグループ 野村恭子

野村 恭子(のむら・きょうこ)

株式会社リクルート プロダクト統括本部 SaaS領域プロダクトデザインユニット Airブランドマネジメントグループ

1996年株式会社リクルート入社。人事部での採用広報の制作、社会人学習領域で編集者、季刊誌編集デスク、Webサイトの編集長を経て、販促領域でのWebサイトのアライアンスチームを統括。2014年から『Airレジ』を含むSaaS事業でマーケティング、PR、ブランド周りの業務を担当。現在はAirブランドマネジメントグループで、「Air ビジネスツールズ」全体のブランドの担当者を務める

2024年01月26日

※事業内容や所属などは記事発行時のものです。