サステナビリティ
生物多様性
TNFDガイダンスに基づいた評価
リクルートグループは、外部有識者の協力の下、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)のガイダンスに基づいてLEAPアプローチ(注1)を採用し、特定の事業活動と、自然環境や生物多様性との関わりやリスクを評価し、対応を進めています。
まずは、初期リサーチとして、評価範囲の設定、自然との接点の発見、依存度と影響の評価を行っています。評価範囲の設定にあたっては、土地利用とその変更(土地利用面積)、汚染(有害物質排出量)、資源利用(水消費量)、気候変動(GHG排出量)について分析を行い、当社で発行している情報誌ビジネスに関してリサーチを進めることを決定しました。
次に、発行している情報誌に関わる原料の調達〜廃棄、リサイクルまでのバリューチェーンを対象として、デスクトップリサーチと関係会社とのエンゲージメントを実施しました。デスクトップリサーチについては、外部指標を用いて、事業内容や活動場所、環境影響リスクがある原材料や工程について、自然への依存関係と影響を評価しています。
評価にあたっては、以下のような情報源を活用しています。
天然資源の原産地における自然状況に関するデータ(IUCN保護地域管理カテゴリーデータベース、Global Forest Watch等)
紙製品の森林認証に関するデータベース(FSC(注2)、PEFC(注3))
水リスクに関するデータベース(WRI(注4)Aqueduct)
化学物質安全性データベース(国立環境研究所Webkis-Plus、国際化学物質事務局 SIN List)
印刷物のライフサイクル環境アセスメントやカーボンフットプリントに関する研究レポート(日本LCA学会、印刷業界及び関連企業の情報)
(注1)LEAPアプローチとは、Locate(発見する)、Evaluate(診断する)、Assess(評価する)、Prepare(準備する)のステップで分析を進めること。
(注2)FSC:正式名称「森林管理協議会」
(注3)PEFC:正式名称「Programme for the Endorsement of Forest Certification」。国際的な非営利の非政府組織であり、各国の森林認証システムを管理するグローバルアライアンス。
(注4)WRI:正式名称「世界資源研究所」
植林事業
リクルートグループが行う生物多様性の保全のための活動の一つが植林事業です。マッチング&ソリューションSBUでは2006年より、リクルートホールディングスと共同出資で植林事業を進めています。この活動は、当時フリーペーパーの発行が拡大し、紙資源の使用量が増える中で「紙媒体を扱う会社として木を消費するだけでなく、自分たちでも育てて社会に貢献していこう」という、企業の社会的責任を考慮してスタートしたものです。
従業員による現地視察の様子
紙の原料となる木々の伐採の様子
リクルートグループの植林地は西オーストラリアのパース北部に7か所、計453ヘクタールに及び、いずれも豪州の森林認証であるResponsible Wood認証(PEFC(注1)相互認証)を取得しています。植林地の樹木はユーカリで、1年で3m以上も成長し、約10年で収穫できるまでに育ちます。良好な土壌選択や的確な害虫駆除・除草対策など、運営パートナーであるWAPRES(西豪州最大の植林事業会社)の現地スタッフが各植林地を定期的に回り、メンテナンスを実施しています。
2016年より伐採を開始し、2031年までの伐採計画において、収穫が予想されるチップの量は194,495GMT(グリーントン:⽔分を含んだチップの⽣重量)です。伐採・収穫された樹木は、現地で紙の原料となるチップに加工され、製紙会社に納入されます。この一連の運営サイクルにおいて、FSC(注2)認証を取得しています。
リクルートグループではこうした植林活動が社会的・将来的な価値の創出につながると考え、今後もこの活動を継続していく予定です。
(注1) PEFC:正式名称「Programme for the Endorsement of Forest Certification」。国際的な非営利の非政府組織であり、各国の森林認証システムを管理するグローバル アライアンス。
(注2) FSC:正式名称「森林管理協議会」
製紙・印刷段階における環境負荷の低減(サプライヤーとの協働)
雑誌の主原材料である用紙の調達に際しては、サプライヤーの環境負荷削減に対する取り組みを理解した上で、リクルートグループが特に大切だと考えている以下の5つの観点を確認しています。サプライヤーと共に、よりいっそう環境への負荷を減らしていけるよう、今後も協力を続けていきたいと思っています。
環境に配慮した原材料調達
CO2、廃棄物等の環境負荷物質の削減
製造工程における省エネ、効率化
主要原材料である森林資源の保護、育成
グリーン製品の開発、普及促進
フリーペーパーの最適流通
フリーペーパーはラックに大量に置けば持ち帰られる部数が増えるというわけではありません。必要としている人に必要な情報を確実に届けなければなりません。いかに適正な部数を流通させるかは、リクルートグループの事業としての貢献度を高めるとともに、資源の保全策としても有用です。
リクルートグループではムダな配本を減らす配本効率アッププロジェクトにおいて研究を重ね、その精度を上げています。ラックに置かれた部数に対し、実際に持ち帰られた部数の率を「捌け率」と呼んでいます。捌け率アップのための基本は、全体でどれくらいの部数が持ち帰られるかを見極めて適正な印刷部数を計画することです。リクルートグループではさらに、全国にあるラックを1台ごとに持ち帰られる部数の可能性を分析し、ラックの種類やその階層ごとに搬入部数設計や配送方法を工夫し、対策を立てています。また、最近ではAIも活用し、その精度向上に取り組んでいます。
紙のリサイクル
リクルートグループでは、ラックに残ったフリーペーパーの回収管理を徹底して行っています。担当ドライバーの方々から部数が報告された後、ほとんどが古紙会社へと回収され、製紙会社に納入されています。このようなリサイクルの工程を経て、ダンボールなどへと再生されています。
環境に配慮したインク等の使用
情報誌を印刷する際は、環境に配慮したインク・印刷の使用を推進しています。リクルートグループでは定期発行紙媒体の100%で、環境にやさしい「大豆インキ」を使用して印刷しています。(但し年間誌、及び表紙・ハガキ・別冊・付録等、グラビア印刷部分は除く)。大豆インキは大気汚染物質である揮発性有機化合物(VOC)の発生が通常のインキより少ないものです。また、定期発行している無線綴じの98.5%の紙媒体で、リサイクルに適した「難細裂化ホットメルト(接着剤の一種)」を利用して製本を行っています。
オフィスでのリサイクル分別
テナント入居している拠点がほとんどであるリクルートグループでは、ビルオーナーと協力して各自治体の定める分別方法を、徹底しています。2010年度より、主要拠点であるグラントウキョウサウスタワーオフィスにおいて、各フロアでのゴミのリサイクル分別を行っています。一人一人が注意を払わなくても、簡単にリサイクル分別が可能なように表示を変更し、社内コミュニケーションツールにおいて啓発しています。日本全国の拠点でも、各自治体の定める分別方法の徹底を引き続き行っていきます。