ジェンダーパリティ目標の実現に向けた取り組み
ジェンダーパリティに向けて
2030年度までに目指すグループ全体のジェンダーパリティ目標の実現に向けて、各戦略ビジネスユニット(SBU:Strategic Business Unit)において、それぞれの環境と課題に即して、ジェンダーパリティ実現に向けた施策を展開しています。
HRテクノロジーSBU
HRテクノロジーSBUのIndeedでは、「全世界の拠点において、女性とジェンダーマイノリティ(URG:Underrepresented Genders)(注2)の従業員の割合を、取締役を含むすべての職階で50%に引き上げる」を目標に掲げています。
インクルーシブ・インタビュー・ルール拡大を通してジェンダーバランスの改善へ
Indeedでは、昇格・昇進におけるジェンダー格差がほとんどないことから、採用におけるジェンダーバランスの向上が、ジェンダーパリティ実現に向けた鍵となります。そこで2021年より、採用時に候補者の多様性を実現した上で選考を開始するインクルーシブ・インタビュー・ルール(IIR)の適用を米国で開始しました。トライアルでは、IIRを適用したポストで、内定受諾者の女性およびURGの割合が半数以上に上昇しただけでなく、候補者が増えたことによって採用にかかる時間も短縮されました。
そこで、2023年からIIRの適用をグローバル全体に拡大し、社外からの採用に加えて、社内の任用・異動などすべてのポストの検討に活用しています。この展開にあたり、全従業員に対してIIR研修への参加を義務付けることに加えて、採用チームがアンバサダープログラムを立ち上げ、IIRが効果的に活用されるように推進しています。また、Indeed CEOであるChris Hyamsからのメッセージ動画を公開し、IIRの適用拡大のために、属性を聞くアンケートに任意で回答することを呼びかけています(注3)。
「Indeed Diversity, Equity, Inclusion & Belonging(DEIB+)レポート」を読む
マッチング&ソリューションSBU
マッチング&ソリューションSBUのリクルートでは、すべての従業員のキャリアや進化につながる働きがいと、誰もが自分らしく柔軟な働き方を選択できる働きやすさの両方の実現に取り組んでいます。
働きやすさについては、一人ひとりの従業員が能力をいかんなく発揮できる環境・機会の提供を目指し、2006年から取り組みを進めた結果、勤続年数や育児をしながら働く従業員の男女比率の差はほぼなくなり、女性管理職比率も2023年に30%を超えました。
ジェンダーパリティの実現に向けては、働きやすさに加えて、働きがいの向上が重要です。特にマッチング&ソリューションSBUが主に事業を営む日本では性別による役割分担意識が根強く、他国に比べて無意識のジェンダーバイアスが依然として強いと言われているため、職場においてこのバイアスを可視化して取り除く施策を行うことで、女性管理職比率の更なる向上に努めています。
管理職候補の選出におけるバイアスを取り除く
2021年にグループ全体のジェンダーパリティ目標が発表されたことを機に、採用、任用、退職といった従業員のキャリアパスにおけるジェンダー差を改めて分析したところ、特に管理職候補者を選出するプロセスに課題があることがわかりました。リーダー像や働き方に関わるバイアスにとらわれず、従業員一人ひとりの強みや能力に基づいて、多様な管理職候補者を選出するために、管理職に求める要件の明文化を行いました。明文化に取り組んだ組織では、女性のみならず男性の課長職候補者も増え、候補者の多様性の拡大につながりました。
本人と管理職のバイアスを取り除く研修プログラム
Career Cafe
ジェンダー平等を推進するには、女性本人や、管理職のバイアスを取り除くことも不可欠です。
28歳前後の女性従業員を対象に、2012年度に開始した「Career Cafe 28」は、自分の強みを把握し、キャリアを前倒しで構築することを学ぶ場であり、公募で約1,500人(国内グループ会社含む、2012年度から2022年度の累計)の女性が参加しました。また、2022年度には、30歳代の女性従業員向けに、キャリアオーナーシップの発揮を支援する「Career Cafe Next Step」を開始しました。
管理職への支援も行っており、2015年度から開始した「Career Cafe for BOSS」では、ジェンダー平等や多様な人材マネジメント推進の意義や、ライフイベントの影響を受けやすい女性従業員の成長を加速させるための実践的なマネジメントなどを学びます。「女性の能力を引き出すコミュニケーションについて、学んだことをすぐに実践した。マネジメントで大事にすべきことを学べたので全管理職に受けて欲しい」といった声が寄せられています。
コーチングメソッドを取り入れた人材育成プログラム
従業員の多様なリーダーシップ創出と、管理職の人材マネジメント力の向上を目的に、リクルートが長年行ってきた人材マネジメントの手法を形式知化しました。管理職や人事スタッフが従業員のコーチとなり、一人ひとりの違いを大切にした「個をあるがままに生かす」マネジメントの実現を支援することで、最終的には管理職全員が、女性を含むより多様な人材のマネジメントを推進できるよう取り組んでいます。
人材派遣SBU
人材派遣SBUの女性比率は、すでに全従業員と管理職で50%を超えており、残る課題は上級管理職のみです。そのため、SBU配下の各子会社でさまざまなリーダー育成プログラムの実施を進めています。
CEOチャレンジ
「CEOチャレンジ」は、実際の社会課題や事業課題をテーマに、ビジネス上の課題にいかに対処し解決するかを学ぶ、女性を含むシニアリーダーを対象としたリーダー育成プログラムです。参加チームは、事業提案を通じて機会格差の解消や新しい働き方の提案、ダイバーシティ&インクルージョンの推進といった課題に取り組みます。また参加者に対しては、アイデアの具現化に向けてコーチングや戦略策定ワークショップ、メンターシップなどの支援が提供されます。
2020年の開始以降、9つのチームがプログラムに参加し、2023年までに5つの提案が実際に事業として開始されました。
サクセッションプランニング
人材派遣SBUは、主要子会社のCEOやSBU幹部といった上級管理職の後継者の育成計画と、候補者における女性の割合増加に向けて、取り組みを強化しています。上級管理職の候補者における多様性の状況は毎年モニタリングされ、女性候補者数の着実な増加が確認されています。また、必要に応じてメンターシップやコーチング機会を提供しながら、360度評価の実施を通し、リーダーの支援に努めています。
Mentor Me
2023年に開始された「Mentor Me」は、女性リーダーとデジタル人材の育成を目指すグローバルメンターシッププログラムです。参加者が人材派遣SBU各社のシニアリーダークラスの女性とつながり、彼女たちの経験から学ぶことで、自身のキャリアについて新たな視点を得ることを目的としています。2023年2月の開始以降、合計80名以上の女性が参加を表明しています。
- 本ウェブページに記載の年数は、その年の4月1日に開始し、翌年3月31日に終了する当社の会計年度を意味する。また本ウェブページに記載の数値は、すべて概数。
- Under Represented Gendersとは、ジェンダー(自認性、性的指向、性表現)について、一般的な母集団の中で少数の割合を占めていたり、優位な立場にある社会的グループに属する人々と比較して、相対的に不利な立場に置かれているマイノリティグループのことを指します。
- IIRのグローバル展開にあたり、候補者に人口統計学的データを求めることが法的に認められている国では、Indeedは任意で、個人の属性情報について回答するアンケート(VSIQ:Voluntary Self Identification Questionnaire)を送付しています。