サステナビリティ

雇用市場の障壁を低減し、
3,000万人の就業を支援する

社会へのコミットメント

2030年度までに、世界の雇用市場で学歴、犯罪歴、障がいや軍隊経験など様々な障壁に直面する求職者累計3,000万人の就業を支援する(注2)

本来、採用は、仕事に必要なスキルや能力によって決まるべきです。しかし、雇用市場に存在するバイアス(偏見)や障壁は、求職者の仕事探しや採用、仕事の継続に悪影響を与えています。

リクルートグループは、プラットフォームの進化、パートナーシップによる支援、そして自社の取り組みを通じて、障壁の低減を目指します。より良い生活を支えるいい仕事との出会いを増やすことで、より公正で持続的なソーシャルインパクトを創出していきます。

2022年度は、学歴、犯罪歴(注3)、障がい、従軍経験(注4)の障壁に直面する求職者、加えて求職活動のためIT(パソコンや携帯等)や交通手段を持っていない求職者(注5)への支援を通じて、5つの障壁の低減に注力しました。

学歴の壁を低減するための取り組み

「学歴」は採用における障壁であってはならないと考えています。しかし、米国で行われたある調査では、約6割の雇用主が、候補者に十分なスキルや経験があるにもかかわらず、大学など高卒後の学歴がないことを理由に不採用にしたことがあると回答しています(注6)。また学歴の壁は、就業機会だけでなく、賃金や生涯年収など、働く人々の人生に多大な影響をおよぼしています。

1 米国労働統計局、2 全米経済研究所、3 ジョージタウン大学 教育・労働力センター

プラットフォームの進化

学歴の壁の低減に向けて、Indeedの求人情報を作成する画面で、企業クライアントに、応募者のスクリーニングに「学歴要件」が必要かどうかを再度確認してもらうテストを行いました。具体的には、求人作成画面上で、学歴要件の項目をレコメンドすることをやめたところ、学歴を要件とせずに募集をする企業が増え、応募者も増えるという結果が出ました。

このテスト結果を受けて、全米の画面に展開したところ、大卒資格を応募要件とする求人は37%減少し(注7)、大卒要件のない求人には約10%(注8)多くの応募が集まり、より良い採用につながる可能性が高まりました。

大卒資格を応募要件に含めている求人割合

また、求職者が大卒資格不要の求人情報を見つけやすくするために、検索フィルターを追加しています。

大卒資格不問の仕事を見つけやすい検索フィルター

パートナーシップを通じた取り組み

米国だけでも年間500万人以上が、政府が運営する職業訓練プログラムを受講しています(注9)。しかし、その修了履歴がレジュメやプロフィールに反映されているケースは少ないことがわかっています。これは、一般的なレジュメの項目が大卒者向けに作られているため、実務や職業訓練プログラムを通じて得た経験やスキルをアピールすることが難しいためであると、複数のプログラム開発団体が指摘しています。

そこでIndeedでは、3カ国で、職業訓練プログラムを開発する4つの団体とパートナーシップを組み、職業訓練プログラム修了者と採用企業をつなげるSkillConnectの試作版をリリースしました。SkillConnectを使うと、自動で、職業訓練プログラムをIndeedレジュメ上のスキルに変換することができます。そのため、職業訓練プログラムを修了した求職者は、入力の手間なく、スムーズにレジュメ作成を始めることができます。プログラム修了者が得たスキルや経験は、パートナー団体の協力により、Indeedのスキル分類に適切にマッピングされています。

獲得したスキルをIndeedレジュメに反映できれば、Indeedはその情報を用いて、職業訓練を修了した求職者とそのスキルを必要とする企業をマッチングすることができるようになります。始まったばかりの取り組みですが、利用した求職者やパートナーからは、採用につながった事例が出ているとの報告も受けています。職業訓練プログラムを受講する数万人の求職者が、獲得したスキルを活かして適切な仕事を見つけられるよう、SkillConnectを通じた支援を続けていきます。

自社の取り組み

自社の採用においても、学歴の壁の低減に取り組んでいます。Indeedでは、社内にプロジェクトチームを立ちあげ、Indeedにおけるすべての仕事の職務要件を見直し、本当に学位を必要とする仕事以外は学歴要件を削除しました。これによって、募集の大半である700以上の求人から学歴要件が取り除かれました。

その他の障壁に対する取り組み

犯罪歴

犯罪歴のある求職者は、選考通過や採用の連絡を受ける確率が50%以上低い(注10)

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障がい

障がいのある求職者は、仕事探しにおいて障壁に直面する上、仕事をする上で更なる苦労がある場合がある

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従軍経験

軍隊生活から市民生活に移行しキャリアをスタートしたい退役軍人は、これまでのスキルや経験をうまくアピールできず仕事探しに苦戦するケースがある

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求職活動の必須アイテム(ITアクセスや交通手段など)

インターネットへのアクセスや交通手段などの最低限必要な支援がないと、仕事探しや就業を始めるのが難しい求職者がいる

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グループ企業における取り組み

マッチング&ソリューションSBU:リクルートの取り組み

日本を中心に事業を展開するリクルートでは、2011年より学校や地域の就労支援機関などで展開していた就労支援・キャリア教育プログラム「WORK FIT」を、2022年に初めて受刑者向けに展開しました。再犯防止という課題の解決に向けて、女性刑務所において出所後の生活準備を促す受刑者向けプログラムを展開しています。

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人材派遣SBU:CSI Companiesの取り組み

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目標達成に向けた道のり

2022年度には、プロダクトの進化とパートナーシップによる取り組みを通じて、累積約390万人(注11)の障壁を低減し、採用を実現することができました。今後はプラットフォームやサービスを更に進化させることで、企業クライアントの中で高まる、インクルーシブ・ハイヤリング(注12)のニーズに応えていきます。

就業までに掛かる時間を半分にする

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コミュニティ支援

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  • 本ウェブページに記載の年数は、その年の4月1日に開始し、翌年3月31日に終了する当社の会計年度を意味する。また本ウェブページに記載の数値は、すべて概数。
  • 当社グループが運営する求人プラットフォーム上の応募を通じた就業、当社グループが支援するNPO等の団体を通じた就業等を含む。2030年度までに、雇用市場における課題を見極めた上で様々な障壁の低減を行っていく。
  • 米国では約7,000万人に犯罪歴があり(出典:The Sentencing Project)、犯罪歴がある求職者の失業率は米国平均の約5倍(出典:Prison Policy Initiative)。
  • 2016年に行われた米国商工会議所財団の調査では、退役軍人の53%が退役後4ヶ月以上にわたって、失業していることがわかっている。実際、当社サービスにおいても軍隊生活から市民生活に移行中の退役軍人は、軍で得たスキルや経験を雇用市場でうまくアピールできずに仕事探しに苦戦するケースが見受けられている。
  • インターネットに接続することが出来ず求人プラットフォームにアクセスすることができない、面接や仕事に行くための交通手段がないといった、求職活動の機会を著しく限定する障壁を示す。
  • 出典:Accenture, Grads of Life, Harvard Business School「Dismissed by Degrees: How degree inflation is undermining U.S. competitiveness and hurting America’s middle class.」(2017)
  • 米国のIndeedで、大卒資格を必須とするスクリーニング項目を含めなかった求人情報の割合は、2022年5月時点の22%から、2023年1月に14%へ減少した(減少割合は37%)。
  • 特定の職種において、大卒資格を必須とした職種と比較し、大卒資格を必須としなかった職種の方が応募者数が10%多かった。
  • 出典:Employment and Training Administration, United States Department of Labor 「Workforce System Results.」(2019)
  • 出典:Wendy Sawyer, Peter Wagner「Mass Incarceration: The Whole Pie 2020」(2020)
  • 2021年5月1日から2023年3月31日までの間に、採用シグナルの測定を通して、世界中の求職者および雇用主からIndeed上で報告された就業データに基づく。学歴、犯罪歴、軍隊経験、障がいの有無、または求職活動のために必要なパソコンやインターネット等を持っていないという雇用市場の障壁のうち、少なくとも一つに直面した求職者の就業数の累計。
  • 社会の多様性を反映した職場を実現するために、公正性を高めた採用を実現するための企業の取り組みを示す。