高い専門性を持つ仲間やパートナーとともに、 実践を通して、学び続ける
税務統括部
国内税務ディレクター
谷中 厚子
変化を厭わず、常に事業にとって何がベストかを考え抜く。
私は税務統括部の中でも、主に日本国内における税務を担当しています。税務には「コンプライアンス」と「プランニング」という2つの大きな役割があります。まず「コンプライアンス」の面では、国内事業の大半を占める株式会社リクルートの一員となり、ミーティングやメーリングリストを通して、担当者からの様々な取引に伴う税務相談を受けたりしながら情報収集とリスクチェックを行うとともに、決算時の税金計算や申告書作成を通じて正しい納税を担保しています。また、新商品の立ち上げ等の際には、経理や財務などファイナンス部門全体でチームを組み、商品開発チームや事業統括とも連携してリスクチェックを行っています。チームの中では経理の実務処理であっても違和感を感じた時は踏み込んで指摘をしますし、逆に税務の点に対して他部門の方からアイデアをもらうことも多々あります。それぞれの専門性を尊重しながらも、共通の目的のために 互いに領域から足を踏み出して協働するところは、事業会社における税務ならではかもしれません。
一方「プランニング」の面では、組織再編やM&Aなどのプロジェクトが立ち上がる際にまず税務統括部に声が掛かり、各種法令や税効率などを考慮しながらストラクチャーの検討を行います。多くの企業ではストラクチャーが固まった後で、税務にリスクチェックなどの検討を依頼されるケースがほとんどだと聞きますが、当社では初期の段階から検討に加わることで、税務的観点を踏まえたストラクチャーの構築に取り組んでいます。これは、税務を担当する私たちにとっても大きなやりがいにつながっています。
プランニングの中では優遇税制の積極的な適用にも取り組んでおりますが、その他にも税制の中には制度の選択適用が可能なケースがあります。こういった場合、一般的には他社事例などを参考にしつつ判断することが多いのですが、当社では制度選択によるPros&Consを徹底的に洗い出し、どちらを選択するか社内で検討を重ねます。一つ事例をご紹介しましょう。日本では2022年度からの税制改正に伴って、これまで連結納税制度を利用してきた企業が、新制度となるグループ通算制度に移行するか、単体納税制度に移行するかを選択できることになりました。もちろんグループ通算制度を利用すればこれまでと変わらず連結で納税を行うことになるので、9割以上の企業はそれを選択されたようです。変更に伴う様々なコストやリスクを考慮すれば、それも妥当な判断と言えるかもしれません。一方では単体納税制度のほうが決算早期化などの効果をもたらすことも確かです。当社では2020年に国内の分社化していた事業会社・機能会社を株式会社リクルートとして再統合したこともあって、連結納税制度を選択した当時とは事業も組織も大きく変化していました。そこで、グループ通算制度だけでなく単体納税制度も選択肢に加えて検討を重ねた上で、税務統括部ならびにパートナーの税理士法人の関係者が集まって、どちらを選択すべきか意見を持ち合った結果、最終的に全員一致で単体納税制度を選択しました。変化することを厭わず、常に当社にとって何がベストかを考え抜き、外部を含めて広く知見を集めた上で、最後は自分たちで意思決定を行う。そんなリクルートらしい税務のあり方が凝縮された案件だったと感じています。
教科書には載っていない最先端のケーススタディが
目の前に。
私は化粧品メーカーや外資系企業で経理を経験した後、リクルートグループの広告制作を担当する機能会社であるリクルートコミュニケーションズ(現・株式会社リクルート)に入社したのですが、その時も担当は経理や管理会計、コンプライアンスに関する内部統制などでした。その後、グループ全体の経理・法務・総務業務などを統括する機能会社のリクルートアドミニストレーション(現・株式会社リクルート)に転籍しました。それからしばらくして新たにグローバル税務組織が作られることになり、立ち上げに参加して現在に至ります。もともと税務が専門分野だったのですが、経理組織の中での税務は、ある程度業務内容が限られますので、税務を専門とする組織で与えられた目の前の機会に右往左往しながら、事業経営の経験が豊富な部長やプロフェッショナルファームからジョインされた高い専門性を持つ同僚の皆さん、パートナーである税理士法人の方々にサポートいただき、試行錯誤を繰り返す中で経験を積み重ねてきました。
リクルートグループは組織再編が頻繁に起こり、M&Aなども積極的に行われているため、教科書には載っていないような一つとして同じものがないプロジェクトに次々とアサインされます。また、部内では情報共有がオープンに行われています。もちろん進行中の案件にはインサイダー取引防止規定などの観点から情報共有が制限されるものもありますが、規程に抵触しない可能な範囲で各々が担当する案件の進捗状況を共有し、互いにアドバイスしあったり、すでにディールが完了した案件を振り返ってナレッジやノウハウを共有したりしています。自分が担当していない国際案件についても、情報共有を通して現場の生々しい情報に触れることができるので、とても勉強になりますよ。最先端のケーススタディを、これほど多く、かつ実践を通して学べる場所は他にはないと思います。
家族をサポートするため一度退職するも、再入社。
温かく迎え入れてくれた仲間と、働きやすい環境に感謝。
リクルートコミュニケーションズ在籍中に子供が生まれ、産休・育休を取得。出産後1年で復帰しましたが、当時はまだ在宅勤務ができる環境もなく、育児と仕事の両立はまだまだ難しいものでした。それでも、周囲の皆さんの理解とサポートのおかげで仕事を続けてくることができました。実は、私は4年ほど前に一度退職しています。一度区切りを付けて、家庭に専念することにしたのです。その時にも「また落ち着いたら戻っておいで」という話をしてもらっていたのですが、「そろそろ戻ってこない?」とお声掛けいただき、もう一度チャレンジしてみることにしました。部長や周りのメンバーの皆さんに温かく迎え入れていただき、本当に感謝しています。
離れていたのは1年ちょっとの間でしたが、たった1年でこんなにも変わるのかと驚きましたね。事業のグローバル化が進み、税務統括部内でも国際案件の数が飛躍的に増えていましたし、まだコロナ禍前でしたがリモートワーク活用が拡大していて、ほぼ在宅で仕事が完結できる環境が整っていました。以前に比べて、格段に働きやすい環境になっていると思います。オンボーディングも丁寧にしていただいたおかげで、ブランク期間に起きていた様々な変化にもスムーズに対応することができました。ライフステージに合わせて柔軟にワークスタイルを選択でき、一度離れたとしても、また戻ってきて活躍できる。そんな働きやすい環境や企業文化もリクルートの魅力の一つと言えるのではないでしょうか。
これからも絶えず変化し続ける事業環境の中で、タックスコンプライアンスをしっかりと維持していけるように、気を引き締めて対応していきたいと思っています。またプランニングの面でも、グループの成長をサポートできるように、最先端の知見や新しい手法を積極的に採り入れていきたいですね。今後も新しい案件が続々と出てくると思いますので、それらを一から検討していくプロセスを一緒に楽しんでいただける方に入社していただけると嬉しいです。
谷中 厚子(たになか・あつこ)
国内税務ディレクター
税務統括部
2022年09月01日
- ※事業内容や担当業務内容などは2022年08月05日記事発行時のものです。