一方で、金融機関からの借り入れには心理的ハードルもあり、自己資金で賄えないならやりたいことをあきらめるといった方も多いのが現実です。冨田は「金融機関からスピーディに少額の融資がされないということは、中小事業者の生産性向上や付加価値サービスの創出を阻害している要因のひとつでもあると感じていました」と、『Airキャッシュ』の構想につながった課題感を語ります。
リクルートが提供する、将来の売上を今のお金にかえる資金調達サービス『Airキャッシュ』は、2021年に試験的にスタート、2022年4月1日に本格的にリリースされました。
サービスのポイントについて冨田はまず、「『Airキャッシュ』では、ユーザーエクスペリエンスを、『より速く、シンプルに』することに徹底的にこだわりました。既に『Airペイ』を活用している企業クライアントは、これまでの取引実績がデジタルに蓄積されています。その情報を活用して、資金調達のプロセスを極限まで簡易化し、2タップで、しかも文字入力も無く調達できるシステムを構築しました。余計な手間の少ない“なめらか”な、そして圧倒的に“速い”サービスを実現しています」と説明します。
具体的には、必要な金額と引落しプランを選ぶだけ、わずか2タップで申し込めます。面倒な入力作業や書類の提出も一切ありません。入金は最短翌日。必要な時にすぐ資金を手元に得られて、使い道も自由です。そして、精算も手間なく安心。『Airペイ』の売上から自動で引き落とされるため、残高チェックも不要、振込みの手間もかかりません。
『Airキャッシュ』は、わずか2タップで資金調達の申し込みが完結する
さらにもう一つのポイントとして、「『Airキャッシュ』の採用している資金調達の方法は、貸付ではなく債権譲渡の方法により、自社の将来の売上を先に現金で引き出すという考え方です。ちょっとした挑戦に、より前向きに踏み出しやすくなるのではないかと思っています」と付け加えます。
飲食店、美容室、小売店などの多くのお店の方々から選ばれており、利用した方からは、「申込みから入金までスピーディで使いやすい」「手元資金に余裕ができ、不安を払しょくできた」「お試し感覚で使ってみたけれど、信用情報機関への登録がないのもいい」などといった感想をいただいています。
今後について、「お金の流れをもっとスムーズに、スピーディにしていきたいと思っています。世の中の情報流通のスピードがますます速くなっている中で、お金の流れももっと速くしていけるように感じます」と言う冨田。
現状、事業者のBtoB取引は平均で1.8ヶ月の資金滞留が起こっています。会社員も、今月働いた分の給与は、翌月20日振り込みになっているなど、社会のなかでかなりの量のお金が滞留しています。
「こうした滞留期間が無く、すぐに資金が手元に入れば、チャレンジしたいと思っていたことに機を逃すことなく即挑戦ができる。お金の流れをスムーズにすることで、選択肢を増やすことができる。お金は『機会の源泉』でもあると思っているんです」
シンプル、スピーディ、かつ経営状態に見合った資金調達が可能となる『Airキャッシュ』は、事業者の方の「前向きなちょっとした挑戦」を支援します。
最後に冨田は、「『Airキャッシュ』をご利用いただく中小事業者の皆さんが、提供するサービスの質を高めることができたり、ちょっとした業務効率化や働く環境をより良くするチャレンジをしやすくなれば、結果的にカスタマーや働く従業員の方々にとっての幸せも増えるはずです。そうすれば日本をもっと元気にできると信じています」と今後のビジョンを語りました。
冨田一清(とみた・いっせい)
Airキャッシュ プロダクト担当者 リクルート プロダクト統括本部 プロダクトマネジメント統括室 SaaS領域プロダクトマネジメント室 ファイナンスプロダクトマネジメントユニット
2005年 株式会社リクルートジョブズ(現 株式会社リクルート 中途Division)に入社。アルバイト・パート領域でのメディアプロデュース、販促領域での戦略企画に従事後退社。アパレル企業でEC展開に携わり、13年再入社。ID戦略企画、FinTech推進室にて前身となる中小事業者向け融資事業の立ち上げに携わり、2020年8月より現職