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退職者の再雇用・協働という新しい文化を創る ー 新規事業コンテストRingから生まれた新サービス『Alumy』

リクルートで40年以上続く新規事業提案制度Ring外部サイトへ(旧New RING)は、従業員の起業家精神を鼓舞する仕組みとして常に進化を続けてきました。そして2022年、このRingからまた新しいアイデアが誕生し、実証実験に入りました。退職者再雇用支援サービス『Alumy(アルミ―)』外部サイトへです。「退職者管理システム」と「カムバックコーディネーター」の掛けあわせで、企業と退職者の再会を支援しています。起案チームの小町俊樹、金田知樹、鈴木康誠に、実現までの経緯と目指す世界観について聞きました。

日本では「退職者=裏切者」というイメージがまだ根強い

小町はこのテーマに取り組むきっかけとなった出来事をこう振り返ります。「2019年当時、人材領域の営業として、ある飲食業のクライアントを訪問していました。人事の方の悩みは、多くの人材を採用しても定着しないこと。本当に即戦力となる人材を採用したいとおっしゃっていました。私が『結局、どういう人が採用できるといいですか?』と聞くと、『元いた従業員が一番いいかな』と。実は当時私は、自分の興味の範囲で国外の先進事例を研究しており、アルムナイ(同窓生)を再雇用するカムバック制度というものがあることに興味を持っていました。そのことと目の前のクライアントのニーズ、点と点がつながった瞬間でした。グループの他のメンバーにも訊ねてみると、みんな同じような話題になったことがあるものの具体的な解決策を提示できていない様子。これこそ既存事業ではなく新規事業で取り組むテーマだと確信したんです。」

それから小町は、同僚の金田、鈴木とチームを組み、この課題に挑戦していくことに。実はこの三人は、同じ大学から偶然にもリクルートに入社した、本当のアルムナイ。小町が営業現場から見出した「不」を手掛かりに、事業企画の経験を積んでいた鈴木がサービスの競争優位性を検討し、ファイナンスの経験を積んでいた金田が経営者目線での価値を研ぎ澄ませ、見事なチームプレーで、短期間のうちに構想を練っていきました。

「営業をしていて、日本企業には『退職者=裏切り者』といったイメージがまだ根強く残っていると感じます」と鈴木。この固定概念を壊すという壮大な挑戦を、最速で実現し、世の中により大きな影響を与えたい。そう考えた三人が次のステップとして選んだのは、独立して起業することではなく、リクルート社内の新規事業提案制度Ringに応募することでした。

これまでも新たな常識を創ってきたRing

Ringは、リクルートで40年以上続く、新規事業提案コンテスト。1982年に業務密着型アイデアコンテストとして始まり、1990年からは、通常業務の垣根を超えた非日常のチーミングとアイデアを歓迎する新規事業起案に特化したイベントとなり、『ゼクシィ外部サイトへ』『スタディサプリ外部サイトへ』『カーセンサー外部サイトへ』『HOT PEPPER外部サイトへ』といった事業・サービス誕生のきっかけとなりました。IT化に舵を切った2015年には、それまでの年に一度のお祭りから、市場の変化の速さに対応するため、毎月のピッチコンテストにモデルチェンジ。2018年には年一回の開催に戻す一方で、スキルアップのためのワークショップやツールの整備、インキュベーションのための役職者のサポート強化、起案だけでなく応援や協力の形で多くの従業員が参加できる仕組みなどを導入。従業員の起業家精神を鼓舞する仕組みとして、常に進化を続けています。

新規事業開発を目的に掲げたコンテストですから、その審査では「儲かるのか?」だけが重視されると思われるでしょう。しかしRingでは、収益性と同様に、もしくはそれ以上に重視される観点があります。それは、世の中がまだ気づいていないような「不(不満や不便、不安など)」を解消しようとするものか、それによって人々があっと驚くような「新しい価値の創造」や新常識を創り出す可能性を秘めているかどうか、です。過去の例でいえば、『ゼクシィ』は「結婚式は周囲から勧められた会場で行うもの」という当時の日本の一般常識を覆し、「自分たちで選び、アレンジする」という自由主義的文化を根付かせました。『スタディサプリ』は「田舎で、または貧しい家庭で良い教育が受けられないのは仕方のないこと」という暗黙の了解を打破し、金銭面や地理的な制約を理由に勉強を諦めることはいまや学生の常識ではなくなりつつあります。新規事業は、新たな収益源の種というだけでなく、日本の社会的課題に一石を投じ、新しい文化、新しい商習慣を創造するという挑戦でもあるのです。

小町、金田、鈴木の三人は2021年のRingに応募。選考を勝ち抜いて行き、『Alumy』は964件の応募作品のなかで見事グランプリを受賞しました。

3名の笑顔の男性がRing Award グランプリのパネルを持っている

2021年のRingでグランプリを受賞

一緒に働いた仲間と、一生、仲間であり続けられる世界に

『Alumy』は2022年1月から実証実験の段階に入り、「退職管理システム」と、企業と退職者をつなぐ「カムバックコーディネーター」の2つの機能を提供しています。

「まさに、今日の午前中、ご利用いただいたユーザーの方から電話があって、留守電にメッセージを残してくれたんです。『退職した自分に対し、再度同じ会社で働く機会を提供してくれたことに、お礼を伝えたくて電話しました。またメールでご連絡します』と。終身雇用という1社に一生勤め上げる独特の慣習が長らく続いてきた日本では、『退職者=裏切り者』という考えが一部に根強く存在していて、そのことによって失われてしまう機会があることを実感しました」と金田は、このサービスが立ち向かっている真の課題について語ります。

「『Alumy』のビジョンは、退職者と企業が、一緒に働いた仲間と、一生、仲間であり続けられる、新しい世界を創ることなんです。」と語るのは小町。「企業の方々と会話するなかでも、『リクルートさんなら、何かやってくれそう』と言っていただくことも多いです。これまで、人材マーケットでさまざまな可能性を切り拓いてくれた先人たちの歴史があったからこそ、『Alumy』への大きな期待があるのだと思います。」

最後に3人は、新規事業を通じて実現したい未来について、真っ直ぐな眼差しで述べました。「もしここで、リクルートの『Alumy』が失敗したら、日本における退職者の再雇用・協働という新しい文化の創造が、大幅に遅れてしまうかもしれない。100億円の売上を立てることももちろん大事。でも、今は、お金と同じかそれ以上に「元いた会社で再び働きたい」と思う人たちの気持ちを絶やさないようにしたいです。目の前に、新しい価値の創造を通じて世の中をより良くできるチャンスが迫ってきているのだから、社内にあるあらゆるリソースを活用して、自分たちにできることは全て取り組むつもりです。」

Ring Awardに参加した3名のチームメンバーが笑顔で肩を組んでいる様子

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小町俊樹(こまち としき)

リクルート プロダクト統括本部 新規事業開発室 インキュベーション部 事業開発1グループ

大学卒業後、2018年リクルートキャリアに入社。半年間、リクルートの人事で新卒採用に携わった後、中途採用事業でリテールと大手の営業を経験。制作・PE統括室 第2ソリューションユニットで、まなび領域のプロダクト開発を経て、現在、『Alumy』の顧客折衝を担当

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金田知樹(かねだ ともき)

リクルート プロダクト統括本部 新規事業開発室 インキュベーション部 事業開発1グループ

大学卒業後、2018年にリクルートホールディングスに入社。財務統括部にて資金管理やM&Aにおけるファイナンスリスクマネジメントに従事。その後、新規事業開発室に異動し、現在、『Alumy』のプロジェクト推進を担当

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鈴木康誠(すずき こうせい)

リクルート プロダクト統括本部 新規事業開発室 インキュベーション部 事業開発1グループ

大学卒業後、2018年リクルートキャリアに入社し、エージェント事業で事業企画を担当。19年から、アライアンス事業やスカウト事業などで3つのHRプロダクトの新規の商品企画を担当。その後、新規事業開発室に異動し、現在、『Alumy』の企画を担当

2022年08月22日

※事業内容や所属などは記事発行時のものです。