Indeed CEOのChris Hyams
Senior Vice President of Environmental, Social and Governance (ESG)であるLaFawn Davisのセッションでは、AIにまつわるバイアスをどう捉えどのように取り組んでいるかについて掘り下げました。
何も手を打たなければAIは現実世界の人間のバイアスをそのまま反映してしまいます。企業の人材採用におけるアルゴリズムもまた例外ではありません。「とあるネット販売大手のグローバル企業では、機械学習が過去の採用バイアスを取り込んでしまい、女子大出身の応募者にとって不利な男性優位なアルゴリズムになっていた、ということがありました」と実例を紹介しました。
LaFawnは、AIがバイアスの低減に有用となる可能性についても強調しました。Indeedでは2020年から、責任あるAI活用(英語のみ)の徹底を目指してAIの活用方法とその倫理的側面について検討を重ねてきました。Indeedのプラットフォームでは、今やあらゆるところでAIが活用されています。LaFawnは、「Indeedは、公平な採用の実現を念頭に置いて作られています。採用プロセスをインクルージョン(包摂性)の観点で評価し、再設計するサイクルを繰り返し、求職者が労働市場で直面しやすい、犯罪歴、障がい、学歴の有無といった障壁を低減するために、試行錯誤しながら改良を続けています」と語りました。
なかでも現在力を入れているのが「学歴の壁」の低減です。例えば米国では、何百万人もの求職者が学士号がないために書類審査で一律不合格になっているのです。現実には、スキルを基準に採用された人は、学歴だけをもとに採用された人よりも、仕事で成果を出す可能性が5倍高い、というデータもあります。そこでIndeedでは、職業訓練など、大学以外のルートでスキルを習得した求職者と企業のマッチングを推進するSkill Connect(英語のみ)というサービスを提供しています。また、現在開発中の採用担当者向けのAIツールでは、学歴でふるいにかける(Screen out)のではなく、履歴書の記載内容から業務の遂行に必要なスキルを特定し、自動的に候補者リストに上げる機能(Screen in)が検討されています。
スピーチの締めくくりに、LaFawnはAIと人の関係性に触れました。「人事はその名の通り『人』が大切で、採用の合否判断の場面では特にその重要性が増します。71%ものアメリカ人が、AIが合否判定をすることに反対していることも分かっています。AIとともにより良い仕事の未来をつくるには、まず行動を起こすことが重要です。皆で協力すれば、偏見や障壁に直面している求職者も誰一人取り残さずに済みます」と参加者に協力を求めました。
さらに詳しい内容はIndeed Japanのブログをご覧ください。
IndeedでSenior Vice President of ESGを務めるLaFawn Davis
「既存の仕事への影響」に焦点を当てたのは、Indeed Hiring LabのChief EconomistであるSvenja Gudellのセッション。このプレゼンテーションが行われた当日の朝に発表されたばかりの『AI at Work Report』の内容も引用しながら、AIが私たちの仕事に与える影響について話しました。
米国のIndeed上の5,500万件以上の求人情報と2,600以上のスキルについて分析した結果、ほぼすべての仕事が生成AIにより一定の影響を受け、特に約20%が大きな影響を受けることが明らかに。生成AIの影響が最も少ないのは運転手で、逆に最も影響を受けるのはソフトウェア開発者、リモートワーク可能な仕事はAIの影響を受けやすい、といった特徴的な結果も。ただし、「生成AIが役立つのは、反復可能なタスクや要約が主なもので、クリティカルシンキング、共感、リーダーシップなど、対人コミュニケーションに必要なものを代替することはできない」と、生成AIが人間に取って代われるレベルにはまだ至っていないことも明かしました。
Indeedが米国企業の採用担当者に対して行ったアンケートでは、87%が「何らかの形でAIを業務に使っている」と答える一方で、求人全体における生成AIに関する求人数は1%にも満たないこともIndeedの別の調査で分かっています。これは、人とAIの在り方を示唆するものでしょう。「知識労働者は、AIをツールとして活用することで生産性を向上させ、不要な作業をなくして、仕事のより面白い部分に集中することができる」とSvenja。
「変化は間違いなく起きて、しかもその変化の影響は大きなものになると思っています。失われる仕事もあるでしょうが、歴史から学べることは、このテクノロジーの進化の過程で、数多くの新しい仕事も生まれるということです」と、前向きな側面を強調しつつプレゼンテーションを終えました。
さらに詳しい内容はIndeed Japanのブログをご覧ください。
IndeedでChief Economistを務めるSvenja Gudell
AIは仕事探し・採用プロセスの改善にどう役立つのかを解説したのがExecutive Vice President 兼 GM of EnterpriseのMaggie HulceとExecutive Vice President 兼 GM for EmployerのRaj Mukherjeeのセッションです。
Rajはまず、「企業の採用担当者にとって、採用のあらゆる段階で、候補者が音信不通になることが大きなストレスになっている」と語りました。しかしMaggieは、求職者側も同様にストレスを抱えているとし、「75%の求職者が、応募した後に企業から連絡がないのは、初めてのデートの後に相手から連絡がなくなることよりつらいと感じている」というデータを紹介し、「Indeedは、より早く両者がつながれるよう、AIの力で採用プロセスの高速化を進めています。応募後4時間以内に連絡を受けた候補者が採用に至る確率は、1週間後まで連絡を受けなかった候補者に比べて、95%も高いのです」と、この問題へのIndeedのアプローチを説明しました。
そして、この採用プロセスの高速化のために、Indeedが米国で進めているAIを活用したプロダクト上の取り組みを紹介しました。まず、求人票の情報をもとに、Indeedに登録されたすべての履歴書の中から条件に合う求職者をランキング形式で提案する候補者提案機能(Matched Candidate、英語のみ)。求人企業はボタン1つで、提案された求職者に対して応募を促すメッセージを送信することも可能です。Rajは、「この機能によって求職者が求人を知った場合、自分で検索して見つけた求人よりも17倍応募する可能性が高くなるんです。必要とされるというのは嬉しいものですよね!」とその効果を強調しました。
さらに、2024年春にはこのMatched Candidateが履歴書検索機能(Resume Search、英語のみ)と統合し、「Smart Sourcing」という新たなプロダクトに生まれ変わる予定であることも明かしました。ユーザーは、Matched Candidateの履歴書ランキング、候補者の特筆すべき経験をAIが端的にまとめた候補者ハイライト(Candidate Highlights)、採用担当者が履歴書の内容について個別に候補者に質問をしたい場合にAIが瞬時にメッセージをドラフトしてくれるスマートメッセージ(Smart Message)といった機能を、一か所ですべて利用できるようになる、とRajはその利便性をアピールしました。
また、先日正式にサービス提供が始まった生成AIによる求人票生成機能(AI Job Description Generator、英語のみ)は、すでに80万社のIndeedのクライアント企業によって使用され、200万件以上の求人票が作成されているとのこと。Rajは「求人票の作成には何時間もかかるのが普通でしたが、この機能を使えば数分で魅力的な求人票を作ることができます。半年間のベータ版テストでは、AIが作成した求人票には16%多くの応募が集まりました。将来的には、求人票の書きぶりが応募につながるかどうかの可能性を示す指標が企業に即座に提示されるようになる予定」と語りました。より市場競争力のある求人票にするための改善提案もAIができるといいます。
最後にMaggieとRajは、採用はチームで取り組むものであることを挙げ、その協業をより簡単にすることにも取り組むと述べました。Maggieは、「採用企業向けのアプリを、働く場所や働き方に関わらず、いつでも誰とでもつながれるものにリニューアルすることを検討しています。AIは採用をもっと簡単に、もっと速くできます。しかし同時に、その中心は“人”であり続けるように、力を合わせて取り組んでいきましょう」と、参加者に訴えかけました。
さらに詳しい内容はIndeedのブログ(英語のみ)をご覧ください。
IndeedでExecutive Vice President 兼 General Manager of Enterpriseを務めるMaggie HulceとExecutive Vice President 兼 GM for EmployerのRaj Mukherjee