recruit logo

Corporate Blog

  • サステナビリティ

労働市場の障壁を低減するリクルートグループの取り組み:学歴の壁

リクルートグループは「2030年度までに、世界の労働市場で障壁に直面する求職者累計3,000万人の就業を支援する」ことを目標に掲げており、これには学歴へのバイアス(偏見)による障壁も含まれています。「学歴」は採用における障壁であってはなりません。しかし、米国で行われたある調査によると、約6割の雇用主が、候補者に十分なスキルや経験があるにもかかわらず、大学など高卒後の学歴がないことを理由に不採用にしたことがあると回答しています(注1)。このブログでは、リクルートグループの学歴の壁の低減に向けた取り組みを紹介します。

1 米国労働統計局、2 全米経済研究所、3 ジョージタウン大学 教育・労働力センター

プラットフォームの進化

学歴の壁の低減に向けて、Indeedの求人情報を作成する画面で、企業クライアントに、応募者のスクリーニングに「学歴要件」が必要かどうかを再度確認してもらうテストを行いました。具体的には、求人作成画面上で、学歴要件の項目をレコメンドすることをやめたところ、学歴を要件とせずに募集をする企業が増え、応募者も増えるという結果が出ました。

このテスト結果を受けて、全米の画面に展開したところ、大卒資格を応募要件とする求人は37%減少し(注2)、大卒要件のない求人には約10%多くの応募が集まり(注3)、より良い採用につながる可能性が高まりました。

2022年1月から2023年1月の間で大卒資格を必須要件に含む求人の割合が37%減ったことを示すグラフ

大卒資格を応募要件に含めている求人割合

また、求職者が大卒資格不要の求人情報を見つけやすくするために、検索フィルターを追加しています。

Indeedの検索ページ上の、学歴不問の求人に絞り込むプルダウンのイメージ

大卒資格不問の仕事を見つけやすい検索フィルター

パートナーシップを通じた取り組み

米国だけでも年間500万人以上が、政府が運営する職業訓練プログラムを受講しています(注4)。しかし、その修了履歴がレジュメやプロフィールに反映されているケースは少ないことがわかっています。これは、一般的なレジュメの項目が大卒者向けに作られているため、実務や職業訓練プログラムを通じて得た経験やスキルをアピールすることが難しいためであると、複数のプログラム開発団体が指摘しています。

そこでIndeedでは、3カ国で、職業訓練プログラムを開発する4つの団体とパートナーシップを組み、職業訓練プログラム修了者と採用企業をつなげるSkillConnectの試作版をリリースしました。SkillConnectを使うと、自動で、職業訓練プログラムをIndeedレジュメ上のスキルに変換することができます。そのため、職業訓練プログラムを修了した求職者は、入力の手間なく、スムーズにレジュメ作成を始めることができます。プログラム修了者が得たスキルや経験は、パートナー団体の協力により、Indeedのスキル分類に適切にマッピングされています。

獲得したスキルをIndeedレジュメに反映できれば、Indeedはその情報を用いて、職業訓練を修了した求職者とそのスキルを必要とする企業をマッチングすることができるようになります。始まったばかりの取り組みですが、利用した求職者やパートナーからは、採用につながった事例が出ているとの報告も受けています。職業訓練プログラムを受講する数万人の求職者が、獲得したスキルを活かして適切な仕事を見つけられるよう、SkillConnectを通じた支援を続けていきます。

スマートフォン上のSkill Connectのユーザーインターフェースイメージ

引き続き、Indeedは求職者のスキルに基づく採用である「スキルファースト採用」の拡大に取り組みます。

自社の取り組み

自社の採用においても、学歴の壁の低減に取り組んでいます。Indeedでは、社内にプロジェクトチームを立ちあげ、Indeedにおけるすべての仕事の職務要件を見直し、本当に学位を必要とする仕事以外は学歴要件を削除しました。これによって、募集の大半である700以上の求人から学歴要件が取り除かれました。

学歴の有無に関わらず誰もが公平な雇用機会を得られる社会へ

採用は本来、仕事に必要なスキルや能力によって決められるべきです。一般的な求人に載っている学歴要件のすべてが、職務遂行に必要とは限りませんし、学歴がなくても、それは本来的には採用の合否に関係ないはず。リクルートグループは、誰もが公平な雇用機会を得て活躍できる社会に向けて、プラットフォームの進化やパートナーシップ、また自社採用も通じて、より多くの公平な機会を創出することで、この障壁の打破に挑んでいきます。

(注1) 出典:Accenture, Grads of Life, Harvard Business School「Dismissed by Degrees:How degree inflation is undermining U.S. competitiveness and hurting America’s middle class.」(2017)
(注2) 米国のIndeedで、大卒資格を必須とするスクリーニング項目を含めなかった求人情報の割合は、2022年5月時点の22%から、2023年1月に14%へ減少した(減少割合は37%)。
(注3) 特定の職種において、大卒資格を必須とした職種と比較し、大卒資格を必須としなかった職種の方が応募者数が10%多かった。
(注4) 出典:Employment and Training Administration, United States Department of Labor 「Workforce System Results.」(2019)

2024年05月10日

※事業内容や所属などは記事発行時のものです。