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30% Club Japanインベスターグループ主催『金融業界の次世代リーダー育成プログラム』にリクルートホールディングスCOOの瀬名波が登壇

「金融業界の次世代リーダー育成プログラム」は、金融業界において女性を含む多様な人材を育成することを目的に、企業や世代を超えて現在の課題に対する育成戦略を議論するイベントです。30% Club Japanインベスターグループ主催、Association for Women in FinanceおよびAsset Management Women’s Forum協賛・協力で、2024年10月中旬に開催されました。このイベントに、次世代リーダーの代表としてリクルートホールディングス取締役常務執行役員兼COOの瀬名波文野が登壇しました。

多くの人が「ジャンプ」して最大限に能力を発揮できる組織へ

イベント冒頭の基調講演に瀬名波が登壇。管理職や役員になること、その過程で得られる経験について、自身のキャリアを通じた実体験をもとに話しました。

その中で、瀬名波がキャリアにおける大きな転機として紹介したのは、ロンドン赴任のエピソード。当時20代だった瀬名波は、社内公募で、買収したばかりの英国の子会社にCEO補佐として赴任するポジションを見つけ、自ら手を挙げました。当初は応募要件すら満たしていませんでしたが、それまでの実績と熱意を買われてこのポジションを手にした経緯や、大変な試行錯誤をしながらも、結果としてこの子会社の業績の大幅な改善に貢献した経験を語りました。

このエピソードを踏まえて瀬名波は、「既存の枠の中で真面目に考えすぎずに、機会があれば積極的に手を挙げることが重要です。自分で決めたことだからこそ辛い時も踏ん張ることができますし、何者でもない自分=失うものは何もないので、失敗しても意外と大丈夫」とメッセージを送りました。さらに「私自身がこれまでのキャリアの中でそうしてきたように、多くの人が『ジャンプ』して、最大限に能力を発揮できるよう支援することが大事だと考えています」と、組織の果たすべき役割も強調しました。

スピーカーの一人として議論に参加している瀬名波

パネルディスカッションで話す瀬名波

組織の状況によって異なる女性活躍推進のドライバー、見極めた施策で具体的な成果を

続くパネルディスカッションでは、女性活躍を推進する側の視点で、次世代リーダーの育成の課題と戦略について話しました。

まず、リクルートグループのジェンダーパリティ目標について言及。「2021年に社長交代があり、新経営体制になったタイミングで、サステナビリティゴールを5つ設定しました。そのうちの2つがジェンダーパリティについてのものです。まず、2030年度までに、リクルートグループの上級管理職・管理職・従業員、それぞれの女性比率を約50%にすることを目指すというもの。すべての職層でパリティにしたのは、地球上の男女が半々なのに、30%や40%の目標を置くのは本質的でないなぁと思ったから。全従業員で見ると、既にほぼ50%になっています。当初は10%程度だった上級管理職の女性比率が、今では27%まで伸びているというのが、これまでの一番大きな成果です。そして、もう一つのゴールは、2030年度までに、リクルートホールディングスの取締役および監査役全体の女性比率を約50%にするというものです。取締役会構成員の女性比率は33%になりました。とはいえ、両方とも目標は50%なので、まだまだ道半ばです」と語りました。

次に瀬名波は、効果的だった施策の一つとして、Indeedの『インクルーシブ・インタビュー・ルール(IIR)』を紹介しました。IIRは、採用時に候補者の多様性を実現した上で選考を開始するというルール。瀬名波は「平均勤続年数が長くない海外では、プロモーション(登用)ではなく、採用における女性比率を高めることが一番強力なドライバーになる」と導入の背景を説明しました。一方で「何をドライバーと考えるかは、その会社の状況にもよる」と言い、組織の状況に応じた施策を選ぶことの重要性も付け加えました。

もう一つ効果をあげた施策として瀬名波が紹介したのは、国内のリクルートの管理職要件の明文化。「営業の現場などでは、『昼夜・休日問わずお客様からの連絡やトラブルに対応ができる』とか『地域間異動ができる』といったことが、管理職になる暗黙の前提として入っていました。令和の時代に信じられないんですが、過去にそれでうまくいっていたからそうなっていたんですよね。大事なのは、過去が悪かったわけではなくて、今は違うだけ、と割り切ること。誰も悪者にせず、組織としてアンラーン(unlearn)していくことを心がけました」と、この施策に取り組んだ背景を振り返り、そしてこの管理職要件の明文化によって、試験導入した組織では、女性課長職の候補者が1.7倍になったことを紹介しました。また、「男性の候補者も1.4倍になりました。二項対立の話になりがちですが、そうではないということを、数字で証明できたのはすごく嬉しかったですね。女性だけへの投資ではなく、多様性への投資です」と付け加えました。

質疑応答では、女性活躍や次世代育成に関心がない人たちの巻き込み方について質問を受けました。これに対して瀬名波は、「当事者向けの施策とは別に、各ターゲットに向けた施策を設けてもいいのでは」と回答。具体的な事例として、「リクルートには『Carrer Cafe』という20代後半~30代の女性社員向けキャリア構築支援研修があるのですが、上司の意識改革もとても重要だということで、管理職向けの『Career Cafe for BOSS』も設けました」と紹介しました。この研修は、管理職が無意識のバイアスを自覚し、多様性を生かす人材マネジメントのポイントを学び、マネジメントスキルのアップデートを図るものです。上司である管理職が、これまでの成功体験や、画一的な思考だけに基づくのではなく、多様な観点で一人ひとりの個性や価値観を理解し、マネジメントすることが重要だという考えに基づいています。

イベントの終盤、女性活躍推進のテーマが長年議論され続けていることについて瀬名波は、「私たちの世代で本当に終わりにしませんか。みんな課題として認識しているのに、何十年も言うだけ言って成果が出ないというのは、言わないより悪いと思うのです」とオーディエンスにも呼びかけました。「解決のためには、業界を問わず幅広く情報交換を行って、社会全体でこの課題に取り組み続ける必要があります」と訴えました。

他のパネル登壇者や主催者と並ぶ瀬名波

リクルートホールディングス 取締役 兼 常務執行役員 兼 COO 瀬名波 文野

瀬名波 文野(せなは・あやの)

株式会社リクルートホールディングス 取締役 兼 常務執行役員 兼 COO

2006年当社入社。経営企画室を経て、2008年HR領域にて大手企業の営業を担当。2012年ロンドンに赴任、2014年買収直後の人材派遣会社ADVANTAGE GROUP LIMITEDのManaging Directorとして業績の大幅な改善に貢献。2018年当社執行役員、Indeed, Inc.のChief of Staffに就任し、当社グループのグローバル化を牽引。また、ビジネス戦略、リスクマネジメント等ガバナンス体制の構築を推進。2020年取締役就任、2021年より取締役兼常務執行役員兼COOとして人事・総務本部、ファイナンス本部、リスクマネジメント本部、経営企画本部にて経営企画、Sustainability Transformationを担当。2023年より経営企画本部にてグループガバナンス、Sustainability Transformationを担当

2024年11月26日

※事業内容や所属などは記事発行時のものです。