創業65周年を迎えるリクルートグループ。リーダーたちはこれまでどんな問いに向き合い、そして今、どんな未来を創ろうとしているのか。CEOの出木場久征に聞きました。

リクルートホールディングス代表取締役社長 兼 CEO 出木場久征
2025年3月31日、リクルートグループは創業から65年を迎えます。大学新聞専門の広告事業から始まった事業は、マッチングプラットフォーム、人材派遣、SaaSによる業務支援など、時代とともに大きく変化。2014年には上場し、現在はグループの売上比率も従業員比率も約半数が日本国外となっています。
これは、私たちが大切にする価値観である「新しい価値の創造 / Wow the World」を実践してきた結果だと思っています。「私たちは情報誌ビジネスの会社だ」とか「広告業の会社だ」と、過去に決めていたら生き残れなかったかもしれません。
そして、今もまさにAIの進化によって、「未来の当たり前」が変わりつつあるタイミングに差し掛かっています。例えば、これまで私たちが提供していたサービスでは、求職者の方には職種や地域といったキーワードで検索してもらい、住まいを探す方には「希望のエリアと間取りを選んでください」と問うようなものしか提供できていませんでした。
しかし、AIが進化する未来では、「初めてアルバイトを探すのですが、学校が終わった後の空き時間でできる時給の良いバイトってありますかね?できれば学校から10分以内の場所がいいです」とか、「結婚して子どもがひとり生まれたが、幼稚園も小学校も遠くない、できれば、子ども部屋がしっかり持てるような家をこのくらいの値段で買いたいな」など、その領域の専門家に相談しているような気持ちで、仕事探しや家探しができるようなサービスが求められるかもしれません。
または、経営者の皆さんからの「うちの美容室でヘッドスパを始めようかと思うが、いくらにすべき?」とか、「経営するレストランでスタッフを増やすには時給を上げないといけないのかな?」などの相談には、経営コンサルタントのようにアシストできるようにならなければとも感じます。
65周年を迎える今は、多くの方と共に歩んできたリクルートグループならではの新サービス提供のチャンスにあふれているのです。
私が働き始めた1990年代は、「インターネットで世界が変わるぞ」と皆が挑戦し始めた時代でした。AIの進化で、人々の毎日が大きく変わろうとしている今、私はその時以上に、これまでないほどに、ワクワクしています。可能性に満ちたこの時代。先人たちがそうしてきたように、私たちリクルートグループは、一人ひとりが遊び心を忘れずに、常識を疑うことを大切にします。失敗すら良質な学びに変え、徹底的にこだわり、お互いの情熱に賭け合いながら、変わり続けることを楽しんでいきたいと思います。

出木場久征(いでこば・ひさゆき)
リクルートホールディングス代表取締役社長 兼 CEO
1999年当社入社。旅行領域の「じゃらん」や美容領域の「Hot Pepper Beauty」をはじめ、数々の情報誌のネットメディア化、オンライン予約一般化等、デジタルシフトを牽引。2012年執行役員就任後、同年自身が買収を推進した米国 Indeed, Inc.のChairmanに就任。同社CEO & Presidentを経て、2016年より当社常務執行役員、2018年より専務執行役員としてHRテクノロジー事業を飛躍的に成長させ、当社グループのグローバル化を強力に推進。2019年取締役就任、2020年より副社長執行役員を兼任し、ファイナンス本部、事業本部(COO)を担当。2021年より代表取締役社長 兼 CEO