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生成AIが仕事に及ぼす影響に関するIndeed Hiring Labのレポート『AI at Work Report 2025:How GenAI is Rewiring the DNA of Jobs』

生成AIの仕事への影響は、人間の仕事を奪うか否か、自動化できるか否かだけではなく、継続的な変革として理解する必要があります。そこで、Indeedのエコノミックリサーチ機関であるIndeed Hiring Lab(IHL)は、生成AIが人間のスキルや仕事のしかたをどの程度変える可能性があるかを定量的に測る新たな指標「GenAI Skill Transformation Index(GSTI、生成AIによるスキル・トランスフォーメーション指標)」を開発し、これを用いた調査結果を『AI at Work Report 2025:How GenAI is Rewiring the DNA of Jobs』にまとめて発表しました。本ブログではそのエッセンスをお伝えします。

新たな指標GSTIで変化の深度を捉える

GSTIは、生成AIが今の求人票上で要求されているさまざまなスキルや仕事のしかたをどれだけ変えることができるかを測定するための指標です。生成AIが人間を完全に代替できるか否かではなく、今後生成AIがどのようにスキルに応用されていくか、さらにスキルやタスクへの人間の関与の仕方がどのように変化するかを検証するものです。

具体的には、複数の生成AIモデルを用いて、Indeedのスキルデータベース上にある、米国の求人で言及されることの多い約2,900の業務スキルについて、生成AIの影響度合いを分析。さらにそれぞれのスキルを「問題解決能力」と「物理的存在の必要性」の2軸で5段階評価します。その結果に基づいて、各スキルの変革可能性を「ミニマル・トランスフォーメーション」、「アシステッド・トランスフォーメーション」、「ハイブリッド・トランスフォーメーション」、「フル・トランスフォーメーション」という4つのカテゴリーに分類しました。

なお、「アシステッド・トランスフォーメーション」では、生成AIが限定的または一般的なサポートを提供するものの、人間が主役で引き続きスキルを発揮する必要があり、「ハイブリッド・トランスフォーメーション」では、生成AIが大部分を実行するが、人間の監督が欠かせない、と定義しています。

「変化の連続性:生成AIによるスキル・トランスフォーメーション指標(GSTI)カテゴリ」と題された表。2900以上のスキルの問題解決能力と物理的存在の必要性を分析することで、生成AI の影響のさまざまなレベルを明らかにしている

GSTIのカテゴリ

GSTIを用いた分析から見えた4つのポイント

この指標を用いた調査から見えたポイントは以下の通りです。

  1. 米国の一般的な求人で言及されるスキルの約半数に「ハイブリッド・トランスフォーメーション」の可能性
    平均すると、米国の一般的な求人で言及されるスキルの46%に「ハイブリッド・トランスフォーメーション」もしくは「フル・トランスフォーメーション」の可能性がある。つまり、条件が整えば、生成AIは典型的な労働者に必要なスキルのほぼ半分を根本的に変える可能性がある。これらのスキルについては、依然として人間の監督が不可欠だが、生成AIはすでにルーチンワークのかなりの部分をこなすことができる。
    一方で、現時点で「フル・トランスフォーメーション」が可能なスキルは1%弱で、しかもその内容もXMLの解析、テキストの分類、基本的な計算の実行といった、大きなワークフローにおけるサブスキルが多いことがIHLの分析で明らかになった。スキル単体は自動化できても、実際には人間の判断、文脈理解、品質管理を必要とする、より広範なシステムの一部分に留まっている。

  2. 大半のスキルが「ハイブリッド・トランスフォーメーション」可能な職種では、人間の役割が変わる
    ソフトウェア開発の求人に一般的に記載されているスキルのうち、81%が「ハイブリッド・トランスフォーメーション」が可能なカテゴリに分類される。このうちコーディングのようなルーティン作業を生成AIが担うようになると、人間の開発者の役割が「作業の実施」から、AIの出力の確認、エッジケースの解決、品質管理などといった「作業の指揮」にシフトする可能性が高い。生成AIを効果的に監督するために、論理的思考、専門知識、コンテキスト理解において、人間が生成AIを上回る能力を発揮する必要に迫られる可能性も非常に高い。

  3. 大半のスキルが「ミニマル・トランスフォーメーション」に留まる職種でも、ノンコア業務が変わる
    看護など、物理的な存在や人間とのやり取りがより必要な職種では、生成AIの影響は比較的小さい。例えば、看護師の求人に記載されているスキルの68%は「ミニマル・トランスフォーメーション」に留まる。一方で、コミュニケーション、一般事務、特定の医療事務関連のスキルは「ハイブリッド・トランスフォーメーション」に分類され、これらの分野で生成AIが認知的・事務的負荷を軽減すれば、看護師は患者のケアにより多くの時間を割けるようになる可能性がある。

  4. 生成AIはすべての職種に影響を及ぼすが、完全に取って代われるものはほとんどない
    過去1年間にIndeedに掲載された求人のうち、生成AIによる変革の可能性(注)が「高」だったのは26%だった。しかし、54%では「中」程度にとどまり、その進み具合も企業の生成AI導入スピードや従業員の生成AIへの適応やリスキリングの進み具合によるところが大きい。ただし、これらの職種はニッチなものではなく、主流のものである。これらが求人全体に占める割合を考えると、このセグメントの動向が、多くの人にとっての職場における生成AIエクスペリエンスを左右することになる。

(注) 求人の中でハイブリッドもしくはフル・トランスフォーメーションに分類されるスキルが占める割合によって、生成AIによる変革可能性を「低 (0~30%)」「中 (~60%)」「高 (~100%)」の3つに評価

米国の求人広告の割合とその生成AI変革の可能性(低、中、高)を示した棒グラフ

米国の求人の4分の1は生成AI変革の影響を大きく受ける

多くの職種では「ハイブリッド・トランスフォーメーション」が最終目的地

生成AIが進化するにつれて、ますます多くのスキルが「フル・トランスフォーメーション」に進んでいくと考えたくなるかもしれません。しかし、「フル・トランスフォーメーション」は現時点ではほぼ起きておらず、あくまで理論上の上限として考えられるに過ぎません。IHLの調査で、すべての大規模言語モデルがあらゆるタスクに対して同等の能力・適性を備えているわけではないことも明らかになっています。プロバイダーや使用ケースによって実際のパフォーマンスは異なるうえ、どのモデルを選択するかは各企業の技術的判断や予算的判断、そして戦略的判断でもあります。各企業がどれだけ速く、どれだけの規模で変革を進められるかは、その企業の持つインフラ、プロセスへの準備状況、リスク許容度などにかかっています。

生成AIは仕事のDNAを書き換え始めていて、私たちが目の当たりにしているのはそれを支える構造的変化です。一時的な段階ではありません。「ハイブリッド・トランスフォーメーション」も、「フル・トランスフォーメーション」への途中段階ではなく、多くの仕事にとってそれが最終目的地そのものなのです。

レポート全体は、AI at Work Report 2025:How GenAI is Rewiring the DNA of JobsPDFダウンロード(英語サイト)でご覧ください。

2025年12月18日

※事業内容や所属などは記事発行時のものです。