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2026年、AIは労働市場をどう変えるか:リクルートホールディングスCEO出⽊場 久征とIndeedチーフエコノミストSvenja GudellがダボスでWall Street Journalのイベントに登壇

リクルートホールディングスは、2026年1月にダボスで開催された世界経済フォーラムに参加。この会期中、代表取締役社長 兼 CEOの出⽊場 久征とIndeed Hiring LabのチーフエコノミストSvenja Gudellは、現地でWall Street Journalが主催したパネルディスカッションに登壇し、AIの労働市場への影響について見解を示しました。このブログではそのポイントをまとめてお伝えします。

採用プロセスをシンプルにするIndeedの役割がこれまでになく重要に

出⽊場は、Reading the Labor Market in Real Timeと題したセッションに登壇し、Wall Street JournalのPhilippa Leighton-Jones氏と対談し、労働市場の現状、採用プロセスへのAIの影響、AI時代のスキルについて語りました。

まず出木場は、「現在、労働市場は冷え込んでいるものの、これはAIが仕事を奪っているからではない」と強調。「人口動態の変化、つまり高齢化が最も大きな要因です。米国の2025年のデータを見ると、総人口が3億5000万人いるなかで、新たに労働市場に参加する人はわずか40万人しかいませんでした。これは米国だけでなく、すべての先進国に共通する課題です」と、労働力の供給減少が主な要因だと指摘しました。また、このように先進国で若い労働力が増えていない状況では、巷で叫ばれているようなAIによる失業率上昇は簡単には起き得ないと説明し、「むしろ日本では、人口減少に追いつくために、AIの導入を加速させる必要にすら迫られている」と付け加えました。

次に、AIを活用すれば履歴書や応募書類を瞬時に自動で作成できる今、機械が作り出した人材ではなく、ユニークな思考を持った人材を効果的に採用できるようにするためにIndeedはどんなことをしているかと問われた出木場。「AIを使って自動で応募書類を作成したり何千件もの求人に応募するようなサービスも出てきてることは承知していて、Indeedのデータも応募数の明らかな増加を示しています。雇用主は以前に増して大量の応募を受けているのです」と述べ、これが雇用主にとって頭の痛い喫緊の課題となっていることを指摘しました。そのうえで、「これに対してIndeedは、応募の量ではなく、マッチングの質を上げるためにAIを活用しています。具体的にはスクリーニングやソーシングを支援するツールを提供していますが、中でもAIによって本人確認を行うツールが雇用主にとってより重要なものになってきています。世界中で1分間に27人がIndeed上で採用されていますから、こうした点でのミスマッチをなくしていくこと、そして雇用主の生産性を向上させ、採用担当者が求める人材をより多く採用できるようにすることが非常に重要です」と述べました。雇用主が求めるのは質の高い応募であり、企業クライアントの採⽤プロセスをシンプルにするIndeedの役割がこれまで以上に重要になっていることを強調しました。

さらに、移民の受け入れに厳しい姿勢をみせる国が増えていることの労働市場への影響について問われた出木場は、「ほとんどの先進国で、熟練したスキルを持った労働者のパイプライン(供給網)が十分ではありません。米国では、医療従事者の4人に1人が移民ですし、今後高齢化が進んでいくにつれ、医療従事者の需要は高まっていきます。実際、看護師の採用需要はコロナ禍以前と比べて50%増加しています。また、特に直近2年では、飲食業界すら採用までにかかる時間が50~60%増加しています。この状況で移民の受け入れを停止したらどうなるでしょうか?スキルを持った労働者のパイプラインの構築により時間が必要になるでしょう」と述べました。

出木場が登壇したセッションの動画外部サイトへ(英語のみ)もぜひご覧ください。

Phillippa Leighton-Jones氏と出木場 久征が椅子に座って対談している様子

Wall Street JournalのPhillippa Leighton-Jones氏(左)とリクルートホールディングスの出木場 久征(右)

AIは仕事を奪うものではなく、仕事を拡張・補完し、仕事のあり方を変えていくもの

Svenjaは、AI and the Changing World of Workと題されたパネルディスカッションに登壇し、Wall Street JournalのRaakhee Mirchandani氏、CiscoのFrancine Katsoudas氏、UdemyのRamji Sundararajan氏と、AIの労働市場への影響について意見を交わしました。

まずSvenjaは、先に行われた出木場のセッションでの発言を支持する形で、「労働市場の冷え込みは高齢化などのマクロ経済的要因によるもので、現時点では、AIが大規模な解雇を引き起こしたり、人間に完全に取って代わるようなことは起きていません」と強調しました。さらにその根拠として、Indeed Hiring Labが2025年に発表した『AI at Work』レポートのデータを引用し、「分析した3000のスキルのうち、実際にAIが完全代行できるのは30に過ぎませんでした(注1)。また、AIで完全に代替できる仕事は一つもありませんでした。つまり、AIは仕事を奪うものではなく、仕事を拡張・補完し、仕事のあり方を変えていくものなのです」と述べました。

また、「テクノロジー業界で、AIがエントリーレベルの仕事を奪うかもしれないという話もよく耳にしますが、私たちはそうは考えていません。エントリーレベルの仕事が減っていることは確かですが、これは求人全体が減っているからです」と強調しました。一方で、「テクノロジー業界では、5年以上の経験を求める求人が増加してきています。つまり、人間のチームをリードし、場合によってはAIエージェントまでも監督できる、経験豊かな人材がより求められている。この変化こそが、本当に初めてのAIによる影響と言えるのではないかと考えています」と語りました。

さらに、企業に求められるAI時代への対応を問われたSvenjaは、「1~2年後、あるいは5年後に、自社がどうありたいのか、何が成功しそうか、どのようなスキルを持つ人材を採用する必要があるのか​​を見極めるため、試行錯誤していくことが必要です。既存の従業員に対しても、どうアップスキルやリスキリングを進めるか、適切に計画していく必要があります。今はAI導入の初期段階で、生産性の大幅な向上が見られないのも、莫大な費用がかかるのも当然です」と述べました。

最後にSvenjaは、「労働市場は非常に複雑で、AIは未来の仕事を形づくる重要なトレンドの一つですが、それ以外にも考慮すべきトレンドが多くあります」と述べ、「データこそ私たちの指針であるべきです。未来に向けて、最新のトレンドは何なのか、それをどのように理解し、活用すべきかを見極めることが必要です」と語りました。

Svenjaが登壇したセッションの動画(英語のみ)外部サイトへもぜひご覧ください。また、Indeed Hiring Labのダボス会議に向けた特設サイト外部サイトへでも、グローバルの労働市場と採用のトレンドをまとめたレポートがご覧になれます。

(注1) 出典:Indeed Hiring Lab, "AI at Work Report 2025:How GenAI is Rewiring the DNA of Jobs"(September 23, 2025)

司会者1名とパネル3名が議論している様子

左からWall Street JournalのRaakhee Mirchandani氏、UdemyのRamji Sundararajan氏、CiscoのFrancine Katsoudas氏、IndeedのSvenja Gudell

 出木場 久征

出木場 久征(いでこば・ひさゆき)

株式会社リクルートホールディングス代表取締役社長 兼 CEO

1999年 当社入社。旅行領域の「じゃらん」や美容領域の「HotPepper Beauty」をはじめ、数々の情報誌のネットメディア化、オンライン予約一般化等、デジタルシフトを牽引。2012年 執行役員就任後、同年自身が買収を推進した米国 Indeed, Inc.のChairmanに就任。同社 President & CEOを経て、2016年より当社常務執行役員、2018年より専務執行役員としてIndeedとGlassdoorを含むリクルートのHRテクノロジー事業を、世界有数のHRマッチングサービスへと飛躍的に成長させ、当社グループのグローバル化を強力に推進。2019年 取締役就任、2020年より副社長執行役員を兼任し、ファイナンス本部、事業本部(COO)を担当。2021年より代表取締役社長 兼 CEOを務め、2025年よりIndeedのPresident & CEOを兼任

Svenja Gudell

Svenja Gudell

Indeed Chief Economist

ZillowのChief Economistとして10年間不動産市場の調査研究に携わったのち、2022年1月にIndeedにChief Economistとして入社。エコノミストとデータサイエンティストからなるIndeed Hiring Labを率いて世界の労働市場に関する議論をリードしている

2026年02月26日

※事業内容や所属などは記事発行時のものです。