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グローバルチームの力を引き出すコツとは?リクルートホールディングスCEO出木場久征「抽象的な言葉より、ありありとした“画”」

グローバルに多言語で事業を展開する組織では、同じ数字や出来事を見ていても、「いま何が起きているのか」「何を優先すべきか」の認識が揃いにくい。これはリクルートホールディングス代表取締役社長 兼 CEOであり、IndeedのPresident 兼 CEOも務める出木場久征が向き合ってきた課題です。

出木場はこのズレを埋めるために、ありありとした「画」が浮かぶ言葉で語る——そんな工夫を重ねてきました。本記事では、なぜ「画」なのか、そしてそれがどう実行のスピードにつながっていくのかを、本人の言葉から紐解きます。

リクルートホールディングス代表取締役社長 兼 CEO 出木場久征

リクルートホールディングス代表取締役社長 兼 CEO 出木場久征

状況認識を揃えるために、ありありとした「画」を描く

出木場は、「僕は小さい頃から、頭が特別いいわけでもなく、根性があるタイプでもなく、体力があるわけでもないんです。だからこそ、“一緒に働くメンバーのベストパフォーマンスを引き出す係だ”と考えてやっています」と自身の役割を説明します。

その中で課題となるのが、ビジネスでは組織が大きくなるほど、状況判断が鈍りやすいことだと言います。「何千人、何万人という従業員がいますが、毎日全員が直接クライアントと向き合っているわけではないし、ユーザーの声も毎日聞けるわけではない。だから状況判断が鈍くなり、“今どういう状況か”が見えにくくなります。勝っているのか、負けているのか。その前提が揃わないと、どれだけ優秀な人がいても判断が割れてしまう。野球なら“9回裏、1点負け”と聞くだけで、誰もが状況を掴めるし、何を優先すべきかも分かりますよね。しかし、国や職種なども含め、背景が異なるメンバーが一緒に働く組織では、その”当たり前”が存在しません。だからこそ、“今はこういうゲームで戦っていて、こういう状況なんだ”というのを、いかに伝えられるかが大事なんです。」

そこで出木場が意識しているのが、「画で伝えるコミュニケーション」です。例えば、目標であれば、単なる数字ではなく、到達した世界の景色を語ると言います。

「Indeedのサービスが10億人に使われるようになったら、世界を旅行していても“そのTシャツ知ってるよ、助かってるよ”と言ってもらえる。それってすごいことだから、目指そうよ、と伝えるんです。そういうありありとした画を描いて伝えるのと、“我々の目標人数は10億人です”という説明では、伝わり方が全然違うと思っています。」

「I help people get jobs」と書かれたIndeedのTシャツを着た人々の写真コラージュ

画にこだわる理由は、グローバル組織の現実にも直結します。「僕のメッセージは何ヶ国語にも翻訳される。文化や慣習に依存した言い回しだと伝わらないこともある。だから画で伝えるような話し方はすごく大事だと思っています。」

「感情」をのせると、当事者意識が生まれる

出木場がもう一つ大切にするのが、「感情」です。「喜怒哀楽というのは、すごく大事なエネルギーだと思うんです。例えば、売上が目標より10%落ちたとき、“残念でした”ではなくて、“いや、これは悲しい”と素直に言った方が伝わると思うんです。」

感情をのせるのは、状況の重みも一緒に共有したいから。その重みまで伝わると、話は「自分事」になっていきます。「僕は“みんながやるぞと思える環境づくり”を大事にしていて、トップダウンで指示したいわけではないんです。」

情熱が集まり、動き出す仕組み

出木場がその先でつくりたいのは、「面白そうだから動く」状態です。「“経営会議で決まりました、皆さんにはこれをやってもらいます”よりも、“興味があるならこの指とまれで、一緒にやらない?”と言われた方が楽しそうですよね。実際に今も、“AIで世界中の人たちの仕事探しがこんな風に変わると僕は思っていて、これってすごい意味があることだし、面白そう!”なんて言って、僕が一番前で一番楽しんでやっています。」

その「面白そう」を仕事の動きに変えるために、出木場がまずやるのは「やる意味」を確かめることです。「会議はできるだけ短くしたいんですよね。開始2分で、“これ本当に必要?”って、つい言っちゃうんです。僕が主催する会議も何年も前から“自由参加”にしてきました。社長が呼んだからといって、全員が集まる必要はないと思っています。」

その時の判断基準は、「みんなの青春、つまり、仕事に懸ける大切な時間や情熱の無駄遣いになってないか」です。だから、試す単位は小さくする。必要なら「まずは2週間だけ」のように、致命傷にならないサイズで回す――学びと実行の速度を落とさないためです。

「失敗はいくらでもしていい。でも最後は必ず勝つ。それがリーダーの責任だと思っています。みんなの失敗を全部生かして勝つ。それがマネジメントです」

採用を速くし、仕事探しを簡単にする

現在出木場はリクルートホールディングスのCEOとして、そしてリクルートグループのIndeedのCEOとして、「仕事探しにかかる時間を短くする」チャレンジをしています。仕事は多くの人の生活に大きな影響を与えるものだからこそ、決定までのスピードは速いほど良いのだと出木場は語ります。

「3ヶ月収入がないと世界の約4割の人が貧困に陥ってしまう(注1)。だからこそ、次の仕事に就くまでの時間を短くすることには、テクノロジーで挑む価値があるのです。」

出木場は日々、世界各地でこのミッションに挑む仲間たちにむけて、ありありとした画で、実現がいかにワクワクすることか語り続けています。ミッション実現を加速するもの、それは「面白そう」「やってみたい」という熱量を一人ひとりが持てているか。出木場は、そこを信じています。

「今、仕事探しにはまだこんなに時間がかかっている。それを少しでも短くすることはテクノロジーでできる、と信じています。この変化が多くの人の生活を守ることにつながるなら、それは私も、従業員も、人生をかける価値があります。」

(注1) OECD「How's Life? 2020」に基づく、OECD加盟28カ国の数値

株式会社リクルートホールディングスの出木場久征

出木場 久征(いでこば・ひさゆき)

株式会社リクルートホールディングス代表取締役社長 兼 CEO

1999年 当社入社。旅行領域の「じゃらん」や美容領域の「HotPepper Beauty」をはじめ、数々の情報誌のネットメディア化、オンライン予約一般化等、デジタルシフトを牽引。2012年 執行役員就任後、同年自身が買収を推進した米国 Indeed, Inc.のChairmanに就任。同社 President & CEOを経て、2016年より当社常務執行役員、2018年より専務執行役員としてIndeedとGlassdoorを含むリクルートのHRテクノロジー事業を、世界有数のHRマッチングサービスへと飛躍的に成長させ、当社グループのグローバル化を強力に推進。2019年 取締役就任、2020年より副社長執行役員を兼任し、ファイナンス本部、事業本部(COO)を担当。2021年より代表取締役社長 兼 CEOを務め、2025年よりIndeedのPresident & CEOを兼任

2026年03月31日

※事業内容や所属などは記事発行時のものです。