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リクルートホールディングスとIndeedがSemafor World Economy Summitで見解を共有

2026年4月、米ニュースメディアSemaforがワシントンD.C.でSemafor World Economy Summit外部サイトへを開催し、世界のビジネスリーダーが集いました。この経済サミットで、リクルートホールディングス代表取締役社長 兼 CEOの出木場久征と、Indeed Hiring LabでDirector of Economic Researchを務めるLaura Ullrichが登壇。現在世界が直面する労働力に関する問題は、AI以外の要因によって引き起こされている、と訴えました。本記事では、各セッションのポイントを紹介します。

人口動態の変化こそが構造的な要因

労働市場の変化といえばAIの影響を真っ先に想起する方も多いですが、出木場は異なる見解を示しました。

SemaforのClay Chandler氏とのディスカッションに登壇した出木場は、AIによる自動化よりも速いスピードで静かに進行しているのは「人口動態の変化」と指摘。

Indeedの調査では、米国の労働者数は今後15年間で2000万人減少すると予測されており、これは米国の労働力人口の約5%に相当します。このうち80%近くが高齢化と移民の減少によるものです。

「今起きているのは、大きな人口動態の変化、つまり労働市場の高齢化です。これは、AIよりもはるかに大きな影響力を持っています」と出木場は述べました。

その影響は既に顕在化しています。エッセンシャルワーカーの需要は強く増加の一途を辿っていますが、熟練労働者の供給が追いついていません。

「建設作業員、配管工、医療従事者、電気技師などについては、非常に多くの求人があります。重要な、現場での仕事です。しかし、十分な人材供給体制が整っていないのです。」

このギャップを埋めるのには、「適応力」と「リスキリング」が必要だと出木場は強調しました。

電気技師の年収が6桁(10万米ドル以上)になるなど、熟練技能職はますますチャンスに満ちた分野になりつつありますが、依然として採用難が続いています。「良いキャリア」に関する固定観念が、多くの求職者をこういった職種から遠ざけているというのです。

そこで出木場は、これから社会人になる若者たちに対して、キャリア選択では、AIの影響を受けにくい仕事を探すのではなく、固定概念にとらわれない幅広い視野を持つようアドバイスしました。また、AIの影響を受けないスキルを身に着けようとするよりも、変化を受け入れ、柔軟性を持って学び続けるマインドセットを持つことを勧めました。

「AIの影響を受けないスキルが何なのかは私には分かりません。若い人たちには、変化を楽しむマインドセットを何より持ってほしい。これからたくさんの変化が必ず起きますから。」

最後に出木場は、この大きな変化への対応は、個人任せにすべきものではないことを強調し、社会全体の責任として、将来に向けて労働者のリスキリングを進めていく必要があることを訴えました。

「すべてのリーダー、すべてのCEOは、個人のリスキリングに責任を持たなければなりませんし、私自身も力強く推進していきたいと思っています。」

出木場が登壇したセッションの動画外部サイトへもぜひご覧下さい。

Building Human-Centered Businessのセッションに登壇した出木場 久征(Photo by Kristoffer Tripplaar & Annabelle Gordon for Semafor)

Building Human-Centered Businessのセッションに登壇した出木場 久征(Photo by Kristoffer Tripplaar & Annabelle Gordon for Semafor)

労働市場は冷え込んでいるが、分野による温度差も

Lauraは、SemaforのRachel Oppenheim氏と「Building the Workforce of Tomorrow」のセッションに登壇し、ニュースや報道の見出しの背景にあるデータを共有しました。

Lauraのメッセージは、「労働市場は冷え込んでいるものの、崩壊しているわけではなく、分野によって明確に様相が異なる」というもの。

医療分野の採用は依然として堅調で、求人件数はパンデミック前の水準を30%以上上回っており、熟練技能職の需要も底堅く推移しています。一方、テクノロジー分野の状況は異なり、ソフトウェア開発やデータ分析の求人件数は、回復の兆しが見られるものの、依然として30~40%減のままです。

また、Lauraが共有したデータの中で特に注目すべきものとして、2026年2月の米国の採用数が2020年4月以来の低水準にまで落ち込んでいる一方で、求人件数は同じようには減少していないというものがありました。この背景にあるのは採用の意向と実際の採用活動とのズレで、不確実性の高い経済環境下で企業が採用活動を中断するケースが増え、一度出した求人のポジションが埋まらないままの期間が延び、採用までにかかる時間が増えているとLauraは言います。

「経済の不確実性が高い状況で、企業は求人を出した後、『本当に採用する必要があるのだろうか?』と逡巡しているのです。」

「AIは仕事を奪うのか、それとも創出するのか?」という問いには、単純な二者択一ではなく、より複雑だと回答しました。

「AIが今日の労働市場を大きく変えうる可能性は二つで、一つはAIエージェントがこれまで人間が行っていた作業を自動化すること、もう一つは一部の企業がコスト構造を見直してAIと設備に投資を振り向けることで、結果として人材への投資が減ることです。」

重要なのは、近年の労働市場の低迷、特にテクノロジー分野の冷え込みを、AIだけによるものと決めつけないことです。AIが一定の影響を与えていることは明らかですが、Indeedのデータでは、テクノロジー関連の求人件数の減少は、AIの普及よりも、金利の上昇や資本コストの上昇とより密接に関連していることが示唆されています。

そして「最も急速に求人が減少している職種は、必ずしもAIの影響を強く受けている職種ではありません」とLauraは指摘しました。

つまり、AIも一定の影響を与えているものの、マクロ経済の状況と資本コストが採用の減速を引き起こしている主な要因なのです。

Lauraのセッションの動画外部サイトへもぜひご覧下さい。

Lauraは“Building the Workforce of Tomorrow”に登壇(Photo by Kristoffer Tripplaar & Annabelle Gordon for Semafor)

Lauraは“Building the Workforce of Tomorrow”に登壇(Photo by Kristoffer Tripplaar & Annabelle Gordon for Semafor)

マッチングがこれまで以上に重要に

2つのセッションを通して言えることは、労働市場は停滞し、ますます複雑化しているものの、AIによる影響はごく一部だということです。人口動態の変化は構造的で概ね予測可能ですが、AIはまだ黎明期なのです。

仕事探しにおいて、AIが現時点で最も大きな影響を与えられるのは、仕事と求職者のマッチング精度の向上だとリクルートグループは考えています。私たちは今後も、企業と求職者にとって、より速く、円滑で、最適なマッチングの実現をサポートしていきます。

2026年05月26日

※事業内容や所属などは記事発行時のものです。