CMG社からの派遣チーム
建設現場での仕事が未経験のメンバーも多数いたことから、CMGは5日間の事前雇用訓練コースも用意しました。このコースで、候補者は太陽光発電所というものがどのように構築されているのか、また安全を担保するためのプロセスとシステムがどのようなものかを理解しました。約70%ものメンバーが太陽光発電所で働いたことがありませんでしたが、この業界で働くためのスキルと経験を持ち帰ることで次の就業機会を得ることができ、再生可能エネルギーの普及に関わることができるのです。
応募者の中には、10歳に満たない幼い3人の子供を持つ父親、Chrisitian Larsonもいました。Christianは2007年、ビクトリアン・ウォーター・スキー選手権大会に出場しましたが、そこで時速160kmで水面に激突する事故に遭いました。その結果、大けがを負い1年間の入院を余儀なくされました。最初の2カ月間は昏睡状態に陥りましたが、意識が戻った後も、脳の損傷により右腕と脚に障がいが残ってしまいました。
彼にとって仕事に復帰することは大きなチャレンジでした。Christianはけがと障がいのため、安定した職を得ることができずにいたのです。しかし2018年、彼が仕事を求めてCMGのプロジェクトに応募した時、彼は自分のけがと障がいに臆することのないチャレンジ精神を前面に出し、CMGもそんな彼の決してあきらめない姿勢に共感してプロジェクトへの受け入れを決めました。
Christian Larsen, CMG社(電気技師)
Christianは現在、Karadoc Solar Farmの現場で電気技師として活躍しています。彼は、現在の仕事について、家族を養えるだけでなく、働く意欲を掻き立てる満足度の高いものだと述べています。CMGもChristianの潜在能力を最大限に生かせる機会を提供することにつながりました。
オーストラリアの再生可能エネルギー供給企業の多くは、人材の多様性こそが産業全体の成長を支えると考えています。多くの企業が加盟するSolar Energy Industries Association(SEIA:ソーラーエネルギー産業協会)では、多様性のあるチームを作り、より仕事に熱中する環境を作ることで人材を定着させることができれば、生産性が上がり、産業全体が活性化するとされています²。CMGもその考えに賛同し、人材派遣ビジネスで培ったノウハウを用いて、再生可能エネルギー産業の成長に貢献していきたいと考えています。
Lily D'Ambrosio(Minister for Energy Environment & Climate Change)による現場視察模様
参照記事
レベッカ・パールーマルティネス、ジェニー・C・スティーブンス(2016年)再生可能エネルギーへの移行における人材の性別の多様化を目指して、サステナビリティ:サイエンス、実践と政策、12:1, 8-15, DOI: 10.1080/15487733.2016.11908149
https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/15487733.2016.11908149
SEIA.(2018)太陽光産業におけるダイバーシティのベストプラクティスガイド | SEIA
https://www.seia.org/research-resources/diversity-best-practices-guide-solar-industry
(アクセス日:2018年9月18日)