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2020年3月期 通期決算発表
2020年05月27日
本日(2020年05月27日)、リクルートホールディングスは2020年3月期 通期の決算発表を行いました。
1. 2020年3月期 連結業績ハイライト
連結業績は売上収益3.8%増の2兆3,994億円、調整後EBITDA 10.9%増の3,251億円、調整後EPS 13.0%増の121.03円
2020年3月期通期業績予想「調整後EBITDA 3,200億円程度」及び「調整後EPSの一桁台後半成長」を上回る
(十億円)
2020年3月期 | ||||
---|---|---|---|---|
Q4実績 | 前年同期比 | 通期実績 | 前期比 | |
売上収益 | 589.7 | +1.6% | 2,399.4 | +3.8% |
調整後EBITDA*¹ | 55.2 | +4.1% | 325.1 | +10.9% |
調整後EBITDAマージン*¹ | 9.4% | +0.2pt | 13.6% | +0.9pt |
営業利益 | △6.2 | - | 206.0 | △7.7% |
のれん等減損損失調整後*² の営業利益 | 24.7 | △19.9% | 237.4 | +6.4% |
親会社の所有者に 帰属する当期利益 |
13.3 | △52.7% | 179.8 | +3.2% |
調整後EPS(円) | 17.38 | +4.2% | 121.03 | +13.0% |
*1 2019年3月期はEBITDA及びEBITDAマージン、2020年3月期は調整後EBITDA及び調整後EBITDAマージン
*2 のれん及び無形資産の減損損失の影響のみ控除
2. 2020年3月期 第4四半期 セグメント業績ハイライト
HRテクノロジー:
当第4四半期の売上収益は18.1%増。米ドルベース売上は19.4%増*¹。新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大による影響が発現する前の2月までの概ね堅調な経済環境及び逼迫した労働市場を背景に、有料求人広告利用が増加したことが主な要因。また、Indeed及びGlassdoorにおける、採用候補者の適性審査機能や企業ブランディング等の採用ソリューション事業への注力も寄与。
当第4四半期調整後EBITDAは20.7%減、調整後EBITDAマージンは7.9%となり前第4四半期の11.8%から減少。新規の個人ユーザー及び企業クライアントの獲得に向けたマーケティング活動への投資を継続したことが主な要因。
メディア&ソリューション:
当第4四半期の売上収益は0.4%減。人材領域で新型コロナウイルスの感染拡大を受け、企業クライアントが採用活動に慎重になったことが主な要因。
当第4四半期の調整後EBITDAは6.1%増。人材領域で新型コロナウイルスの影響に鑑みてコスト管理に取り組み、マーケティング投資を抑制したことが主な要因。
人材派遣:
当第4四半期の売上収益は2.1%減(為替影響除きは0.1%増)となり、国内派遣は7.7%増、海外派遣は9.8%減(為替影響除きは5.7%減)。
当第4四半期の調整後EBITDAは18.5%増(国内派遣53.7%増、海外派遣15.0%減)。調整後EBITDAマージンは5.4%。
国内派遣領域は増収増益。調整後EBITDAマージンは7.1%(前第4四半期5.0%)。
海外派遣領域は、為替のマイナス影響及び欧州における不透明な経済状況や新型コロナウイルスによるグローバル経済見通しの悪化を受けて減収減益。調整後EBITDAマージンは3.9%(前第4四半期4.1%)。引き続きユニット経営の強化による生産性改善を通して調整後EBITDAマージンのコントロールに注力。
*1 報告セグメントの現地決算数値であり、当社連結決算数値に含まれる数値とは異なります
売上収益
(十億円)
2019年3月期 | 2020年3月期 | ||||
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Q4実績 | Q4実績 | 前年同期比 | 通期実績 | 前期比 | |
連結売上収益*³ | 580.3 | 589.7 | +1.6% | 2,399.4 | +3.8% |
HR テクノロジー | 90.0 | 106.3 | +18.1% | 424.9 | +30.0% |
【参考】(百万米ドル) 米ドルベース売上*² |
816 | 974 | +19.4% | 3,907 | +32.7% |
メディア&ソリューション | 193.7 | 192.8 | △0.4% | 755.9 | +4.8% |
販促 | 105.2 | 113.0 | +7.5% | 438.5 | +9.5% |
住宅 | 28.1 | 30.6 | +9.0% | 113.3 | +8.9% |
結婚 | 13.0 | 12.2 | △6.2% | 52.0 | △5.3% |
旅行 | 14.9 | 16.8 | +12.7% | 73.4 | +19.1% |
飲食 | 10.0 | 9.8 | △2.1% | 39.2 | +0.9% |
美容 | 18.7 | 21.1 | +13.3% | 81.6 | +13.3% |
その他 | 20.3 | 22.3 | +9.7% | 78.9 | +14.7% |
人材 | 86.6 | 79.1 | △8.6% | 314.1 | △0.9% |
国内人材募集 | 78.2 | 70.0 | △10.5% | 277.8 | △2.2% |
その他 | 8.3 | 9.1 | +8.9% | 36.2 | +10.4% |
全社/消去 | 1.9 | 0.6 | △65.8% | 3.1 | △23.4% |
人材派遣 | 304.1 | 297.7 | △2.1% | 1,248.1 | △3.3% |
国内派遣 | 133.4 | 143.6 | +7.7% | 567.8 | +4.7% |
海外派遣 | 170.7 | 154.0 | △9.8% | 680.3 | △9.0% |
全社/消去 | △7.6 | △7.2 | - | △29.5 | - |
調整後EBITDA
(十億円)
2019年3月期 | 2020年3月期 | ||||
---|---|---|---|---|---|
Q4実績 | Q4実績 | 前年同期比 | 通期実績 | 前期比 | |
連結調整後EBITDA*¹ *³ | 53.1 | 55.2 | +4.1% | 325.1 | +10.9% |
HR テクノロジー*¹ | 10.5 | 8.3 | △20.7% | 71.2 | +50.2% |
メディア&ソリューション*¹ | 32.2 | 34.2 | +6.1% | 182.9 | +6.1% |
販促*¹ *⁴ | 18.8 | 18.6 | △1.4% | 115.9 | +5.6% |
人材¹ *⁴ | 17.9 | 18.8 | +5.0% | 83.4 | +5.3% |
全社/消去*¹ *⁴ | △4.5 | △3.1 | - | △16.5 | - |
人材派遣*¹ | 13.6 | 16.2 | +18.5% | 81.2 | △2.0% |
国内派遣*¹ | 6.6 | 10.2 | +53.7% | 47.1 | +9.5% |
海外派遣*¹ | 7.0 | 5.9 | △15.0% | 34.1 | △14.5% |
全社/消去 | △3.4 | △3.6 | - | △10.3 | - |
調整後EBITDAマージン*¹ |
|||||
連結調整後EBITDAマージン*¹ | 9.2% | 9.4% | +0.2pt | 13.6% | +0.9pt |
HR テクノロジー | 11.8% | 7.9% | △3.9pt | 16.8% | +2.3pt |
メディア&ソリューション | 16.7% | 17.8% | +1.1pt | 24.2% | +0.3pt |
販促*¹ *⁴ | 18.0% | 16.5% | △1.5pt | 26.4% | △1.0pt |
人材*¹ *⁴ | 20.7% | 23.7% | +3.1pt | 26.6% | +1.6pt |
人材派遣*¹ | 4.5% | 5.4% | +0.9pt | 6.5% | +0.1pt |
国内派遣*¹ | 5.0% | 7.1% | +2.1pt | 8.3% | +0.4pt |
海外派遣*¹ | 4.1% | 3.9% | △0.2pt | 5.0% | △0.3pt |
*1 2019年3月期はEBITDA及びEBITDAマージン、2020年3月期は調整後EBITDA及び調整後EBITDAマージン
*2 報告セグメントの現地決算数値であり、当社連結決算数値に含まれる数値とは異なります。
*3「全社/消去」調整後の数値を記載しているため、各セグメントの金額合計と一致していません。
*4 2020年3月期における販促及び人材領域に含まれる子会社の一部のセグメント利益はIFRS第16号の適用影響を調整しておらず、当該調整金額は全社/消去に含めていますが、その影響は軽微です。
3. 2021年3月期 連結業績予想
新型コロナウイルス感染症の拡大が足元の当社事業に影響を与えていることから、少なくとも2021年3月期第1四半期、加えて第2四半期以降の業績に相応の影響を及ぼすと考えています。当該影響を合理的に分析し、当社として合理的な業績予想が可能になった時点で、2021年3月期通期の連結業績見通しを開示します。
4. 直近の状況
2020年4月の連結売上収益*¹ は前年同月比約21%減となりました。
2020年2月、3月、4月の売上収益*² の前年同月比は、HRテクノロジー事業が米ドルベースでそれぞれ約26%増、約4%増、約35%減となりました。4月中旬頃より売上収益の下落が一段落し、安定の兆しが見え出したものの、今後の見通しは依然として不透明です。 メディア&ソリューション事業*³ については、約5%増、約10%減、約23%減、人材派遣事業が約0.1%増、約0.2%増、約12%減となりました。
*1 未監査の月次管理会計数値であり、連結決算数値に含まれるIFRSに従った比較可能な財務数値とは異なります。
*2 為替影響控除後の月次管理会計数値であり、連結決算数値に含まれるIFRSに従った比較可能な財務数値とは異なります。
*3 一部商品の売上計上基準に変更に伴う影響を控除
5. 経営戦略
(1)人材マッチング市場におけるグローバルリーダーへの挑戦
当社グループは、2019年グローバル市場規模を1,590億米ドル以上*¹ と推定する人材マッチング市場において、長期的にテクノロジーを駆使してイノベーションを促進し、革新と創造を進めながら、グローバルリーダーとなり、個人ユーザーの求職活動及び企業クライアントの求人活動を圧倒的に効率化することを目指します。
人材マッチング市場とは、当社グループが推定する求人広告及び採用ツール市場、人材紹介及びエグゼクティブサーチ市場、人材派遣市場の総称と定義しています。
グローバル人材マッチング市場規模は、経済成長及び労働市場の状況との連関性が高く、各国政府による新型コロナウイルス感染症の拡大防止対応の影響を受けて、2020年を含む今後の市場規模が大幅に縮小することを当社は想定しています。合理的に影響規模を見積もることが困難な状況においても、当社グループは、人材マッチング事業にて培ってきた事業ノウハウやテクノロジーを活用しながら、過去に類を見ない厳しさに直面している求職者及び求人企業をサポートし、戦略的な投資を積極的に進めることによって、中長期的な目標到達に向けて邁進します。
*1 詳細情報については、決算短信の3. 経営方針 (4) 中長期的な経営戦略と対処すべき課題 ①人材マッチング市場におけるグローバルリーダーへの挑戦をご参照ください。
(2)「Air ビジネスツールズ」を中心としたSaaSソリューションによる企業の生産性改善
当社グループは、中小企業への展開余地が大きいSaaSソリューション等、テクノロジーを駆使した業務・経営支援サービスには、大きな事業成長のポテンシャルがあると考えており、SaaSソリューションの一つである「Air ビジネスツールズ」を通じて、日本国内において事業領域や産業の垣根を超え、中小企業の抱える様々な共通課題に積極的にアプローチし、それらを解決することを目指しています。企業の経営者や従業員が管理業務から解放され、本来の事業そのものにより集中することができれば、それらの企業における生産性の向上や、更なる持続的成長にも貢献します。ひいては、企業の事業進化やサービス水準向上と、個人ユーザーの満足度向上に繋がると考えています。
日本における「Air ビジネスツールズ」の潜在店舗数を約290万程度*² と推定しており、アカウント数拡大の余地は依然として大きいと認識しています。直近では、日本政府によるキャッシュレス・消費者還元事業の推進が追い風となり、決済サービスである「Airペイ」のアカウント数*³ が特に増加しており、2020年3月末時点では約14.9万、前年同期比167%増となりました。消費増税が施行された2019年10月以降も多くの企業クライアントから「Airペイ」導入の要望をいただいています。
また、「Airペイ」を利用する企業クライアントによる「Airビジネスツールズ」の他ソリューションとの併用が増加しています。2020年3月末の「Airペイ」アカウント数*³ 約14.9万のうち、他ソリューションを併用しているアカウント数は約10.2万となりました。今後も「Airペイ」のアカウント数*³ の伸長が、「Air ビジネスツールズ」の総アカウント数の増加に寄与していくと考えています。
参考:「Air ビジネスツールズ」のプラットフォーム

*2 出典:総務省・経済産業省「平成28年経済センサス‐活動調査結果」及び中小企業基本法における中小企業者の定義等に基づき、中小企業者の事業所数を業種別に算定した上で、2020年3月末時点の「Air ビジネスツールズ」の利用実績を踏まえて、「Air ビジネスツールズ」の導入可能性があると当社が判断した業種に属する中小企業者の事業所数を合計することにより推計しています。なお、潜在店舗数の推計に当たり、2020年3月末時点の「Air ビジネスツールズ」登録アカウント数が20アカウント以上存在する業種を「Air ビジネスツールズ」の導入可能性があると判断しています。また、2020年3月末時点の「Air ビジネスツールズ」登録アカウントは、アクティブでないアカウントを含んでいます。
*3 アカウント数は、当該サービス登録加盟店舗数及び事業所数を指し、アクティブ及びノンアクティブアカウントを含みます。
6.FAQ
直近のハイライト
Q1:
新型コロナウイルス感染症の拡大について、業績にどのような影響があるか?
A1:
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、消費者行動や事業活動等の経済活動がグローバルで変容しています。特に2020年3月初旬より3つの事業で構成される当社グループの業績にも影響が出始めており、今後も継続することが見込まれます。
HRテクノロジー事業、メディア&ソリューション事業の人材領域及び人材派遣事業にて展開する人材マッチング事業については、各国における外出禁止令や外出自粛要請等を踏まえ、経済環境見通しの悪化による人材採用活動の鈍化が同事業の業績に影響を与えます。
また、メディア&ソリューション事業の販促領域においては、日本国内での緊急事態宣言や外出自粛要請を受け、国内旅行者数や外食機会の減少、結婚式の中止や延期等の影響による企業クライアントの広告出稿数の減少等が同事業の業績に影響を与えます。
これらが足元の当社事業に影響を与えていることから、2020年4月の連結売上収益*¹ は前年同月比約21%減となりました。
また、2020年2月、3月、4月の売上収益*² の前年同月比は、HRテクノロジー事業が米ドルベース約26%増、約4%増、約35%減となりました。4月中旬頃より売上収益の下落が一段落し、安定の兆しが見え出したものの、今後の見通しは依然として不透明です。
メディア&ソリューション事業*³ については、約5%増、約10%減、約23%減、人材派遣事業が約0.1%増、約0.2%増、約12%減となりました。
*1 未監査の月次管理会計数値であり、連結決算数値に含まれるIFRSに従った比較可能な財務数値とは異なります。
*2 為替影響控除後の未監査の月次管理会計数値であり、連結決算数値に含まれるIFRSに従った比較可能な財務数値とは異なります。
*3 一部商品の売上計上基準に変更に伴う影響を控除
Q2:
新型コロナウイルス感染症拡大によるグローバル経済の停滞が業績に影響することが懸念されるが、短期的にどのような施策を行うのか?
A2:
このような環境下においても、中長期戦略の遂行を可能にするための投資を続けながら、例えばHRテクノロジー事業とメディア&ソリューション事業の広告宣伝費などの、事業状況に合わせて調整可能なコストを段階的に適切なレベルまで削減することを考えています。
Q3:
国内派遣領域において、新型コロナウイルス感染症の拡大で企業の休業が増える中、派遣スタッフへの休業補償がどの程度手元資金に影響するのか?
A3:
企業クライアントの休業に伴い派遣スタッフが自宅待機となった場合、派遣元として休業手当を支給しますが、その費用については、派遣契約に基づき、企業クライアントに請求します。また、状況に応じて、雇用調整助成金の活用も検討します。従って、休業補償に伴う手元資金への影響は限定的と見ています。
Q4:
2021年3月期 連結業績予想について教えてほしい。
A4:
新型コロナウイルス感染症の拡大が当社グループ事業に及ぼす影響の合理的な見積もりが現段階では困難なことから未定とします。当該影響を合理的に分析し、当社グループとして合理的な業績予想が可能になった時点で、連結業績見通しを開示します。新型コロナウイルス感染症の拡大が足元の当社グループ事業に影響を与えていることから、少なくとも2021年3月期第1四半期、加えて第2四半期以降の業績に相応の影響を及ぼすと考えています。
Q5:
2021年3月期の配当予想は?
A5:
当社の連結配当性向は、親会社の所有者に帰属する当期利益から非経常的な損益等の影響を控除した上で30%程度を目安としています。
No.4のQ&Aの通り、2021年3月期の連結業績見通しが未定であることから、配当予想についても未定です。
中長期戦略
Q6:
新型コロナウイルス感染症拡大による足元の業績影響が懸念されるが、中長期戦略に変更はないか?また投資等の実行は停滞していないか?
A6:
当社グループの中長期戦略として掲げている「人材マッチング市場におけるグローバルリーダーへの挑戦」と「メディア&ソリューション事業で提供する『Air ビジネスツールズ』を中心としたSaaS(Software as a Service)ソリューションによる企業の生産性改善」に変更はありません。
当社グループは、新型コロナウイルス感染症と共存する世界における、個人ユーザーの求職活動や消費行動の変化と、企業クライアントの採用方法や事業活動の変化に即して、より利便性と効率性の高いマッチングソリューションを提供する準備を進めています。
なお、長期的な事業成長および企業価値向上のため、このような状況下においても、継続して戦略上重要な領域に積極的な投資を行っていきたいと考えています。
Q7:
人材マッチング事業の成長に注力しているとのことだが、市場見通しと戦略に変化はないか?
A7:
当社グループは、2019年グローバル市場規模を1,590億⽶ドル以上*¹ と推定する⼈材マッチング市場において、⻑期的にテクノロジーを駆使してイノベーションを促進し、⾰新と創造を進めながら、グローバルリーダーとなり、個人ユーザーの求職活動及び企業クライアントの求人活動を圧倒的に効率化することを⽬指しています。
グローバル人材マッチング市場規模は、経済成長及び労働市場の状況との連関性が高く、各国政府による新型コロナウイルス感染症の拡大防止対応の影響を受けて、2020年を含む今後の市場規模が大幅に縮小することを当社グループは想定しています。しかし、現段階で合理的に影響規模を見積もることは困難です。そのような状況において、当社グループは、人材マッチング事業にて培ってきた事業ノウハウやテクノロジーを活用しながら、過去に類を見ない厳しさに直面している求職者及び求人企業をサポートし、戦略的な投資を積極的に進めることによって、中長期的な目標到達に向けて邁進します。
*1 求⼈広告及び採⽤ツール市場並びに⼈材紹介及びエグゼクティブサーチ市場における売上金額ベースのそれぞれの市場規模、並びに⼈材派遣市場における売上利益ベースの市場規模に関する当社グループによる推計値の単純合計額
Q8:
「Air ビジネスツールズ」の拡大に注力しているとのことだが、何を目指しているのか?
A8:
当社グループは、中小企業への展開余地が大きいSaaSソリューション等、テクノロジーを駆使した業務・経営支援サービスには、大きな事業成長のポテンシャルがあると考えています。
新型コロナウイルス感染症によりもたらされる困難な事業環境下では、中小企業が大きく影響を受け、日々のコスト削減が急務になっています。この課題に対して「Air ビジネスツールズ」が価値提供をできると考えており、今後も業務・経営支援サービスの事業成長を加速させていきたいと考えています。
当社グループは「Air ビジネスツールズ」を通じて、日本国内において、事業領域や産業の垣根を超え、中小企業の抱える様々な共通課題に積極的にアプローチし、それらを解決することを目指しています。
Q9:
「Air ビジネスツールズ」としての今後の成長ポテンシャルは?拡大の見込みは?
A9:
当社グループが重視しているKPIは、「Air ビジネスツールズ」を含むSaaSソリューションの総アカウント数です。
「Air ビジネスツールズ」を導入する企業クライアントの獲得に際しては、これまで当社グループが培ってきた中小企業への広告サービス提供における強固なポジションを活用した既存企業クライアントへのアプローチや、ウェブメディア等を活用した新規企業クライアントへのアプローチ等を効率的に進め、アカウント数拡大に取り組んでいます。
直近では、日本政府によるキャッシュレス・消費者還元事業の推進が追い風となり、決済サービスである「Airペイ」のアカウント数(加盟店舗数)が特に増加しており、2020年3月末時点では約14.9万、前年同期比167%増となりました。これが当社グループの推定する「Air ビジネスツールズ」の潜在顧客数*¹ に占める割合は約5%であり、アカウント数拡大の余地は依然として大きいと認識しています。
また、「Airペイ」のアカウント数の増加に伴い、「Air ビジネスツールズ」の他ソリューションとの併用も増加しています。2020年3月期末の「Airペイ」アカウント数14.9万のうち、他ソリューションを併用しているアカウント数は約10.2万となりました。今後も「Airペイ」のアカウント数の伸長が、「Air ビジネスツールズ」の総アカウント数の増加に寄与していくと考えています。
*1 総務省・経済産業省「平成28年経済センサス‐活動調査結果」及び中小企業基本法における中小企業者の定義等に基づき、中小企業者の事業所数を業種別に算定した上で、2020年3月末時点の「Air ビジネスツールズ」の利用実績を踏まえて、「Air ビジネスツールズ」の導入可能性があると当社が判断した業種に属する中小企業者の事業所数を合計することにより推計しています。なお、潜在店舗数の推計に当たり、2020年3月末時点の「Air ビジネスツールズ」登録アカウント数が20アカウント以上存在する業種を「Air ビジネスツールズ」の導入可能性があると判断しています。また、2020年3月末時点の「Air ビジネスツールズ」登録アカウントは、アクティブでないアカウントを含んでいます。
財務の健全性
Q10:
財務の健全性について教えてほしい。
A10:
当社グループは、借入による資金調達を有効に活用しつつ、格付を意識した財務の健全性を維持することを財務方針としています。当連結会計年度末における現預金残高は4,212億円、有利子負債残高は1,366億円(うち1年内に返済予定の残高は258億円)です。
自己資本の水準は、成長投資の機会等に対して機動的に対応できる財務基盤を整えること及び事業活動や資産のリスクと比較して十分であることを基本方針としています。当連結会計年度末時点において、親会社の所有者に帰属する持分は9,884億円、親会社所有者帰属持分比率は49.4%です。
また、当社グループは、流動性を確保し、運転資金の効率的な調達を行うため金融機関4社と当座貸越契約を締結しています。なお、当連結会計年度末における当座貸越極度額の合計は1,130億円であり、当該契約に基づく借入実行残高はありません。
加えて、当社グループは2020年4月30日に総額3,999億円のコミットメントライン契約を締結しました。2020年5月27日時点で、当該コミットメントライン契約に基づく借入実行残高はありません。
これらにより、当社グループは事業環境の激しい変化の際にも十分な流動性を確保することを図っています。
2020年3月期 通期及び第4四半期決算実績
連結
Q11:
(通期)2020年3月期連結業績予想に対して実績をどのように評価しているか?
A11:
通期実績については、2020年2月14日に公表したとおりHRテクノロジー事業とメディア&ソリューション事業が増収・増益を達成するとともに、調整後EBITDA3,200億円程度を上回りました。また、2019年5月14日に公表したとおり調整後EPSは予想の一桁台後半成長を上回りました。
事業別には、HRテクノロジー事業においては米ドルベースの売上の伸びが32.7%となり、予想の35%程度に着地しました。また、メディア&ソリューション事業が増収・増益、人材派遣事業は減収・減益となり、2020年2月14日に見直したとおりの着地となりました。
領域別には、メディア&ソリューション事業の人材領域について一桁前半の売上収益の伸びを見込んでいたものが減収となったこと以外は、全て予想通りの着地となりました。人材領域は、新型コロナウイルス感染症の拡大等が影響し、多くの企業クライアントが採用活動に慎重になった結果、減収となりました。
Q12:
(第4四半期)売上収益が前年同期比1.6%の増収となったのに対して、62億円の営業損失となったのは?
A12:
これは主に、メディア&ソリューション事業の海外販促分野及び人材派遣事業の豪州におけるのれん等の減損損失310億円を計上したことによるものです。この影響を控除した当第4四半期の営業利益は、247億円となります。主に拠点拡大に伴う減価償却費の増加やその他の一過性費用の計上により、前年同期比19.9%減となりました。
Q13:
(第4四半期)決算短信に減損損失の記載があるがその背景は?また、現在ののれんの帳簿価額についても教えてほしい。
A13:
海外販促分野の「Treatwell」を運営するHotspring Ventures Limitedについては、メディア&ソリューション事業の投資優先度の変更に伴う戦略変更により全額の145億円、オンライン学習サービスを提供するQuipper Limitedについては、2020年3月末時点の事業環境の変化(新型コロナウイルスの影響は加味していない)を反映するために事業計画を見直した結果、全額の23億円のれんの減損損失を計上しました。メディア&ソリューション事業では合計181億円ののれん及び無形資産の減損損失となります。なお、Quandoo GmbHに関するのれんは残っておりません。
人材派遣事業では、豪州のChandler Macleod Group Limitedに関して78億円ののれん減損損失とドイツのUSG People Germany GmbHに関する38億円の無形資産の減損損失を計上し、当事業で合計128億円ののれん及び無形資産の減損損失を計上しました。これは、経済環境の悪化等により、当連結会計年度の業績が計画を下回ったことに加え、新型コロナウイルス感染症の影響が期末日以降相当程度続くと仮定した上で今後の事業計画の見直しを行った結果、将来キャッシュフローの見積もりを減少させたことによるものです。
また、各事業に帰属する地域別のれん金額は以下の通りです。
<当連結会計年度末の各事業に帰属するのれん帳簿価額>
(十億円)
のれん | |
---|---|
HRテクノロジー | 196.4 |
メディア&ソリューション | 1.8 |
日本 | - |
海外 | 1.8 |
人材派遣 | 184.8 |
日本 | 27.7 |
北米 | 13.9 |
欧州 | 137.6 |
豪州 | 5.5 |
合計 | 383.1 |
Q14:
(第4四半期)2020年3月期第4四半期の事業別業績の概要は?
A14:
HRテクノロジー事業については、米ドルベースの売上*¹ が前年同期比19.4%の増収となりました。特に3月以降、新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界的に採用の需要が低下した結果、3月の売上収益成長率は対前年同月比で大幅に鈍化しました。また、計画通り、当第4四半期には将来の成長のための投資等を特に1月と2月に大きく実施したことにより、調整後EBITDAマージンが7.9%となりました。
メディア&ソリューション事業の販促領域は、主に旅行分野と飲食分野において3月頃より新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けたものの、領域全体としては売上収益が7.5%の伸びとなりました。一方、主に広告宣伝費が増加し、調整後EBITDAについては、1.4%の減益となりました。
人材領域については、新型コロナウイルス感染症の拡大も影響し、多くの企業クライアントが採用活動に慎重になった結果、8.6%の減収となりました。一方、調整後EBITDAについては、このような環境のもとコスト管理に取り組み、マーケティング投資を抑制した結果、5.0%の増益となりました。
人材派遣事業の国内派遣領域については、新規登録スタッフの増員及び新規派遣契約の獲得に注力したことにより、7.7%の増収となりました。また、マーケティング投資を抑制したことにより53.7%の増益となりました。
海外派遣領域については、以前より継続している欧州の不透明な景況感に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大によるグローバル経済見通しの悪化を受けて9.8%の減収及び15.0%の減益となりました。為替影響を除いた売上収益は5.7%の減収でした。
*1 当報告セグメントの現地決算数値であり、当社グループ連結決算数値に含まれる数値とは異なります。
7. 決算説明会音声
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