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Prosper Together - サステナビリティへのコミットメント 2023年度の進捗について

2024年05月15日

株式会社リクルートホールディングス(本社:東京都千代田区、代表取締役社長兼CEO:出木場 久征、以下 当社)は、持続可能な社会への貢献と当社の持続的な成長を目指して、2021年5月に「サステナビリティへのコミットメント」を発表し、2031年3月期(注1)に向けて、環境・社会・ガバナンスの目標を定め、取組みを進めています。

世界では地政学的な緊張感が続く中で、多くの国では重要な政治日程を控え、社会的、経済的な不確実性が拡大しています。当社は、このように不確実性が高い世界で持続的な成長を実現するには、企業活動全体を通じて社会や地球環境にポジティブなインパクトを与え、すべてのステークホルダーとの共存共栄を目指していく必要があると考えています。

環境(Environmental):気候変動への対策

短期目標として定めた、当社グループの事業活動におけるカーボンニュートラルは、2022年3月期より継続して、2024年3月期も達成する見込みです(注2,3)。そして、2031年3月期までに目指すバリューチェーン全体を含めたカーボンニュートラル(注2)に向けては、3カ年の実質削減目標(注4)を定めて取組みを進めています。特に、当社の温室効果ガス(Greenhouse Gas:GHG)排出量の95%以上(注5)を占めるスコープ3(注2,3)の実質削減に向けては、パートナー企業と協働し、バリューチェーンにおけるGHG排出量測定の精緻化及び削減に向けた打ち手の検討を進めています。

また、企業の環境リスクに対する取組みを評価する国際的な非営利団体であるCDPにより、気候変動分野における課題解決と開示の透明性におけるリーダーシップが認められ、2023年調査で最高評価であるAリスト企業に選定されました(注6)

社会(Social):就業までに掛かる時間を半分にする

世界で人材マッチング事業を展開する当社グループとして、人々にとって欠かせない生活基盤である「仕事」の領域で、すべての求職者の雇用機会を拡大し、就業までに掛かる期間を短縮することで、社会に大きなインパクトを創出するために2つのコミットメントを掲げています。

2031年3月期までに就業までに掛かる時間を半分にするという長期目標に向けては、Indeed上のデータを用いてプロセスの分析が可能な、雇用主の「採用までに掛かる時間(注7)」に着目しています。

現在、Indeedのプラットフォーム上の求人募集において、1人目の採用が決まるまでに平均55日間(注8)掛かっていることが分かっています。採用までには、求人情報の掲載、求職者からの応募、そして書類選考や面接といったステップがありますが、Indeedのデータを用いてこのプロセスを分析し、採用までに掛かる時間を短縮するためのプロダクト進化を進めています。

例えば、採用に至る求職者からの応募を早めるには、仕事に適した候補者とのマッチングを向上し、自動化によってプロセスを短縮することが重要です。Indeedの「Matched Candidates(マッチト・キャンディデッツ)外部サイトへ」(英語のみ)(注9)は、Indeed上に登録された履歴書と求人募集のデータを基にAIを活用して、雇用主に対して、仕事に適した候補者を表示する機能です。雇用主は、表示された候補者を求人応募に招待することができます。そして、この機能を利用して招待された求職者からの応募の半数以上が、たった5時間以内に行なわれました(注10)。この成功を受けて、2024年4月より、スピーディなマッチングとスムーズな採用を実現するプロダクト「Smart Sourcing(スマートソーシング)外部サイトへ(英語のみ)を通じて、より多くの雇用主がMatched Candidatesを利用することが可能になりました。

このように、責任あるテクノロジーの活用を考慮した上で、求職者と雇用主のマッチング向上、求職活動のステップにおける手間の削減とプロセスの自動化によって、就業に掛かる時間の短縮に取組んでいきます。

社会(Social):障壁に直面する3,000万人の就業を支援する

労働市場には、ジョブマッチングのスピードと精度を向上するだけでは解決することが難しい、構造的な偏見(バイアス)や障壁が数多く存在しています。そこで2031年3月期までに累計3,000万人の障壁に直面する求職者の就業を実現する目標を定め、世界で共通した障壁となっている学歴や障がい、犯罪歴(注11)等の5つの障壁を定めて取組みを進めています。

2024年3月期は、世界で地政学的な緊張感が高まる中で祖国を離れることを余儀なくされる人々が急増し、大きな社会課題となっている難民問題に着目し、これを6つ目の障壁として加え、その低減に取組みました。Indeedでは、難民のバックグラウンドを持つ求職者 (注12)に対して、UNHCR(注13)やTENT(注14)といった国際人道支援組織と共同で就職フェアを開催する等の就業支援を行いました。また、当社グループの人材派遣事業では、難民の雇用に向けた雇用主への働きかけや、難民の求職者や就労者に対して面接での通訳や翻訳ツールの提供等を行いました。

結果として、2024年3月期までに、累計で約690万人の障壁を持つ求職者の就業を実現することができました(注15)。引き続き、インクルーシブでスキルファーストな採用(注16)を促進することで、労働市場のバイアスや障壁の低減に取組んでいきます。

社会(Social):すべての階層の女性比率を50%にする

当社グループでは、創業以来、従業員一人ひとりの違いを大切にし、その好奇心から生まれるアイデアや情熱に投資することで、新たな事業やサービスを生み出してきました。そして、2031年3月期までに当社グループ全体における上級管理職・管理職・従業員それぞれの女性比率を約50%とする目標(注17)に向けては、3カ年目標(注18)を定め、従業員の能力開発に向けた機会の拡大を通じて管理職候補者プールの拡大に取組んでいます。

特に、ジェンダーギャップが大きい日本を中心に事業を展開するリクルートでは、女性従業員及び管理職を対象とした研修(注19)に加えて、コーチングメソッドを取り入れた人材育成プログラムを導入し、上司と社内コーチが連携して、女性を含めた従業員一人ひとりの内発的動機を引き出しながらキャリア構築を支援する取組みを強化しています。

ガバナンス(Governance):取締役会の女性比率を50%にする

当社は、経営の透明性と健全性を向上し、経営の意思決定の質を上げるためには、監査役を含む取締役会構成員の多様性を高めることが重要であると考えています。スキルや経験、バックグラウンドの多様性を高めることに加えて、特にジェンダーについては目標を定めて取組んでいます。

2031年3月期までに当社の取締役及び監査役全体の女性比率を約50%にする目標(注20)に向けては、当社の中長期戦略の実現に向けて必要となるスキルやバックグラウンドを検討した上で、継続して、取締役候補の検討を行っています。

また、当社の業務執⾏取締役と主にテーマを推進する執行役員に対して、3カ年目標を定めたGHG排出量削減と女性比率向上の達成如何を長期インセンティブ報酬(注21)の一部に連動させ、取組みを強化しています。

上記コミットメントにあわせて、当社では、データセキュリティ・プライバシーへの対応強化、人権の尊重と企業倫理の徹底、人的資本の強化を企業活動の重要な基盤として取組んでいます。取締役 兼 常務執行役員 兼 COOの瀬名波 文野を推進責任者として、ステークホルダーの皆様との対話やサステナビリティ委員会等での議論を通じて取組みを進めていくとともに、取締役会において目標の進捗を確認し議論しています。

本内容に関する詳細は当社ウェブサイトをご覧ください。https://recruit-holdings.com/ja/sustainability/

(注1) 本文書に記載の「20XX年3月期」は、その年の3月31日に終了する会計年度。

(注2) 事業活動における温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas)排出量は、スコープ1(自社が管理・所有するオフィスにて直接排出されるGHG)とスコープ2(自社が管理・所有するオフィスにて購入した電力・熱・蒸気エネルギー等の使用を通して間接的に排出されるGHG)の合計。バリューチェーン全体におけるGHG排出量は、スコープ1、2に加えて、スコープ3(スコープ1、2を除く間接的に排出されるGHG)を含むすべて。GHG排出量の測定、排出量に対する第三者認証の取得、残存する排出量に対してオフセットを行った上でカーボンニュートラルの達成を目指す。

(注3) GHG排出量の数値はGHGプロトコルに基づき算定した概数であり、SOCOTEC Certification Japanによる独⽴した第三者保証を取得している。

(注4) GHG排出削減目標は2022年度から2024年度の実績を対象とする。

(注5) 2023年3月期の排出量に基づく数字。

(注6) CDPは2000年に設立された英国の慈善団体が管理する非政府組織。世界最大級の環境データベースを保有し世界の主要金融機関と協力し、気候変動、フォレスト、水セキュリティの分野に分けて企業が環境に与える影響を明らかにしている。2023年は、気候変動セクターの環境情報開示に応じた約23,000社の中から、400社強がAリストに選定され、うち日本企業はリクルートホールディングスを含む111社。

(注7)「採用までに掛かる時間」は、Indeed上で求人情報が作成されてから、その求人情報に対して最初の採用が報告されるまでの日数。当社が2031年3月期に向けて掲げる「就業までに掛かる時間を半分にする」目標に変更はないが、Indeed上で計測可能な雇用主側のアクションデータである「採用までに掛かる時間」を基に求職者が採用に至るまでのプロセスの課題を発見し、プロダクトの進化を加速することとした。

(注8) 55日間は、2023年12月にIndeedで実測された、求人が作成されてから最初の採用までの平均日数。最初の採用までに720日を超える期間を要した求人(求人全体の約1%)はデータ収集の異常値として除外している。

(注9) Matched Candidates(マッチト・キャンディデッツ)は、求人に適した候補者の探索を自動化する機能。本機能は、2024年3月期には求人広告を出稿した企業クライアントのみ利用可能だったが、2025年3月期にはスマートソーシングプロダクトの一部として利用可能となった。2024年3月期は、米国、イギリス、カナダ(英語のみ)で利用可能だった。

(注10) Matched Candidates機能が利用できた米国、イギリス、カナダ(英語のみ)における、2023年4月から2024年3月の数値。

(注11) 米国では3億3000万人の人口に対して、約7,900万人に犯罪歴があり(出典:Prison Policy Initiative, 2024)、犯罪歴がある求職者の失業率は米国平均の約5倍(出典:Prison Policy Initiative, 2022)。

(注12) 紛争、暴力、迫害から逃れるために自国を逃れ、他国に安全を求めた個人(国連難民高等弁務官事務所が定める定義外部サイトへ)。

(注13) United Nations High Commissioner for Refugees(国連難民高等弁務官事務所)の略。

(注14) Tent Partnership for Refugeesの略。難民の健康と生活の支援を企業に働きかけることを目的に、2016年に設立された非営利組織。

(注15) 2021年5月1日から2024年3月31日までの間に、世界中の求職者及び雇用主からIndeed上で報告された採用シグナルを通じた就業データの集計。学歴、犯罪歴、軍隊経験、障がいの有無、求職活動のために必要なパソコンやインターネット等を持っていないという労働市場の障壁のうち、少なくとも1つに直面した求職者の就業数の累計。難民のバックグラウンドを持つ求職者は2025年3月期より計測予定。

(注16) 求人に対する候補者を、採用プロセスの初期段階でスキルに基づいて選考する方法。まず学歴で選別する従来の選考方法とは異なり、スキルに基づいた評価を行うことで活躍の可能性がある候補者をリストに含め、業務遂行能力の高い人材を見逃さずに、短期間での採用実現を目指す。

(注17) 上級管理職は、当社及びマッチング&ソリューション戦略ビジネスユニット(Strategic Business Unit、 以下SBU)においては執行役員/専門役員、HRテクノロジーSBUと人材派遣SBUにおいては主要子会社社長/重要機能トップを示す。管理職・従業員の女性比率は、当社、全SBU統括会社及び各SBU配下の主要子会社について集計。管理職は、部下を持つすべての管理職。

(注18) 従業員における女性比率目標は2022年4月1日時点から2025年4月1日時点までの実績を対象とする。

(注19) 28歳前後の女性従業員を対象に、自分の強みを把握しキャリアを前倒しで構築することを学ぶ「Career Cafe 28」、30歳代の女性従業員向けに、キャリアオーナーシップの発揮を支援する「Career Cafe Next Step」、管理職を対象に多様な人材マネジメントについて学ぶ「Career Cafe for BOSS」等の研修を含む。

(注20) 取締役会構成員は、取締役及び監査役の合計を示す。

(注21) 長期インセンティブBIP信託(株式)報酬の一部として設定し、3カ年目標の達成如何によって支給有無を決定する。