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従軍経験者が直面する労働市場の障壁を低減するリクルートグループの取り組み

リクルートグループは「2030年度までに、世界の労働市場で障壁に直面する求職者累計3,000万人の就業をサポートする(注1)」ことを目標に掲げています。現在注力して取り組みを行っている障壁の一つに従軍経験者が直面する壁があります。米国では、毎年約20万人の退役軍人が市民生活へ戻りますが(注2)、その多くが仕事探しに苦戦しているのが現状です。従軍経験者本人が軍生活で得たスキルや経験を企業に十分アピールして就業できるよう支援すること、並行して従軍経験者の持つポテンシャルや特徴を踏まえて効果的な採用を行えるよう企業を支援すること。リクルートグループは、この両者へのアプローチを通して、障壁の低減に取り組みます。

(注1) 当社グループが運営する求人プラットフォーム上の応募を通じた就業、当社グループが支援するNPO等の団体を通じた就業等を含む。2031年3⽉期までに、労働市場における課題を見極めた上で様々な障壁の低減を行っていく。
(注2) 出典:米国労働省

国のヒーローが退役後に直面する障壁

米国では毎年約20万人の退役軍人が市民生活に戻ると言われますが、この移行は簡単なものではありません。日々の暮らしのルーティーンへの適応、家族や友人との関わり、日常に溢れる選択肢など、軍生活の経験がない人であれば改めて考えることもないようなことすらストレスになるなか、「仕事探し」はこの移行期の中で最も大きな試練の一つです。

どこから仕事探しを始めればよいのか、軍での経験やスキルが活かせる仕事はあるのか、そもそもどこにどんな企業があるのかなど、従軍経験者はさまざまな不安を抱えながら仕事探しに臨みます。そして、従軍経験者は、軍で得た経験やスキルをそのまま自分たちの世界の言葉で履歴書や面接でアピールするものの、企業には響かず戸惑う。一方の企業では、従軍経験者の社内での活躍イメージがわかず一律不合格にしてしまったり、逆に積極的に採用したくても、軍での経験やスキルと自社の採用要件を結びつけて考えることが難しく、十分に要件を満たした候補者を見過ごしてしまうなどということが起きています。例えば、不動産会社の人事担当者にとって、「歩兵隊長」の経験とスキルを自社の仕事に結びつけて考えるのは簡単なことではないでしょう。

こういった両者の理解不足によるすれ違いが、従軍経験者の就業を難しくする大きな障壁になっています。リクルートグループでは、この障壁を低減し、より多くの従軍経験者と採用企業の効果的なマッチングを推進するため、以下のような取り組みを行っています。

HRテクノロジーSBU:Indeedの取り組み

世界No.1求人検索エンジン(注3)を運営するIndeedでは、従軍経験者に特化したチームが、インディード・フォー・ミリタリー(Indeed for Military)と呼ばれる取り組みをリードし、プラットフォーム上およびクライアント企業への働きかけを通じて従軍経験者を支援しています。

1. プラットフォーム上での取り組み
Indeedプラットフォーム上で、従軍経験者の応募を歓迎している求人情報をより見つけやすくするため、さまざまなUI(ユーザー・インターフェイス)の改善を進めています。

「従軍経験者歓迎」の求人を条件検索できるIndeedの画面

Indeedでは「従軍経験者歓迎」の求人に絞り込んで検索することができる

また、従軍経験のある求職者のためのウェブサイト外部サイトへ(英語のみ)を設け、ウェビナーを含めた豊富なキャリアガイドや、無料の履歴書レビューサービスを提供しています。

2. クライアント企業への働きかけを通じた取り組み
クライアント企業に対し、従軍経験者がその経験やスキルを活かして提供できる価値や、効果的な採用につながる従軍経験者コミュニティとの関わり方などについて、啓蒙活動を行っています。その一環として、
従軍経験者採用に関するクライアント企業向けのウェブサイト外部サイトへ(英語のみ)も設け、採用の際の留意点やベストプラクティスなどの情報提供も行っています。

(注3) 出典:Comscore 2022年9月総訪問数

人材派遣SBU:Staffmark Groupの取り組み

米国の派遣会社Staffmark Groupは、オペレーション・ハイヤード(Operation: Hired)外部サイトへ(英語のみ)と呼ばれる取り組みを2012年から継続して実施しています。

1. ガイダンスやスキルトレーニングを通じた支援
各地の空軍基地内でのトランジション・アシスタンス・プログラム(注4)や軍や退役軍人を支援するNGOとのパートナーシップ、米国退役軍人省が毎年主催するワークショップや就職説明会などへの参加などを通じて、軍従事者や従軍経験者の市民生活へのスムーズな移行に向けた準備の支援を行っています。また、障がいを持つ退役軍人の職業復帰準備の支援も行っています。

2. 就業機会の紹介を通じた支援
直接雇用や派遣雇用での就業機会の紹介を行っています。また、Staffmark Groupは国防総省のスキル・ブリッジ・プログラム(SkillBridge Program)の公認プロバイダーとして、退役直前の軍従事者をインターンとして自社で受け入れています。

プログラムを通して就業した方たちの声(英語のみ)

(注4) Transition Assistance Program:米国の国防総省、労働省、退役軍人省、教育省、国土安全保障省、中小企業庁および人事管理局が、実行主体である各軍と連携して取り組む退役軍人の移行支援プログラム

従軍中に得た経験やスキルを活かして活躍できる社会へ

従軍経験者の経験やスキルは、一見すると一般企業の採用要件に当てはまらないように思えるかもしれません。しかし、彼らが従軍中に磨いてきたチームワークやリーダーシップ、倫理観や行動規範などは、あらゆる職場で活かせるソフトスキルです。企業がこういったスキルに注目し、オープンマインドで採用に臨むこと。そして従軍経験者側も、自身の経験やスキルを企業側が理解しやすい言葉に置き換えて伝えること。この両者の歩み寄りが、従軍経験者が市民社会でも活躍するための、そして企業が見過ごされてきた人材を活かす大きな一歩になります。リクルートグループは、今後も従軍経験者がスムーズに新たな活躍の場を見つけることができるよう、支援を行っていきます。

2023年07月03日

※事業内容や所属などは記事発行時のものです。