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「統合報告書」から「Recruit Group Profile」へ。リクルートグループの1年をキュレーション

2024年12月4日、リクルートホールディングスはRecruit Group Profile 2024:Inside OutPDFダウンロードを発表しました。これは、世界中のステークホルダーに、数字だけでは伝えきれないリクルートグループの取り組みを紹介するために毎年発行しているPDF形式のデジタルメディアで、今回は全53ページにわたり、経営戦略、各戦略ビジネスユニット(SBU)の事業概要、企業活動を通じて創り出すインパクトに関するストーリーなどが詰まっています。このRecruit Group Profileに創刊時から関わる越野 美倫と、2024の編集長を務める太田 裕美子に話を聞きました。

リクルートグループらしい情報開示を追究したらRecruit Group Profile:Inside Outになった

リクルートホールディングスは、2020年に統合報告書を廃止し、新たなグループ紹介メディアとしてRecruit Group Profile(RGP)の発行を開始しました。「2020年版統合報告書の制作に向けた検討を始めた当初、世界の企業情報開示トレンドや海外機関投資家のニーズを踏まえて、有価証券報告書そのものに非財務情報の記載を増やそうという機運が高まっていました。しかしそうすると、『統合報告書』と重複する内容が増えていくという課題が想定されました」と、初版の編集長を務めた越野は言います。「機関投資家の方々はあらゆる開示物に目を通して対話に臨んでくださるので、同じことを何度も読んでいただくのは非効率。すでに100ページを超えるレポートに拡大していた統合報告書は、誰のために、どうあるべきなのかを改めて考えました。」

越野たちは情報開示という観点から目的を再設定したと言います。「いったん既存の枠を忘れて、グループとして発信している各情報開示媒体の役割を整理し、重複部分を削ってみたのです。すると、他の開示媒体では表現しきれないグループの経営陣や従業員の思いが詰まったストーリーが残りました。そこで、これだけを伝える媒体に特化してみることに。」並行して、コロナ禍で対面作業が難しい状況下、紙媒体の出版を取りやめて完全デジタル化にも踏み切りました。「日本の上場企業全体を見渡すと、『統合報告書』の出版はむしろ増えていたので、社内では少しびっくりはされましたが、経営陣も関係者の皆さんも『独自路線だけど、いいと思うからやってみなよ』と支持してくれました。実際、制作プロセスやコスト面でのメリットも思った以上に大きかったですし、投資家の皆さまからも概ねポジティブな反応だったと聞き、この形にチャレンジしてよかったと思います」と越野は振り返ります。

そうして新たに『グループ紹介メディア』と位置づけられたRGPの発行に2021年から携わる現編集長の太田は、媒体の継続的な進化を牽引しています。「RGPは、世界60か国以上で事業展開するリクルートグループで働く人々があらゆる企業活動を通じて創り出すインパクトが、社内(Inside)から社会(Out)へと広がる過程で生まれる様々なストーリーを集めたもの、というコンセプトでスタートしました。ビジネスモデルの仕組みやその結果としての財務情報だけでなく、リクルートグループの取り組みの具体を深く知りたい方のために、3つの経営戦略(Simplify Hiring、Help Businesses Work Smarter、Prosper Together)に対する本気度や進捗のリアリティを生き生きとお伝えできるように工夫を重ねてきたメディアです」と太田は言います。「初期は、RGPに掲載するために記事をたくさん作っていましたが、制作体制やフローを整え、今では先行して当社グループのウェブサイト等で発信された情報から選りすぐりのものをRGPに掲載するフローになりました。企業ブログや各社のSNSから発信される膨大な数の最新情報を、お忙しい皆さんに自ら見つけて隅々まで読んでもらうことは現実的に難しい。そこで、その年の象徴的な進化や進捗を一か所に集めた年次のキュレーションメディアというコンセプトにしました。ステークホルダーの皆さんに『これだけは知って欲しい』という情報パッケージになっています。」

オフィスで並んで立っている太田 裕美子と越野 美倫

RGP 2024編集長の太田 裕美子(左)と初代編集長の越野 美倫(右)

サステナビリティ経営の「リアル」を伝えたい

見どころについて太田はこうも語ります。「近年のRGPでは、サステナビリティへのコミットメントであるProsper Together(経営戦略の3つ目の柱)に多くのページを割いています。リクルートグループは、サステナビリティと事業を一体として考えており、事業のど真ん中でソーシャルインパクトの中期目標を置いている点などは、世界中の機関投資家の方々からも、非常にユニークかつ最先端のサステナビリティ経営実践例であるという評価をいただくようになりました。このような社外評価をお伝えすることも客観情報という点で重要だと考え、2024のRGPには社外の方から頂いたメッセージも掲載しています。」

RGPのサステナビリティに関するイベントレポートのペ�ージ

また、デザインやUXの観点でも、時代を反映した進化や工夫を意識していると言います。「一昨年はAIに関する議論が盛り上がったことを背景にAIが作成したイラストを活用しました。その他、アクセシビリティへの対応として画像に代替テキスト(オルト)を入れる、マウスを使わない方向けに目次から各ページへのリンクをタブで操作できるようにする、色の選択を工夫して視認性を高めるなど、地味かもしれませんが、必ず新たな制作手法にトライをすると決めています。2024のテーマは、世界で社会的分断が加速傾向にある状況への注視、という意味を込めて『インクルーシブ』にしました。内容面において地域や事業会社の網羅性を意識したり、表紙やページにベン図のデザインテーマを用いたりして表現しているので、そのようなテーマの意味や経年での変化・進化にも気づいていただけたらとても嬉しいです。」

常に時代の求める進化を

発行から5年目となった今も変わらず届けたいメッセージについて太田はこう語ります。「昨今注目が高まっている『人的資本』についてもセクションを設け、各SBUごとの戦略とその取り組みを紹介しています。SBUそれぞれに特色があることは勿論ですが、リクルートグループ全体で共通するのは、『価値の源泉は人』という価値観と、『個』の成長に期待し合い、情熱の追求をエンパワーして組織の力に変える仕組みです。各SBUのストーリーを通じて、リクルートが時代を超えて自社のサバイバルメカニズムとして創業期から脈々と進化させてきた『人』への揺るぎないスタンスとコミットメントを感じていただけたら幸いです。」

今後について太田は課題も示唆します。「欧州のCSRD(企業サステナビリティ報告指令)や米国のSEC(米国証券取引委員会)のように、世界中で企業のサステナビリティ情報開示基準の検討が進められ、さまざまな報告のフレームワークや基準が作成されています。その中で、ストーリーを中心としたRGPはどのような価値を提供できるか、改めて検討しなければならないと思っています。」

最後に太田は、「さらにリクルートらしい自由なスタイルで、さらに読んでくださる方にとって有益なものにRGPを進化させたいです」と早くも来年度に向けた意気込みを語りました。

リクルートホールディングス 越野 美倫

越野 美倫(こしの・みのり)

株式会社リクルートホールディングス サステナビリティトランスフォーメーション部 兼 グループコミュニケーション部 コミュニケーション企画グループ グループマネージャー

米国の大学を卒業後、現地の日系自動車研究開発所で技術広報などの経験を積み、2010年に日系製薬企業の本社広報部門に移り、グローバル経営に舵を切った変革期に日本と世界をつなぐ幅広い企業広報プロジェクトをリード。2019年に当社に入社し、統合報告書編集長や周年事業の制作プロジェクト等を経て、現在はグループコミュニケーション部のコミュニケーション企画グループ兼サステナビリティトランスフォーメーション部にてグループマネージャーを務めながら、サステナビリティへのコミットメントの推進業務も担当

リクルートホールディングス 太田 裕美子

太田 裕美子(おおた・ゆみこ)

株式会社リクルートホールディングス サステナビリティトランスフォーメーション部 兼 グループコミュニケーション部 コミュニケーション企画グループ

大学卒業後、新興国における経済特区支援やソーシャルビジネスの立ち上げなどを経験。その後デジタルマーケティング企業に移り、海外マーケティング・SDGsマーケティングに携わるなど、一貫して社会課題解決に取り組む。2021年11月、当社入社。サステナビリティトランスフォーメーション部にてESG情報の開示・投資家対応や社内外とのコミュニケーション企画・運営を担当している他、グループコミュニケーション部にてWebサイトの運営も担当

2024年12月20日

※事業内容や所属などは記事発行時のものです。