Indeedで最高情報責任者(CIO)兼 最高セキュリティ責任者(CSO)を務めるAnthony Moisant(アンソニー・モイサント)は、社内の情報基盤とセキュリティという二つの部門を統括しています。本記事では、CIO・CSOとして目指すことや、その背景にある原体験、今後の展望について話を聞きました。
AI活用と信頼を両立させる、CIO 兼 CSOとしての挑戦
アンソニーは、Indeedの姉妹会社であるGlassdoorのシニアバイスプレジデント 兼 CIOを経て、2021年10月にIndeedのCIO 兼 CSOに就任。CIOの役割は、Indeed従業員が業務上活用するITツールやテクノロジーを最適に整備する係。従業員の生産性向上に向けたAI技術の導入も推進しています。CSOとしては、求職者、クライアント企業、従業員からIndeedが預かる情報の保護と維持を担っています。
アンソニーは自身のミッションについて、「社会からの信頼を前提に、AIを活用してより速く、より公平な機会を届けるテクノロジー企業へIndeedを進化させていくこと」と語ります。「そのために、現在二つのことに取り組んでいます。一つは、AIを積極的に活用できる企業文化をつくること。もう一つは、データをより安全に活用できるインフラを整え、社内のテクノロジー基盤をより速く、よりインテリジェントで、頼れるものに進化させることです。」
AIでスピードを上げながら、求職者と雇用主の信頼を守る。その二つをどう両立させるか——そこにCIOとCSOを兼務する面白さがある、とアンソニーは話します。「CIOには、イノベーションを後押しして、組織をスピードアップさせることが求められます。一方でCSOにはリスクを管理することが期待されるので、一般的には組織のスピードダウンを強いてしまいがちです。しかし、私はCSOにとってもスピードは重要な観点だと思います。ポイントは『安全なスピード』で進めること。どうすればスピードを落とさずに、透明性を確保し、適切なガードレールを設けられるのか。そして、常に求職者と雇用主に誠実である姿勢を組織として保てるか。その両立に、日々意識を向けています。」
こうした判断のよりどころになっているのが、Indeedのコアバリューのひとつ、「Job seeker first(求職者を第一に考える)」です。「求職者は、今勤めている会社には知られたくない事情や、生活に欠かせない条件など、とてもセンシティブな情報を私たちに預けてくれています。その信頼を守ることが、何よりも優先されるべきです」とアンソニーは強調しました。

Indeed Chief Information Officer 兼 Chief Security OfficerのAnthony Moisant
テクノロジーの力で、「運」に頼らない公平な機会を
アンソニーのテクノロジーへの好奇心の原点は、幼少期にさかのぼります。「子どもの頃に独学でコードを書いたのが始まりです。初めて作ったのは、画面の中でボールが卓球のように跳ねるだけのシンプルなプログラム。それでも完成までに半年もかかりました」とアンソニーは笑います。「それ以来、テクノロジーが『できないと思っていたこと』を可能にしていく様子に、ずっとワクワクし続けてきました。」
そんなアンソニーですが、自身のバックグラウンドについては「あまり恵まれない環境で育った」と振り返ります。一時はホームレス状態に陥った時期もありましたが、そこで偶然、米海軍の仕事に就く機会を得ます。「米海軍では、世界最先端のテクノロジーを扱う実践的な経験を得ることができました。幸運にも、ごく少数の人にしか経験できない機会に恵まれたのです。一つの仕事が人生の軌道を大きく変え得る——そのことを身をもって経験しました。」
アンソニーの人生は「運」によって大きく好転しましたが、この経験は同時に「機会は運に左右されるべきではない」という信念につながったといいます。「この信念が、仕事探しから運という不確実性を排除する取り組みをIndeedで推進する、私の原動力となっています。テクノロジーを活用することで、仕事へのアクセスをより公平で予測可能なものにできるのです」と話しました。
同時に、米海軍での経験もアンソニーを支え続けています。「海軍が教えてくれたこと——レジリエンス、チームワーク、そしてミッションに対する揺るぎないこだわり——は、ずっと私の中に生き続けています。私は幸運にも、社会的なミッションを明確に掲げる企業で働く機会に恵まれてきました。そのミッションへの共感こそが、今も私を前進させる力になっています。」
就業までにかかる時間を短縮し、求職者一人ひとりの人生にポジティブなインパクトを与えたい
アンソニーは、リクルートグループが掲げる就業までにかかる時間を半分にするという目標を必ず実現したい挑戦として語ります。「かつて仕事を必死に探していた自分自身の経験から、仕事は給与以上の意味を持つことを痛感しています。目的意識、帰属意識、安心感——。仕事を探している時の1分1秒は、本当に重いのです。」
だからこそIndeedがプロダクトを改善したり、小さな「不」を解消したり、マッチングをより速くしたりすることの一つひとつが、求職者一人ひとりの人生に直結しているのだとアンソニーは言います。「誰かが家賃を少しでも早く払える、安定した環境を見つけられる、希望の光を感じられる。その一つひとつが、私がこの仕事に情熱を注ぎ続ける理由なのです。」
また、この野心的な目標の実現にはIndeed社内の生産性向上も欠かせないとアンソニーは言い、「今後数年間で、中核組織の生産性を少なくとも50%向上させることも目指しています。これまでAI活用に関して掲げた目標もすべて達成してきており、順調に進んでいます」と、Indeed内での着実な進化を語りました。
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役員紹介 | Indeed

Anthony Moisant(アンソニー・モイサント)
Indeed 最高情報責任者 兼 最高セキュリティ責任者(Chief Information Officer & Chief Security Officer)
Anthony Moisantは、Indeed の最高情報責任者(CIO)兼 最高セキュリティ責任者(CSO)を務める。Indeedのマーケットプレイス、プラットフォーム、データ、技術的および物理的なセキュリティの維持および保護を担当するチームを統括し、求職者、採用企業、Indeed 従業員との信頼を育みながら、コンプライアンスを確保。また、Indeed従業員のより効率的な業務遂行をサポートするAI技術の導入も推進している。ボストン大学でCIOエグゼクティブプログラム修了、U.S. Navy Nuclear Submarine School卒業